ドキュメンタリー映画「ディオールと私」の中に感じたスピリチュアル【前編】

クリスチャン・ディオールの舞台裏を描く話題のドキュメンタリー映画がついに3月公開!
ドキュメンタリー映画「ディオールと私」の中に感じたスピリチュアル【前編】

■シネマレビュー前編

昨年4月、私の第二の故郷アメリカ・NYCのトライベッカ映画祭で、ベルギー出身デザイナーのラフ・シモンズが初めて手掛けたDiorのオートクチュールコレクションの舞台裏に迫るドキュメンタリー『ディオールと私 (原題:Dior and I )』が上映されました。

そして今年2015年3月14日(土)本作の日本公開が決定。Bunkamuraル・シネマ他全国で上映されます。

ニューヨークを拠点に活動するフレデリック・チェン監督によるこの作品は、トライベッカ映画祭で、コンペティションのオープニングナイトに公開されました。NYCブランドのジル・サンダーのクリエイティブディレクターだったラフ・シモンズ。2012年、彼がディオー ル就任後、初となるオートクチュールコレクションの舞台裏を描いたドキュメンタリーなんですが、私にとってとても意味ある映画でした。

というのも、この映画の風景や登場してくる人物は私の過去の記憶に結びつき、
それが良い化学反応を起こしたからなんです。素敵なスピリチュアル体験です。

NYに移住する前、私はアロマセラピー資格を取得するために英国に二年間滞在していました。その間パリに5回ほど訪れ、とても大好きなお気に入りの街でした。当時の毎日がワクワクしてとっても楽しかった学生時代の記憶が甦ってきたのです。映画にも集中しているんだけど、記憶も甦ってきてなんともいえない心地よい感覚が1時間半続きました。

NYで暮らした10年間は、毎年2回あるNYCファッションウィークで友人たちがデザイナーだったので参加させていただく機会もあって、比較的新しいブランドのファッションショーは経験済みでしたが、このような老舗のブランドの裏側は大変興味があって、この映画をとても楽しみにしていました。

Diorのような老舗メゾンでも新鋭デザイナーでも、どのようなファッションショーにおいても多くの人々がかかわって、一生懸命に仕事に取り組むのは同じだと思います。

私のNYC新鋭デザイナーの友人(HEATHERETTE)もコレクションがあるたびプレッシャーにさらされいつもてんやわんやでした。メルセデスベンツ会場は毎回シッチャカメッチャカなカオスでした。

そういった経験もあるので、映画に見入っていると自分が登場人物たちと同一化して、彼らの緊張感が体感しているような感覚になりました。

そして、映画の白黒の過去の映像と現代の色鮮やかな映像が大変美しくうっとりするだけでなく、私の脳裏には、過去のヨーロッパ&ニューヨーク生活の記憶が甦り、脳内は映画のストーリーを見ているだけでなく、いろいろな想いが駆け巡っていたのです。

さらにこの映画は、通常は一般公開されないようなシーンにも踏み込んでいて、初のDiorコレクションを完成させるまでの、こちらまで大プレッシャーで緊張してきてしまうような、焦っているラフ・シモンズが見られる8週間の記録なのです。

サブ3

また、トリニティー読者の皆様には一流ファッションだけでなくスピリチュアルな視点からも見てもらうと、もっとこの映画、面白くなるに違いありません。

最初のスピリチュアルな話題は、Diorはパリの伝統あるメゾンということもあり、なんとそのアトリエにはクリスチャン・ディオール氏の霊がでるんだと何人かの職人たちが証言しているシーンもあります。夜セキュリティーのおじさんがだれもいないアトリエで幽霊の気配や影を感じたという話まででてきます。

この話、あながち嘘ではないような気がします。

歴史あるヨーロッパの建物はとても古いのです。私もロンドンに住んでいた時のフラットはあの夏目漱石が一室を借りていた家でした。一軒家を何人かでシェアしていたのですが、やはり夜中に誰もいない部屋からラップ音をきいたりするという出来事がありました。ニューヨークでも古い建物は築100年以上。そうゆう霊の話はよくききました。私も肉眼で見たことはないですが、たまに誰かいる!みたいな気配は感じていたので。

二つ目に、ラフは、デザインをどのようにクリエイトするかというと、毎日アート作品を見るのです。アート作品をみて、「リラックスしてインスパイヤーされる」のです。この映画の中では現代アーティストのスターリング・ルビーの作品をみていました。字幕では「アートを見るとリラックスして霊感を得られる」って直訳されてるんだけど、それはおかしい。霊感って日本語はこの解釈には適さない。よく、海外アーティストが私に言ってくれていました。「you inspire me!」つまり「君に刺激をうけたよ」って解釈するのが正しい。

こう考えると外国映画はやっぱり字幕でみるより、語学を勉強してそれで理解しないと、間違った意味合いの解釈になっちゃいますね。だから日々勉強です。

三つ目は、ラフがヘリコプターで海の見渡せる場所にある美しい植物に囲まれた、サーモンピンク色のディオール邸を訪れ、庭でおしゃべりをしているシーンです。ディオールの自伝を15ページくらい読んでこれ以上読むのをやめたと。なぜかというと、自分がディオールと同じ行動をしていることが怖くなったんだそう。だから、ショーが終わるまで自伝本を読むのをやめたのですって。それはまるで、ディオール氏が彼にのり移っているように感じたからだと思うんです。実は私も同じような事があります。自分の中に誰かがのり移っているようなこと。たとえば、特にわかりやすく言えば演技や歌、トークなど何かを表現をするような時にはそうゆう感覚になります。何か守護霊のようなものが自分に降りてきてサポートしてくれているような……。だから、このラフの話はとても共感できました。

サブ4

そして、最後にファッションショー前日、徹夜で6人のお針子助っ人がやってきて夜なべをして、ビーズを縫い付けているシーンです。翻訳されてないから、見た人はわからないから、ここで私がいいます。お針子さんが「エティエンヌの声が」って言っていますが、作業中なにか幻聴が聞こえたシーンがあります。エティエンヌとはフランス語で天使のことです。そこで、「ディオールの亡霊さ」「何をしているのかね?」との字幕が。このメゾンで働く人たちがディオール氏の霊の存在を信じていて、怖がるというより尊敬や喜びの感情で受け入れているのがほほえましいです。

※シネマレビュー後編へ続く……

2015年3月14日(土)、Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
©CIM Productions