中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.5 〜西洋医学では診断がつかなかった病を東洋医学が解決!? With 川嶋朗教授~

中村うさぎさんの病気を一流専門家にぶつけていく特別企画。今回は東洋医学に精通し、統合医療の先駆者である川嶋朗先生にお尋ねしました。

病気を東洋医学で解釈すると別の扉が開けてくる!?

私はどうして病気になったのか、そもそも病気とは何なのだ、という問いを専門家の方々にぶつけていく、この対談。
今回は東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授の川嶋朗氏にお会いした。

私たちは東洋人でありながら、東洋医学に疎い。
何かというと西洋医学に頼りがちで、東洋医学に対してはやや胡散臭いイメージすら持っている。
が、私の病気のように西洋医学では診断がつかなかった病を東洋医学が解決してくれる可能性はあるのだろうか?
あるいは、私の病気を東洋医学的に解釈すると、まったく別の視界が開けてくるのだろうか?

そんな気持ちを抱きつつ、川嶋氏と対峙した私である。

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西洋医学は熱を下げる……でも東洋医学は熱をあげる!?

「たとえば風邪って病気があるじゃないですか。あれは西洋医学ではウィルスが原因とされてるんだけど、東洋医学ではどういう解釈なんですか?」
「東洋医学にはウィルスって概念がないので、邪気が体内に入ってきたと考えます。人間の身体は気、血、水で構成されてて、その中の『気』ですね。中国ではエネルギーと考えられてるんですが、悪い気(風の邪)が外から入ってくると風邪の症状が出る」
「ふむふむ」
「で、東洋医学では薬によってその邪気を体内の気とともに外に吹き飛ばす、というのが治療の1つで、その代表薬が葛根湯です」

「ああ、風邪ひいた時に葛根湯飲む人は多いですね」
「ええ、でもあれは西洋医学の薬とは正反対でね。西洋医学では解熱剤を飲んで熱を下げますが、葛根湯は逆に熱を上げる。熱を放出して体内の邪気を外に追い出す、という仕組みなんです。熱というのは異物に対する身体の反応だから、無理に下げちゃいけない。むしろ熱をうんと出して治す、という考え。西洋医学の手法で熱を下げちゃうと、症状は治まりますが、風邪は治りにくくなるんです」

「表面的な症状が抑えられるだけで、根本的な治療ではない、と」

「そうです。症状を抑えただけで治った気でいると、風邪はなかなか治らない。解熱剤なんて逆効果なんだから、あんなのテレビで『薬を飲んで早く風邪を治そう』なんて宣伝しちゃ駄目だと思う。だって早く治るなんて嘘だから」

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東洋医学は私の病気を治せるか!?

なるほど。
私の病気も、結局は病名も治療法もわからず、とりあえず症状を抑える薬を処方されただけだった。
その薬が効いて手足の突っ張りや痛みなどの症状は軽減したものの、私はいまだに病気が治ったとは思っていない。
こんなの単なる対症療法じゃないか、治療とは言えんだろ、と思っているのである。

我々が妄信する西洋医学も、まだまだすべての病気を理解しているわけではない。
むしろ、わからない病気のほうが多く、しかも原因が解明できていても治療法はまだ見つかっていない病気はたくさんあるのだ。
西洋医学のやり方が必ずしも正しいわけではないのかもしれない。

では、東洋医学なら私の病気を治せるのか?

私は現在、左足に麻痺があって歩行困難となっている。
たとえば東洋医学の鍼ならば、この問題を解決してくれるのか?

次回は東洋医学の診察法と鍼について、川嶋氏から伺うことにする。

 

小説家・エッセイスト 中村うさぎ

 

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