アーティストがシェアーできることVol. 4 ~パーキンソン病とダンス~

プロのダンサーになるために受けてきているトレーニングや、アーティストとしての経験。そのすべてがパーキンソン病と共に生きている人たちにとって、価値があることを実感させてくれる動画をご紹介!

こんにちは。ダンスアーティスト、ナテイャサイズインストラクターの宮本です。

今日は、パーキンソン病と共に生きる人たちとダンスのことをお話したいと思います。

”Why Dance for PD”(「パーキンソン病になぜダンスを?」)のビデオを見た後、なんだかこちらまで心と体がほぐされました。
特にみんなで輪になって、エナジーを隣の人へと渡していくところ……。

インタビューされた人も言っていますが、「いつも泣きそうになる」位(このビデオの2:40あたりから)、根底に「優しさ」があふれています。

マーク・モリスダンスグループといえば、モダン・コンテンポラリーダンスをする人なら、一度は名前を聞いたことのあるくらい、世界的に有名なNYのカンパニー。
このカンパニーが、2001年にブルックリンにあるパーキンソン病支援団体、The Brooklyn Parkinson Group(ブルックリンパーキンソングループ)のディレクターから頼まれ、パーキンソン病と共に生きる人たちのために、ダンスのレッスンをはじめます。
最初は、月に1回、6人に教えることからはじまりました。2004年にThe Dance for PD®(「パーキンソン病のためのダンス」)として本格的に週1回のレッスンとなり、マーク・モリスダンスグループが公演ツアーに出かけるときは、各地のツアー場所でもレッスンを提供などして、The Dance for PD®は発展していきました。
昔も今も変わらず、ブルックリンでのレッスンは無料で行われています。そして今はアメリカを含め、14ヶ国に広がりを見せています。The Dance for PD®のウェブサイト(http://danceforparkinsons.org/)によりますと、このプログラム自体はまだ日本には入ってきていないようですが、日本でもパーキンソン病と共に生きる人たちのためにダンスを教えている人たちは、もちろんいらっしゃいます。

「パーキンソン病のことを知ってもらおうとか、特定の症状に対して、これこれこのようなことをしたらいいとか、そういうことではないのです」とマーク・モリスカンパニーのダンサーは、ブルックリンパーキンソングループから言われました。
それより、プロのダンサーになるために受けてきているトレーニングや、アーティストとしての経験のすべてが、パーキンソン病と共に生きている人たちにとって価値があり、それをシェアーしてほしい!  ダンサーたちの思考、イマジネーション、目、耳、バランスやリズム、動きの中での感情・マインド・体への集中力……、それらすべてを。
パーキンソン病のような神経変性疾患に、何かしらの運動が良いということだけではなく、パーキンソン病と共に生きる人たちが陥りやすい孤立・孤独感をダンスは取り除くことができる。
そしてなにより、(このビデオの最後の締めくくりにも出てきますが)、

The essence of dance is joy

(=ダンスのエッセンスは「喜び」である)、と。

アーティストが社会にどのように適合するのか、アーティストはまだまだたくさん社会にたいしてオファーできるものがあるのではないか、ということを知ってもらえるビデオでもあります。

宮本博 ホームページ http://danceinandout.com/