「スランプのカンフー少年が自ら成長を止めた本当の理由」〈前編〉 前世の記憶の癒しがもたらす成長や能力開花

自分らしさを取り戻す 光の破片を集めるストーリー 『光を紡いで』第1話 〈前編 努力と成長の反比例〉 玲奈が実際に体験した過去世のトラウマの記憶の癒しを、短編のストーリーで書き綴ります。 人生の上昇、才能や能力の開花に繋がる癒しと、魂の不思議なストーリーをお楽しみ下さい。

何気ない毎日の中で目に映る景色。
つい見逃したり無意識に目を逸らしてしまうものの中に、そこからの人生を変えてしまうような欠片が落ちていたりする。

そんな欠片は、輝いている事は殆どない。
大抵誰にも気付かれず皆に踏み付けられて、触る気にもなれない程に汚れている事が殆ど。

でも、自分にはなぜか分かる。
どんなに気付かなかったふりをしても、それが大切なものだとどこかがキャッチしている。
これは自分の一部なのだと。

 

~ 過去の私の欠片を拾う ~

人生という道を歩いていると、時々気になる破片が落ちている。
それは一見魅力的でもあり、よく見ると不気味でもあり、見付けてしまうと心のどこかに引っかかり、なかった事には出来ない。

その破片は、とても尖っていて触ると怪我をしそうだったり、ベトベトに汚れていてとても触る気にはなれなかったり……
決して美しいものではないのに、なぜかどこかで愛おしさまで感じる。

ある日の夜、私は昼間無視して通り過ぎた破片がどうしても気になり、何度も思い出し眠ろうとしても寝付く事が出来ずにいた。

次の日の早朝、もう寝てはいられず、昨日見た破片を探しに家を飛び出した。

確か黒っぽくて重たそうな、つまずいて転んだら大怪我しそうな破片。
下手に触ると傷を負いそうな、大きなガラスのような感じだった。

昨日歩いた道を引き返していると、何か光るものを見つける。
それは、朝の太陽の陽を浴びて一部が鈍い光を放っている、私が探していた物だった。

私はそのずっしりとした破片を、持ってきた布で傷付けないように包み、背負った。

早速家に帰り、綺麗にゴシゴシと洗い、太陽の光が当たる場所へと運んだ。
汚れが落とされた破片は思っていたより美しく、光の屈折で黒とも緑とも言えない色に心惹かれる。
ただ、薄く鋭利なガラスの層で出来ているようなこの大きな塊は、あまりに危険だった。

私はふと閃いて、家の中からヤスリを持ってきて、丁寧に磨いた。
ただ無心になって磨いていくと、どんどん滑らかになっていく。

そして、破片を磨いている間、私はまるで夢を見ているような、不思議な体験をする。
白昼夢なのか、ただの妄想なのか分からないけれど、私には別の私の人生が見えていた。

 

~ 記憶の鍵を開ける ~

ここは中国だろうか。
沢山のカンフー服を着た、たくましい男性達の行列を見ている。

皆とても強く賞賛されている者ばかり。
これから試合か何か、大会などが始まるのだろうか。

沢山の人が詰め掛け、歓声が上がり行列に手を振ったりしている。
その世界にいる私は、応援したいのに複雑な心境で、人ごみの間に隠れるように小さくなって、その行列をひっそり見守っている。

私は若い男性。
まだ20歳そこそこだろうか。
どことなく幼さがある。

そして場面が変わった。

蹴り飛ばされた私は、尊敬する大好きな先輩に、「二度と表れるな!」激しく咤されていた。
私の行為が逆鱗に触れてしまったらしい。

どうやら私達は、同じ師の元でカンフーを学ぶ兄弟弟子。
私は少しでも憧れの先輩に追いつきたくて、新しい技をマスターする度に嬉しくて、先輩に報告へ行った。

私とは比べ物にならない腕を持つ先輩には、どんなに頑張っても追いつく事は出来ないと思っていたのに、先輩は私が成長する度にジワジワと追い詰められていたようだった。

私はそんな先輩の、後輩の成長を素直に喜べない苦しい心境など察する事も出来ず、ただただ自分の成長が嬉しくて、その経過を大好きな人に報告していたのだった。

突然の事に打ちひしがれて、泣いている過去の私。

尊敬していた大好きな人に拒絶された驚きと悲しみ、蹴られた腹の痛み。
大好きなカンフーの世界や仲間達、慣れ親しんだ生きる場所を失った喪失感。

そして、また場面が変わった。

先程の私は、別の道場に通っているらしく、少し大人になっている。
だが、もう前のような無邪気な明るさはない。

いつも怖い顔をし稽古に励んでいるが、思うように力が伸びず苦しんでいる。
常に越えられないスランプで、自分の無能さに嫌気がさしていた。

そんな中、純粋にどんどん吸収して成長していく後輩達が、私を慕ってくる。
でも、過去の私はそれがとてもうっとおしくて、いつでも払い除けたいのを堪えている。

ある日後輩の1人が、目を輝かせて自分の成果を報告に来た。

それは、私が数年前大好きな先輩に、とうとう出来るようになったと嬉しくて報告に行ったその技だった。

あの打ちひしがれた日の映像が瞬時に蘇り、反射的に私は後輩を蹴り飛ばし
「二度と俺の前に表れるな!」と叫んでいた。

 

後編に続く

 

Diva
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