神社やお寺と関係のあるありがたいお菓子 「あぶり餅」

単に美味しいだけでなく、日本文化、そしてスピリチュアリティも体内に取り入れられることのできる日本の和菓子。その数々をご紹介します。

お菓子、スイーツといえば、女性には欠かせないもの。

最近では、和菓子の良さも見直されてきていますが、話題となるのは、パンケーキやポップオーバーといった海外から入ってきたものの方がが多いのが事実です。

確かに海外から入ってくるお菓子は見た目がかわいらしく、美味しいわけですが、和菓子には古くからの日本の文化が詰まっているだけではなく、スピリチュアルな意味合いをもったものも多くあります。
今回は、そんなお菓子を紹介していきたいと思います。

まず最初に紹介するのは、女性に人気のパワースポットとして知られている、京都の「今宮神社」の門前菓子である「あぶり餅」。

こちらの神社は、玉の輿にのれる御利益があるとして人気を集めています。

本来は平安時代に疫病を鎮めるために建てられていたのですが、江戸時代になってから、「玉の輿」という言葉の由来になったといわれている、徳川五代将軍綱吉の生母である「桂昌院」が深く信仰したことから、今では玉の輿の御利益のほうが強調されています。

そんな今宮神社の門前には、2軒のあぶり餅を出すお店があります。

このお菓子はこぶりなサイズにちぎったお餅に、きなこをまぶしたものを炭火であぶってから、特製の白味噌だれを絡めたもので、門前にはいつも香ばしい香りが漂っています。

サイズが小さいために女性でも食べやすく、ついつい本数を重ねてしまうこのお餅、元々の今宮神社の御利益と同じように、食べることで疫病よけの効果があるといわれていますので、健康を願って食べるといいでしょう。

次に紹介するのは、月に3日間しか買うことの出来ないという、とってもレアなお菓子。江戸時代末期に、京都の有名なお寺である「東寺」のお坊さんから、修行中にも食べられるようにと、依頼されて作られたものだといわれています。

修行中に食べられる、すなわちお寺でも作ることができるように、熱した銅鑼の上で皮を焼いて作ったことから「どら焼き」という名前なのですが、一般に知られているどら焼きとは全く違った形をしており、棒状のこしあんを薄皮でつつんだ、バウムクーヘンのような構造になっています。

食感も良く、味も美味しいということで大評判となったのですが、皮を一枚ずつ焼き上げていく必要があり、つくるのに手間がかかることから、弘法大師空海のご命日となる、21日の前後3日間だけ販売することになったのだそうです。

このお菓子を作っているのは、「笹屋伊織」という京都のお菓子屋さんなのですが、全国展開もしていますので、タイミングさえあれば各地で買うこともできますし、通信販売で予約をしておくことも可能となっています。

最後に紹介するのは、1000年以上の歴史を持つという、とても古いお菓子。
歴史があるだけでなく、「聖天(しょうてん)」という仏様にお供えするために作られた非常に特別なものです。

聖天とは、別名「歓喜天」ともいわれており、インドでは「ガネーシャ」という神様として信仰されています。
こちらは、今でもインドで広く信仰されていますので、象の頭をした神様の絵や像を見たことがあるという方も多いかも知れません。

ガネーシャは汚れた存在から生まれているので、反対に清浄を好み、伝説によると、お菓子を常に持ち歩いていたということから、特別なお菓子を捧げるようになったのだそうです。

聖天=ガネーシャは、とても強力な現世利益をもたらしてくれるといわれていますので、それを叶えて貰おうという人は多く、お供えものにも特別なものが捧げられることが多いのですが、それだけに、このお菓子もとても複雑な作り方をしています。

詳細は秘伝とされているのですが、現在ではこしあんに「清め」の意味を持つ「白檀(びゃくだん)」や、「丁字(ちょうじ)」などといった、仏教で使われる7種類のお香を練り込み、米粉と小麦粉で作った生地を金袋型にして包み込んで、最後にごま油であげているのだそうです。

職人さんが精進潔斎してから作るというこのお菓子の名前は「清浄歓喜団(せいじょうかんぎだん)」。名前だけ聞くととてもお菓子とは思えないかもしれません。

味は古くから伝わっているというだけあって、甘さは控えめなものの、多くのお香が入っていることから、なんともいえない複雑な風味があるそうです。

こちらは現在、「亀屋清永」というお菓子屋さんだけが、古来からの製法で作り続けています。
基本的にはお供え用ですが、普通にお菓子としても購入することは可能ですし、通信販売も行っていますので、興味がある方は取り寄せて食べてみてください。

いかがだったでしょう?
単に美味しいだけでなく、日本文化、そしてスピリチュアリティも体内に取り入れられることのできる日本の和菓子。

他にも、こういったお菓子はまだまだ色々とありますので、老舗の和菓子屋さんを訪れる機会があったら、探してみるのも面白いかもしれませんよ?