元々は女性の智慧だった?~盛り塩の秘密~

神道の神様は基本的に「穢れを嫌い、清浄をよしとします」ので「塩には、生命力を高めるだけでなく、浄化の力がある」と考えられ、一般の人たちでも家の戸口に塩をまくことで、ネガティブなエネルギーをふせぎ、長寿をもたらす力を得られるように祈願していた、とされています。

【盛り塩の効能知っていますか?】

「盛り塩」という風習があります。Trinity読者の皆様ならすでにご存じかと思いますが、「塩を三角錐状に固めたものを、門前や部屋に置くこと」で、「幸運を招いたり、魔除けになる」というものです。

飲食店などでよく入り口に置いてある盛り塩は、福を招くというよりも「客を招く」という意味で置かれており、一般の住宅に置かれている場合は、ネガティブなものを家に招かないように「魔除けとしての意味合い」で置かれているケースが多いようです。一見すると正反対の効果を持っているように思えますが、これは盛り塩の起源と、素材となる塩の性質が関係しているようです。

 

【皇帝からの寵愛を受けるために使われた盛り塩】

盛り塩の起源には諸説あるのですが、基本的に「中国から伝来したもの」といわれています。多くの妾をもっていた皇帝が、夜の相手を選ぶのが面倒くさくなり、自らが乗る車をひいていた羊、もしくは牛に選ばせていたところ、ある女性が「動物が好む塩を自らの居室の前に盛っておいたところ、毎回のように皇帝がその部屋を訪れた」ことから、彼女は皇帝からの寵愛を一身に受け「栄達を極めた」というのです。

このことから、「塩を家の前に盛っておくことで幸福を招く」とされました。また、必要な人を引き寄せるということもあり、客商売では縁起担ぎとして玄関の左右に盛り塩が設置されるようになったわけです。

 

【神が創り出した塩】

日本では塩は「塩椎神」という神様によって創られた「神聖なもの」だとされていました。当時の天皇は、この「神聖な塩を食べていために長寿だった」とも言われています。こうしたことから、神道では神様への捧げ物として塩を重要視しました。

神道の神様は基本的に「穢れを嫌い、清浄をよしとします」ので「塩には、生命力を高めるだけでなく、浄化の力がある」と考えられ、一般の人たちでも家の戸口に塩をまくことで、ネガティブなエネルギーをふせぎ、長寿をもたらす力を得られるように祈願していた、とされています。また、別の説としては、経験的に「塩が持つ殺菌効果を知っていた」人たちが、病気などで亡くなった人の穢れ、すなわち「ウィルスを祓うために塩を使っていた」ことから、塩は穢れ払いに効くと考えられるようになったというものもあります。

 

【エネルギーレベルで見た盛り塩】

スピリチュアルな世界では、盛り塩は「エネルギーバランスを取る」といわれていますが、エネルギー的に見るとバランスを取るというよりも、玄関や室内など「エネルギーを循環させるという意味合い」があります。これは、塩が湿気などを吸収して、その形をかえることで、エネルギーが動き出すということからきています。

ですので、盛り塩は「定期的に新しいものに交換する」ことがベストです。エネルギーを循環させるだけでなく、「ネガティブなエネルギーを吸収しています」ので、使っていた塩は他の用途に使わずに、水に流すなどして捨ててしまいましょう。

素材としては、「自然塩を使う」のがベストです。湿気などを吸収してエネルギーを循環するという意味合いでは、最悪精製された塩でもなんとかなりますが、生命力を強化したりするという意味にはあまり使えないでしょう。

ちなみに、前述した塩椎神が創ったとされている塩は「藻塩」と呼ばれています。この製法は、「長らく失伝していた」のですが、1984年に塩を作っていたのではないかと思われる土器が出土したことがきっかけとなり、現代に藻塩を蘇らせる研究が開始されました。それから10年以上たって「古代土器製塩法」という方法が完成したのです。

この方法では、海水に浸した「ホンダワラという藻」を乾燥させ、また海水に浸けてという工程を何度も繰り返します。こうすることで、塩分濃度を高めていきます。その結果、塩分濃度が高く、なおかつ藻の成分も含まれた水ができるのです。最後にこの水を土器で煮詰めることによって塩分が結晶化して浮いてきます。この結晶化したものこそが「藻塩」となります。通常の塩と違って藻の成分も含まれているために茶褐色であり、味も複雑でまろやかだといわれています。

最近ではこうした古くからの製法で藻塩を作っているところも増えてきましたので、より本格的な盛り塩を行いたいという方は、こうした塩を手に入れてみて、塩の種類でどのように効果が変わるのかを調べてみるのも面白いかもしれません。

 

Power of prime salt.
Origin of prime salt was “Wisdom of women”.