インド・アーユルヴェーダ留学記その4~インドには3つの時間がある~

「インドは超~適当だからイライラしちゃダメだよ。」と教えてくれた友人の言葉が、この時初めて真実味を帯びて理解できるようになったのでした。 しかし、この程度で驚いていてはこの先やっていけないと思い直し、「郷に入れば、郷に従え」で、インドにいるときは私がインドに合わせることにしました。

到着したばかりのホテルの部屋へ一歩はいると、そこは期待をはるかに上回る綺麗で大きなスイートルーム。
贅沢なボスを見つけていた部下たちが、どうもボスの大切な知り合いという事で、特に良いホテルを選んでくださっていたようでした。(支払いはもちろん私ですが!)

インドに行ってからショックを受けないように、事前学習と称してインドの汚い写真を色々と見せては、「インド汚いよ。覚悟していないと、大変だよ~!」と耳にタコができるほど聞かされていた娘たちは、「ママ、全~然きれいじゃん!」といってご満悦。

「ちょっと待った、これは本当のインドの姿ではないわよ」と心の中で叫びつつも、フライト中にほとんど寝ることが出来なかった私も、正直なところ清潔で寝心地のよさそうなベッドを見た時は、心底ホッとしたのでした。

実は……私は渡印前に友人から何度となく、私の律儀で綺麗好きな性格ではインドは3日と堪えられないだろうという忠告を受けておりました。
これがもし南京虫でも発生しそうな、じめじめした小汚いベッドが置いてある部屋に案内されていたら、きっと友人に言われたように、3日も持たずに日本へとんぼ返りしていたことでしょう。

この日は夜もかなり更けてきたので、シェリフご夫妻とイシャム君にお礼をいって、翌日に会う約束をしました。
残念ながらお部屋にはバスタブが無かったので、温かいシャワーを浴びて早々に寝床につきました。
しかし、この時はまだこれから先4か月近くも、お風呂に入れないという事を知る由もありませんでした。

さて翌朝、時差ぼけのせいか娘たちは早起き。
さっさとホテルの庭へ散策にいってしまいました。
仕方なく起こされた私は、36時間近くスーツケースの中に押し込まれて皺だらけになっていた服のアイロンがけをすることにしました。
そう、記念すべき私のインドの生活は、何の変哲もないアイロンがけで始まりました。

しばらくすると、頭に庭に落ちていた花を髪に飾って「お腹すいた~!!」と、元気に戻って来た娘たち。

インドその4 御嬢さん1

「そうね、もうそろそろ朝ごはんの時間よね」と返事をしながら、部屋の時計を見ると、壁掛け時計は7時35分、ナイトテーブルに備え付けの時計は6時54分を指しているではありませんか!
ホテルの部屋のなかの時計だけで、時差がなんと40分も。
そして私のiphoneはまさかの7時15分

分刻みで正確に動く地下鉄に乗り慣れている私には、4星ホテルですら時計が全く合っていないのは、信じられないようなことでしたが、「インドは超~適当だからイライラしちゃダメだよ」と教えてくれた友人の言葉が、この時初めて真実味を帯びて理解できるようになったのでした。
しかし、この程度で驚いていてはこの先やっていけないと思い直し、「郷に入れば、郷に従え」で、インドにいるときは私がインドに合わせることにしました。

しかし、そうは言っても、急に性格を変えられるわけではなく。
ましてや時計を見ながら動く生活に慣れてしまっている身で、時間がわからないというのは想像以上に非常に不便なものでして。
それも朝ごはんが食べたいのに、いつ朝食にありつけるのかがわからないなんて! と自問自答の末、悩んでも仕方ないので、自ら確かめる為に娘たちを連れてレストランへと向かったのでした。

果たしてレストランに到着すると、なかにはまだひとっ子一人おらず。

あれ、まだ朝食の時間ではないのかな? と思ったものの、カウンターに用意されている料理を目ざとく見つけた私は、そばにいたウエイタ―を捕まえて食事をしたい旨伝え、さっさと朝日が入って一番気持ちがよさそうな角のテーブルを陣取って、朝食を頂くことにしました。

インドその4 朝食風景2

ところが、どんな朝食があるのかとウキウキしながらビュッフェを覗いてみると、なんと用意されていたのは数種類に及ぶカレーばかりではありませんか。(-_-;)
それを見た娘たちは「えーっ、ママ、朝からカレーなんて食べたくないよ」の大合唱。

「そんなことを言ったって、ここはインド。朝食がカレーなのは当たり前でしょ」と口では言いつつも、朝からはカレーはいただけない。私の食欲も急速に失せていったのでした。

しかし、ここはインドの中でも一応4つ星ホテル。
この時ほど、ホテルのランクに感謝したことは無かったのですが、ズラリと並んだカレーの横に、ちょこんと用意されたパンを発見したのでした。
クロワッサンにドーナッツ、紅茶にフルーツまで!
馴染みのある食材を見つけて一安心したと共に、もちろんそれを食べたのは言うまでもありません。
そう、せっかくインドにまで来たのに、インド式の朝食を初日から頂く事だけは、家族全員で遠慮したのでした。

インドその4 朝食3

そして、朝食を終えた頃に、宿泊客が次から次へとぞろぞろ来たのをみて、私たちが早過ぎてしまっていた事にようやく気が付いたのでした。

 

★前回までの記事はコチラ↓

インド・アーユルヴェーダ留学記 その1~インド人でいっぱい~

インド・アーユルヴェーダ留学記その2 一路、スピリチュアルな国インドへ

インド・アーユルヴェーダ留学記 その3~インドの流儀~

インド・アーユルヴェーダ留学記 その5~新居物件は埃だらけ

インド・アーユルヴェーダ留学記 その6~インドのショッピングモールは一大観光スポット!?

 

(続く)