中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.42 〜タロットカードに秘められた深淵なる智慧。その解釈は占い師と議論出来るレベル!?〜

『タロット占いには関心がない。ただただ、カードを眺めながら、その解釈についてあれこれ自己流に考えるのが楽しい。』とおっしゃる中村うさぎさん。タロット占い師には、占ってもらうより、カードの解釈について議論する相手になって欲しいくらい知識があるようです!!
中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.42 〜タロットカードに秘められた深淵なる智慧。その解釈は占い師と議論出来るレベル!?〜

占いは信じないけど、タロットカードは好きだ。

タロットカードの表すシンボルが、かつて私が書いていたファンタジー系ライトノベルの世界観に近いこと、そして当時好きだったユングにも通じるところがあって、なんか心の奥底で強く惹きつけられるのだ。
もちろん、未来が予測できるなどとは思わないので、いわゆるタロット占いには関心がない。
ただただ、カードを眺めながら、その解釈についてあれこれ自己流に考えるのが楽しい。

たとえば、私の好きな「愚者」というカードがある。

タロットの教則本などに書かれているその意味は、正位置であれば「自由」や「破天荒」「無邪気」などを意味し、逆位置であれば「愚行」「軽率」「不注意」になる。
つまり、同じ性格の裏表、というわけだ。

破天荒な人間はしばしば軽率であるし、自由奔放な人間の行いは傍からは単なる愚行に見える。
物事の性質には必ずポジティヴな面とネガティヴな面がコインの裏表のように貼りついていて、何かを選べばその裏面も引き受けざるを得ないのだ。
自由奔放に生きるのであれば、どこかで無鉄砲で危険な生き方を選ばざるを得ないし、他者から「愚者」の烙印を押されることも覚悟しなくてはならない。

私はある時期から「愚者」として生きることに決めた。

そのことは拙著「愚者の道」に書いているのでここで詳しく説明はしないが、とにかく「愚者」として生きる決めた瞬間から、めちゃくちゃ気持ちが楽になった。
他人から嘲笑われようが気にならないし(だって、それが「愚者」だもん)、その代わり、私は私の好きにさせていただく。
誰にも私の自由を侵害させない。
そのために私は、軽率でリスキーな生き方を進んで引き受けているわけだ。
そう腹を括れば、自由と引き換えに失う世間体や安全な未来など、どれほどのもんかと思えてくる。

そして「愚者」は、ユング的に解釈するなら「トリックスター」だ。
その自由奔放さゆえに既成の価値観を引っくり返す力を発揮することもできると同時に、とんでもない災厄を招くこともある。
トランプのカードでは「ジョーカー」に当たるカードだ。
使い方次第では勝負がひっくり返る。
周囲にとっては「災厄」以外の何物でもない。

このようにタロットカードは、物事や生き方の両面を示唆してくれる。

そして、その絵の中に多くのメタファが潜んでいる。
「世界」というカードは円環の中に人物像が描かれている。
「円環」は、自らの尻尾を銜えた蛇、すなわち「ウロボロスの環」を想起させる。
カードの意味は正位置だと「完成」「永遠」であり、逆位置だと「停滞」「衰退」となる。
そう、「完成」された世界に、もはやそれ以上の進化は望めない。
次に待っているのは「衰退」であり、円環の中をぐるぐると回るだけの「停滞」である。
ね、深いでしょ?

このようにタロットのメタファをあれこれ解釈するのが好きな私は、タロット占い師に占ってもらうと不満が募ることが多い。
「その解釈、浅すぎるよね」などと心の中で思ってしまうからだ。
できればタロット占い師には、私の未来を占ってもらうより、カードの解釈について議論する相手になって欲しいくらいである。

タロット、楽しいなぁ。
そこには、何か深淵なる智慧が隠されているような気がするよ。

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