北イタリアの世界遺産「サクロ・モンテ(聖なる山)」
西洋と東洋の女神-偉大なる母たち
(前編)

北イタリアに広がる「サクロ・モンテ(聖なる山)」と呼ばれる9つのカトリックの聖地が作られた背景とは?
北イタリアの世界遺産「サクロ・モンテ(聖なる山)」<br>西洋と東洋の女神-偉大なる母たち <br>(前編)

イタリア北部にあるロンバルディア州、ピエモンテ州はアルプス山脈を背景に豊かな森と美しい湖が広がっています。その一帯に15世紀に造成され、2003年に世界遺産に登録された「サクロ・モンテ(聖なる山)」と呼ばれる9つのカトリックの聖地が分布しています。
このサクリ・モンティ(サクロ・モンテの複数形)が作られた背景には事情がありました。第一に、オスマントルコの侵略によって、エルサレム巡礼が危険になったこと。第二に、アルプスの北側でマルティン・ルターの宗教改革が活発化していたこと。
それらに対抗しカトリック信仰を深める為の手段として、若い頃に聖地エルサレムを訪れ、感銘を受けたベルナルディーノ・カイミ神父の決意によって、彼の故郷であるピエモンテ州バラッロの山を皮切りに9つの聖地建設が始まったのです。
2013年11月、アメリカから来られたヴェーダの指導者デイビッド・フローリーとヨギニ・シャンバビの率いるグループを、グループの一員でもあるヴァレーゼ出身のシルビアが、バラッロの次に完成したロンバルディア州ヴァレーゼのサクロ・モンテに案内してくれた。
このサクロ・モンテは、ロザリオ(カトリック教の数珠のような祈りの道具)を使いながら、聖母マリアにキリストへの取り成しの祈りを捧げる行為を意味する「ロザリオの祈り」という名前で呼ばれ、聖母マリアを拝したサクロ• モンテと見なされています。

標高600メートルの入り口から頂上まで2 km 続くヴィア・サクラ(聖なる道)の道沿いにある14の礼拝堂を順に巡り、その中のフレスコ画や彫刻によって再現されたイエスの生涯を追体験しながら、巡礼者は標高832メートルの頂に建つ至聖所に到着するまでの心の準備を行うのです。
<ヴィア・サクラ(聖なる道)からの景色>

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私達グループは雪が降る静かな坂道を黙々と登り続けた。
ヴァレーゼ湖やアルプスの山々の開放的なエネルギーに見守られ、沢山の祈りが捧げ続けられてきた聖なる山は、サクロ・モンテが造成される以前から巡礼地だったという。
最終地点の至聖所。そこで目にしたのは、肌の色の黒いマドンナ・ネーラ(黒い聖母)だった。可愛らしい雰囲気のこの黒い聖母像は、世界中で約500体が知られている。450体はヨーロッパに存在し、その中の272体が特にフランスに分布しているという。日本にも山形県の教会に1体保管されている。

何故黒い肌のマリアなのか?
カトリック教会は、時代と共に黒ずんでいったという立場を取って無視しているらしいが、至聖所にある像は明らかに色が塗られていたものだった。

<至聖所の黒聖母像>

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ヨギニ・シャンバビは、まるで会話をするかのようにうっとりしながら黒い聖母を長い間見つめて言った。
「カーリー神だわね。」
その後、各自持参した真っ赤な薔薇の花を祭壇にそっと置いてゆく。ヨギニ・シャンバビは、何でも厳かな儀式に変えてしまう力を持っている。あっと言う間に薔薇で一杯になった祭壇はヒンズー寺院を思わせた。
ステンドグラスの大きな窓からは、雪に反射した光が優しく降り注ぎ、人気の無い至聖所の静けさを更に神聖なものにしてくれた。
(つづく)

<至聖所の内部>

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