新連載スタート。中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.1 臨死体験をしたからこその生死観

中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 に当たり、インタビューを開始する中村うさぎさん。ステロイドの後遺症でむくんでいた顔はすっかり痩せ、作家としての顔へ。
新連載スタート。中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」  part.1 臨死体験をしたからこその生死観

2年半前の夏、私は突然の体調不良に見舞われ、急遽入院することになった。
息切れが激しくて階段の昇降ができなくなり、てっきり夏バテのひどいやつかと思っていたのだが、入院してからどんどん症状が悪化し、ついには足がねじ曲がって歩くことが出来なくなった。

医者が言うには「神経系の病気」とのことだ。
が、病名は現在に至るまで確定していない。「ギランバレー症候群」とか「スティッフパーソン症候群」などの聞き慣れない名前が候補に挙がったが、どれも決め手に欠けるというのだ。
結局、私はいまだに名前のない病気を抱えたまま生きている。

全身に走る激痛から、心肺停止へ

もっとも症状がひどかった頃は、全身が突っ張って激痛が走り、手がぶるぶる震えて字を書くにも箸を持つにも難儀した。
立つことも歩くこともできなくなったので基本的には寝たきり状態、移動する時は車椅子に乗せてもらう。
こんなに自分の身体が動かなくなるなんて驚きだった。
立って歩くなんて普通のことだと思ってたのに、その「普通のこと」がある日突然まったくできなくなるなんて!

しかも、入院している間に3回も死にかけた。
一度は心肺停止、その後も二度ほど呼吸停止状態になったのだ。
心肺停止の際、憶えているのは、いきなりプツンとテレビのモニターが消えるように真っ暗になったことだ。
気絶したのか、それともホントに死んだのか、わからない。
ただ、そのまま心肺停止して顔がみるみる灰色になったと夫が言っていた。
看護師や医者が駆け付けて心臓マッサージした結果、心臓は動き出したものの意識は戻らなかった。
そのまま数日間、私は昏睡状態となり、両親は医者から「このまま死ぬか、あるいは植物状態になる可能性大」と言われたそうである。

photo by 中村うさぎ 一度は心肺停止までしたのに、未だに病名は確定していない

photo by 中村うさぎ 一度は心肺停止までしたのに、未だに病名は確定していない

だが私は死にもしなければ植物状態にもならずに意識を取り戻した。
そして、自分が心肺停止した時のことを思い出そうとしたのだが、「ブラックアウト」以外に何も思い出せなかった。
私は本当に死んだのだろうか?
それとも死の手前まで行って戻ってきたのか?
その答は「死」の定義にもよると思うが、とりあえず呼吸も心臓も脳も機能を停止したのだから、それは一時的にしろ「死」だったのだと私は思う。
要するに、私は臨死体験をしたわけだが、俗に言われているような光景は一切見なかった。
白い光が迎えにも来なかったし、川の向こうで死んだ婆ちゃんが手招きしたりもしなかった。
ただの闇……それが私の「臨死体験」だ。
やっぱり死後の世界なんてない、と、私は確信した。

photo by 中村うさぎさん。病気に対しても驚くべき生命力を発揮した中村うさぎさん

photo by 中村うさぎさん。病にも驚くべき生命力を発揮した中村うさぎさん

だが、この私の説には方々から異論が寄せられ、「死んでないから何も見なかったんですよ。現に今生きてるし」などと反論されて自分でも「うーむ、そうかなぁ」などと首をひねる今日この頃である。
まぁ、確かに私、生きてるしねぇ。

が、死後の世界があるかどうかはともかく、その件以来、私は「生とは何か、死とは何か」「魂とは何か」「病気って何なのか」などと考えるようになった。
そこで、いろいろな人に会って話を聞いてみようと思い立った次第である。
このサイトでは、私がその人たちと会って話をして考えたことを書き綴っていきたいと思う。
私はどんな発見をするのだろうか?
私の生死観は、そして世界観は変わるのだろうか?

どうか、ご期待ください。

小説家・エッセイスト 中村うさぎ

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