春到来! ハイキングがてら神聖な石のパワーに触れにいこう

神社の古来の形態であった「磐座」は、全国各地に存在しています。春のエネルギーとともに、体一杯に「磐座」パワーを吸収してみては如何でしょうか?

日本には古くから、巨大な石を神聖なものとする文化がありました。

これらの石は「磐座(いわくら)」と呼ばれ、神が下りてくる場所と考えられていたのです。
時代がたつにつれて……神殿ができあがるにつれて、磐座自体は人の目から隠されたり、場合によっては重要視されなくなってきましたが古来は磐座が神社そのものでもあったのです。

現在、20年に1度の「式年造替(しきねんぞうたい)」が行われている、奈良県にある「春日大社」では、4月1日から5月31日の間だけ、さまざまなものが特別公開されることになっています。

その中には、一般に向けては初公開されるという「磐座」もあります。

こちらは、春日大社が建立される要因になったともいわれるものであり、まさに古代の信仰を集めていた特別なものですが、こういったパワーに溢れた磐座は全国各地に存在しています。

 

巨大で神聖なものであるにも関わらず、自らの体で触れることもできるという磐座があるのは、山形県にある「湯殿山神社(ゆどのさんじんじゃ)」。

こちらは、山岳信仰の聖地として多くの信仰を集めている場所であり、古来からの神社の形態を色濃く残しています。
そのために、本殿や社殿といった神殿がなく、ストレートにご神体が鎮座しているのです。

もちろん、ご神体が鎮座している場所は、すなわちご神域ですので、参拝するためには、例え冬でも裸足になって、神職から禊ぎを受ける必要があるのですが、それだけに他の神社ではなかなか感じることのできないとても強いパワーと、古い時代から伝わるエネルギーを感じることができます。

ちなみに、ご神体がなにかということは、古来より「問うな語るな」とされており、現代ではさすがに語るなというのは無理なものの、写真撮影なども一切禁止されている、まさに聖地となっています。

 

同じように磐座をご神体としていながら、あまりの大きさに隠すこともなく、神聖な偉容を示している場所としては、群馬県の「榛名神社(はるなじんじゃ)」があげられます。

この神社は、巨石、奇石が大量にある、まさに磐座密集地帯ともいえる山に鎮座しており、拝殿の後ろには巨大な「御姿岩(みすがたいわ)」があります。

こちらの磐座は、たんなる依り代ではなく、神様の姿そのものという言い伝えもあるほどであり、一目見るだけで、ここが信仰の地になった理由がわかるほどのインパクトがあります。

さらに、この御姿岩には洞窟状の空間があり、主祭神はそこにお祀りされているということですので、まさに自然の営みと、信仰とが密接に融合した場所といえるでしょう。

 

さほど大きい磐座ではないものの、姿があまりにも不思議なために信仰を集めているという場所もあります。兵庫県にある「生石神社(おうしこじんじゃ)」の磐座は、水の上に浮かんでいる不思議な建造物です。

こちらの磐座は「石の宝殿(いしのほうでん)」と呼ばれており、高さは約5.5mと磐座の中では、そんなに大きいものではありませんが、横約6.4m、縦約4.7mというしっかりと成形されたような綺麗な形をしており、重さ推定500トンにもかかわらず、小さな池に浮いているといわれています。

さすがに、本当に池に浮いているわけではありませんが、そういった逸話が作られるのも納得できるほどの不思議な造形であり、「生石神社略記」によると二人の神様が石の宮殿をつくろうとしたところ、他の神様が反乱を起こしたために、それを鎮圧に出かけて完成途中で放置されたものだとされています。

神の依り代ではなく、神が作った造形物ということでも、他の磐座とはちょっと趣を異にしていますが、こちらも一見の価値はあるパワーとミステリーにあふれた磐座です。

今回紹介したものは、どれもが魅力的な磐座ばかりで、パワーとエネルギーにあふれた神聖なものですが、そもそも神社の古来の形態であったこの磐座は、全国各地に存在しています。

これから、ますますお出かけにはぴったりの季節になっていきますので、古代からの信仰とエネルギーが息づく磐座を訪れて、そのパワーを春のエネルギーとともに、体一杯に吸収してみてはいかがでしょうか?

今回紹介したスポット一覧
春日大社
奈良県奈良市春日野町160

湯殿山神社
山形県鶴岡市田麦俣字六十里山7

榛名神社
群馬県高崎市榛名山町849

生石神社
兵庫県高砂市阿弥陀町生石171