虹がもたらすものとは?

空に突然現れる鮮やかな『虹』は、神秘的な力を感じますね。その『虹』に対する古代からの言い伝えを紐解いてみるのも面白いかもしれません。

宇宙で輝く虹色

6月24日に「NASA」が非常に興味深い写真を発表しました。
冒頭に掲載したものがその写真ですが、こちらはコンパス座において、中性子星が超新星爆発を起こしたことによって広がった粒子にX線が反射したものなのだそうです。

原理的に詳しく説明すると難しくなってしまいますが、大気のない宇宙とは思えないほど「美しい虹色」が撮影されています。
ちなみに、宇宙の色についての研究も行われたことがあります。
こちらは、地球から60億光年先までの観察できる範囲の銀河にある光の波長と強さを平均化したものであり、「コズミックラテ」と呼ばれています。

名前からもわかるように、柔らかいベージュ色であり、宇宙のイメージである真っ黒い感じは科学的には否定されているわけですが、前述のような色とりどりというのとも、また違った感じといえるでしょう。

世界中にあらわれる変わった虹

虹といえば、ここしばらく、あちこちで美しい虹が観察されています。
5月23日には、大阪から東京にかけて広い範囲で「環水平アークをみることができました。
こちらは、通常のアーチ型ではなく、水平にかかった虹といった感じの現象であり、厳密には虹とは違った原理で発生しているのですが、その姿と色合いは虹とほとんど同じです。
また、タイのバンコクでは、6月9日に空が七色に染まる彩雲が、オーストラリアのシドニーでは、6月17日にかなり巨大な二重の虹がでたことが話題となっています。

これだけ世界や宇宙で、色々な虹が発生していると、虹には、いったいどういう意味があるのかを、考えたくなってしまいます。神話などをひもといていくと、虹は、「道や橋」と考えられることが多かったようです。

虹は橋? それとも蛇?

北欧神話では「ビフレスト」と呼ばれる虹の橋が、地上からアースガルドという世界への架け橋になっているとされています。
虹の一番外側は赤色ですが、巨人が侵攻してくるのを防ぐために火が燃えているために赤いのだそうです。
同じような虹の橋は他の神話にも登場しており、ギリシャ神話の虹の女神は、虹の橋を通って天と地を行き来していたといわれています。

もうひとつの、虹のとらえ方としては、「蛇」や「龍」と同一視するというものがあります。
漢字の「虹」には「虫」という文字が含まれていますが、これは古代中国で虹が龍の一種である、すなわち生物であると考えられていたからなのです。

天と地の架け橋であり、蛇や龍ともされる虹ですが、縁起がいいものなのか、それとも悪いものかというと、諸説ありますが、古い時代には虹はあまり縁起がいいとは思われてはいなかったようです。

世界各地に伝わる虹に関するタブー

これは蛇が、災厄をもたらす存在であると考えられていたことと、虹があまりにも「強力な力を持つ神聖な存在」だったために、人々が恐れたからだというような説があります。
その証拠に、世界各地に「虹を指さしてはならない」というタブーがつたわっているのです。

沖縄には虹は神であるので、それを指さすと不敬にあたり、指先からだんだんと腐ってしまうという言い伝えがありました。台湾や韓国といった沖縄に比較的近い場所でも、同じような言い伝えがありますし、北米や南米では虹は雷神や雷なので、指さすと関節がはれたり、爪が腐るという言い伝えがあるのです。
他にも、ドイツや、イギリスでも虹を指さすと失礼にあたり、指がなんらかの害を受けると考えられていたようですので、虹というのは、それだけ人間に対して影響力をもっていたのでしょう。

近年になって、虹が単なる自然現象だということが科学的に解明されたことで、その美しさだけが話題となり、どちらかというと縁起のいいものという発想がでてきたようですが、本来は、恐れ多いほど神秘的な存在だったわけです。

虹が示す世界の行く末

そんな虹が立て続けにあらわれているというのは、2015年に入ってからも続く、世界的な異常気象となにか関係があるのかもしれません。
果たして、強力なパワーを持つ虹は、私たちになにを伝えようとしているのでしょうか?

これから、ますます自然が人間に対して猛威を振るっていくことを示しているのか、それとも、天から降りてきた虹によって、ようやく安定がもたらされるのか? 願わくば後者であることを祈ります。

Myths and taboo surrounding the rainbow.
Rainbow want to tell what?