【ウェルニッケ脳症】から乳幼児を守れるのは親だけです!スポーツドリンクの飲み過ぎで脳に障害が……!?

最近、スポーツドリンクのビタミンB1不足が原因で、乳幼児のウェルニッケ脳症の患者が増えています……

みなさん「スポーツドリンク」というとどんなイメージがありますかね?

おそらくかなり多くの人が「健康飲料」じゃないんですかね?

先日都内で「子どもの食育を考えるフォーラム〜子どもの食の安全と対応〜」(日本小児科学科・日本小児保健協会・日本小児科医会共催)があり参加してきました。
このフォーラムは医療関係の先生方が様々なテーマで最新の情報や情勢をお伝えしてくれるのですが、その中でちょっと驚いた症例報告がありまして、それは愛知県の小児科医の先生が発表した「スポーツドリンクとウェルニッケ脳症」という症例を踏まえたお話でした。

 

ウェルニッケ脳症とは?

「ウェルニッケ脳症」って病名聞いたことない方多いですよね?
簡単に説明しますと、ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)不足によって起こる脳の病気で、目が寄り目になってしまう眼球運動障害や不安定な歩行などの運動障害、そして記憶障害などを引き起こしてしまいます。

最近、乳幼児のウェルニッケ脳症の患者が増え始めているようで、発表された医師いわく、その原因は「スポーツドリンクの飲みすぎによるもの」だというのです。

スポーツドリンクは吸収の早いブドウ糖や果糖、果糖ブドウ糖液糖などが入っていますが、糖代謝に必要なビタミンB1が入っていないんですね。ぼくも日本の有名どころのメーカーのスポーツドリンクをチェックしましたが、ビタミンB1が入っているのは全然なく、かろうじて見つけたのがザバスでした。ザバスのを乳幼児に飲ませる人ってまあいないですよね。

つまりスポーツドリンクを過剰に摂ることで、糖は身体にどんどん吸収されていきますが、ビタミンB1がないために糖代謝ができず、血中の糖が過剰になり、結果チアミン欠乏症であるウェルニッケ脳症を引き起こしてしまうのです。

風邪などでこどもを病院に連れて行ったときに「スポーツドリンクを飲ませて水分をしっかり摂るように」とお医者様から言われ、飲ませたら子どもがスポーツドリンクにハマってしまってそればかりをずっと飲むようになってしまい、何ヶ月も飲ませていたら結果的に脳症を負ってしまったということです。

症状の早い段階でチアミン投与などの適切な治療を受ければ回復するらしいのですが、気づくのが遅いと脳に後遺症を負ってしまうケースもあるようです。

 

原因はどこにあるのか?責任はだれにあるのか?

まさかスポーツドリンクが原因で病気になってしまったなんて、親からしたら夢にも思わないですよね。
この問題の原因はスポーツドリンクを勧めたお医者様にあるのでしょうか?それとも親の知識・管理不足にあるのでしょうか?
ぼくは「スポーツドリンクは健康飲料だ」というイメージが原因の根本にあると考えています。

ぼくは昔、水を全然飲まなくて、スポーツドリンクばかりを飲んでいた時期が何年間もあります。
スポーツドリンクの方が美味しいし、健康的な飲料だから、普通の水を飲むよりはるかにいいじゃん! って思ってました。
これが一番危険な思い込みです……。

カツアキ 2015 0326 赤ちゃん

スポーツドリンク2大大手、ポカリスエットの大塚製薬と、アクエリアスのコカコーラのお問い合わせ窓口に問い合わせしてみたところ、まずポカリスエットはスポーツドリンクと称して販売をしていないということでした。そうなんです。ポカリスエットってテレビコマーシャルとかでもスポーツドリンクとしてそもそも打ち出していないんです。逆にアクエリアスは積極的にスポーツドリンクとして打ち出していますね。ホームページを見ていただくとわかります。
ポカリスエットにビタミンB1を入れていない理由を尋ねたところ、「水分補給」がそもそもの目的の製品だからだそうです。つまり、体内に足りなくなった水分を補うのに腸管から浸透圧によって水分吸収を高めるために糖分を入れているので、はじめから糖代謝目的でビタミンB1を入れておくというのは想定していないそうです。アクエリアスはこのあたりの回答は得られませんでした。

ちなみにぼくの友人が、日本体育協会のスポーツ指導者講習に行ったときに大塚製薬の方が「スポーツ中にポカリスエットを飲むことで最大のパフォーマンスが出る」と講演されていたと言っていました。
タテマエではスポーツドリンクと言ってなくてもホンネは別なんですよね。

とはいっても一般的なイメージはどちらもスポーツドリンク。
つまり健康飲料なんです。
「天然」「ナチュラル」というと「安心」「身体にいい」
というイメージがあるように。

日本の消費者はこういうイメージにとてつもなく左右されやすい。(ぼくも含めて……)
そういう意味でスポーツドリンクのイメージを作ってきたメーカーやメディアにも責任があるでしょう。

ここまでお話をして誤解しないでいただきたいのは、スポーツドリンクを否定しているのではないです。
運動中は糖も水分も補給が必要です。ぼくは高校・大学と水球というスーパーハードなスポーツをやっていたので、スポーツドリンクには本当に助けられました。
問題は現代人の多くは身体活動をあまりしていないのに過剰に糖の摂りすぎることであり、昔のぼくのように「スポーツドリンクは健康で安心」という間違った認識を持っていることです。

たとえお医者様から勧められても、メーカーから勧められても、最終的には親が判断しなくてはなりません。
最終的に幼いこどもを守れるのは親しかいないのですから。
だからこそイメージにとらわれない正しい知識と判断力を身につけることが大事なのです。