科学の世界でも注目されつつある 最新の研究でわかってきた臨死体験にまつわるあれこれ

臨死体験は空想のものではなく、時に現実よりもリアルだったことがわかりました。それは何故か……臨死体験の時には意識があるだけでなく、覚醒している時よりも精神的に高揚している可能性が高いのです。

「臨死体験(りんしたいけん)」、英語では「Near Death Experience」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

こちらは「死から蘇った人が遭遇したとされる不思議な体験」のことです。

死後の世界がどうなっているかということについては、洋の東西を問わず常に探求されてきた事柄ですが、唯一、科学的にアプローチできるのが「臨死体験」であるとして、近年注目を集めています。

臨死体験は科学的な研究というよりは、スピリチュアリズム、いわば心霊研究の領域でしたが、1975年に、医師である「エリザベス・キューブラー・ロス」が臨死体験に関した著書を出版したことで、科学的な世界からも注目を集めるようになり、現在では「国際臨死体験研究会」という組織ができるほどになりました。

ロスが著書出版してから、40年以上がたちましたが、死後の世界という困難な分野にもかかわらず、ここ数年でさまざまな研究結果が発表されています。

ベルギーにある「リエージュ大学」では、臨死体験をしたときに見る映像が完全に想像上のものなのか、それとも実際に起こったことなのかを調べる研究が行われました。

これは臨死体験を研究する上では非常に重要なポイントとなるものであり、見ているものが想像上の幻覚であるならば、研究する価値はほぼなくなるといっても過言ではありません。

リエージュ大学の研究者たちは
「完全に想像の産物ならば、それは架空の記憶である空想に近いはずであり、反対に現実に近いものならば、実際の出来事の記憶に近いはずである」
という仮説をたてました。

この仮説に基づいて調査をした結果、臨死体験時の記憶は、架空の出来事の記憶と似ているものもあったものの、実際の出来事の記憶に固有ものもあり、さらに現実の記憶よりもその割合が多かったというのです。

つまり、臨死体験は空想のものではなく、時に現実よりもリアルだったことがわかりました。

なぜ このようなことが起きるのか?

アメリカにあるミシガン大学の研究者が『米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)』に発表した研究によるとラットの心臓を人工的に停止させ、その時の状態を記録したところ、心臓が停止してから30秒間にわたって、脳の活動が活発になり、その時は非常に精神的に高揚している状態だという結果がでました。

つまり、臨死体験の時には意識があるだけでなく、覚醒している時よりも精神的に高揚している可能性が高いのです。

このような、医学的には脳が活動を停止しているにもかかわらず、意識が存続しているという現象は他の研究でも明らかになっています。

イギリスの国立大学である「サウサンプトン大学」で行われた、イギリス、オーストリア、アメリカにある15ヶ所の病院で、心停止に陥った患者さん2000人以上を調査するという臨死体験関連研究史上最大規模ともいえる研究によると、心停止から蘇生した人の、約4割が医学的には死亡しているにもかかわらず、蘇生するまでの間に意識があったことがわかっています。

これはラットを使った実験の内容とも符号しており、脳が停止していても、人間には意識があり、そのときは通常よりも精神的には高いレベルにある可能性が高いことが科学的に証明されているのです。

つまり、意識の宿る場所というのは脳だけではなく、むしろ脳から解き放たれたときこそ、本来の機能を十全に発揮して、通常は見ることの出来ない死後の世界や高次の世界へアクセスしているという可能性を示唆しているともいえます。

今後も研究が進んでいくことがあれば、科学とスピリチュアルな世界の境界はますます曖昧となり、最終的には今までスピリチュアルな世界で当然とされていたことが、科学の世界でも認められるようになるかもしれません。