きたる4月4日の皆既月食の日、あなたはどのように過ごしますか?

日本では、月の力が弱まることで姿が消えるという思想がありましたので、月食の時には月が力を取り戻すようにお供えをしていました。 また、月食の光は身体に悪影響を与えるとも考えられていました。

4月4日には、月がすべて隠れる「皆既月食」があります。

ここ数年は条件の良い皆既月食が続いたために、あまり珍しくないように思えるかも知れませんが、今回の月食を逃すと、次に条件の良い皆既月食を見ることができるのは、3年後の「2018年1月31日」となっていますので、今回のチャンスは見逃せないところです。

天体現象としての皆既月食は、とても神秘的なものですが、どうして月が消えるのかという原理をわかっている現代人と違って、普段とは違った姿に変わる月というのは、多くの神話で不吉なモノとして扱われてきました。

有名なものとしては、ヒンドゥ教の有力な神様である「ヴィシュヌ神」の怒りをかって、首だけの姿にされてしまった、魔族の「ラーフ」が、月を飲み込んで月食を起こすというものがあります。

他にも、北欧神話では、月が狼に飲み込まれて月食になるとしていますし、ビルマや韓国では、狼ではなく犬が月を飲み込むことで月食になる、という神話があります。

また、他の動物としては、古代ギリシャではロバ、アフリカでは猫が月食の原因とされているようです。

月はその姿を定期的に変えていくことから、多くの神話で神秘的なものとされてきましたので、それが消えるということは、魔族や魔神、悪霊といったネガティブな存在や、狼や犬といった霊的なチカラの強い動物によって隠されると考えられたのでしょう。

現在でも、月食は不吉なものと考えている地域はあり、前述したラーフを追い払うための儀式なども行われています。

2011年12月10日にタイで月食が起こったのですが、その際にラーフを祓うために住民が空中に向けて銃を発射し、その弾丸が落ちてきて数名が怪我をしました。

ラーフを祓うためには太鼓を叩いたり、爆竹を鳴らしたりするのですが、最も効果的なのは銃を撃つことなのだそうです。とはいえ、当然ながら銃の弾丸が宇宙まで到達するはずもなく、戻ってきた弾丸が偶然に当たって怪我人が出てしまったのです。

このようにアクティブな方法ではないものの、日本では、月の力が弱まることで姿が消えるという思想がありましたので、月食の時には月が力を取り戻すようにお供えをしていました。
また、月食の光は身体に悪影響を与えるとも考えられていました。

いむといひて影にあたらぬ今宵しも
われて月みる名や立ちぬらん

こちらは、平安時代の歌人である「西行(さいぎょう)」が詠んだ歌で、
「月食だと忌み嫌って、誰もがその光にふれないようにしている今夜だけれども、だからこそ、私はその月を見ようと思う。これで悪い評判が立たないといいのだが」というような意味があります。
この歌からも、月食の時に月を見るというのは、かなりの変わり者が行う行動だったということがわかります。

実際に平安時代の貴族などは、月食の光には決して当たらないように、館の中にとじこもって「物忌み」をしていたのだそうです。

さらに、今回の月食は、4月4日、「死」に通じているとして縁起の悪い4がふたつかさなっています。
また、4という数字は陰に属するともいわれていますので、昔の人だったら、まず外に出ることはないでしょう。

その一方で、皆既月食が起こるときにはかならず満月となるという事実もあります。
満月のパワーを利用したワークは様々あり、そのエネルギーが通常とは違った変化をするという意味では、月食の時だからこそ特別なワークを行うことも可能といえるでしょう。

皆さんは、家の中でじっとしているでしょうか? それとも西行のようにあえて外にでて、皆既月食ならではのエネルギーを感じて、より深いワークを行うのでしょうか? もちろん、ふつうに自然の神秘として観察して楽しむという方法もありでしょう。

きたる4月4日、どんな風に、あなたは皆既月食の夜を過ごしますか?