中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.40 〜「お墓も葬式も要らない」「死後の世界も霊魂も信じない」持論を持つ中で、たったひとつ欲するモノとは?〜

死後の世界も霊魂も信じないと仰る中村うさぎさん。ただ、ご自身が死後に何か欲しいものがあるとしたら、ご褒美でもなければ永遠の命でもなく、『私はこの世に生まれてきて良かったのか』という問いへの答えだそうです。では、輪廻転生も信じてない中村うさぎさんは、生まれ変わるなら何になりたいのでしょう?

霊魂を信じない私は、夫に「お墓も葬式も要らないから」と言ってある。

法律によって火葬されるのは結構だが、骨壺をどこかに安置して欲しいとは思わない。
なんなら、ゴミの日に出してもらっても一向に構わない。
もしも「死んでも霊魂なんか残らない」という私の仮説が間違っていて、死後に霊魂と意識が残ったとしても、お墓がないと成仏できないとかあの世に行けなくて迷うとも思えない。
墓がなければ迷うと言うのなら、墓のなかった太古の人々の霊魂はいまだに迷っているのか?
そんなわけ、なかろう。
信じている人には悪いが、私にはたわ言としか思えない。

したがって、霊魂があろうとなかろうと、私にお墓は必要ない。
通夜や葬式も、金はかかるし面倒臭いだけで、無駄な儀式だと思っている。
「じゃあ、どうやってお別れするの?」なんて訊く人もいるが、そんなのは一人一人が心の中でお別れを言えばいいじゃないか。
わざわざご足労いただいて線香あげてもらわなくても、私は気にしませんよ。
そもそも仏教徒じゃないし、線香も念仏も戒名も要らん。
ああいったものがいったい何のためにあるのか、そのために何故お金を払わなくてはならないのか、心の底から謎である。
もし神や仏が存在するとして、人が死ぬたびに金なんか要求するだろうか?
そんなわけ、なかろう。

そんなわけで、死後の世界も霊魂も信じない私であるが、「こんなふうだったらいいな」という空想くらいはする。

たとえば私が死んだら、神でも何でもいいけど、誰かがそっと寄り添ってくれて「よしよし、いい人生だったね」と、耳元で囁いてくれるのだ。
そして私は、「そうか。生きてて良かったんだな」と安心する。
それだけでいい。
それだけで私は充分だ。
そのひと言が貰えたら、あとは天国も極楽も要らない。
そのまま、虚空にすうーっと消えてしまえれば最高だ。

正しく生きればきっと報われて天国や極楽に行ける、という希望を励みに生きていける人もいるだろう。
それはそれでべつにいいと思うし、ケチをつける気は毛頭ない。
ただ、私が死後に何が欲しいかといえば、ご褒美でもなければ永遠の命でもなく「確認」なのだ。
私はこの世に生まれてきて良かったのか、という問いへの答えである。
でもまぁ、そんな答えなんかきっとないんだろうから、私は死んでも自分が生まれてきた意味を知らずに終わるだろう。
意味なんかなくても構わないしね。

あ、それから、輪廻転生なんかも信じてないけど、生まれ変わるなら猫がいいです。

猫、マジで羨ましいわ。
あのしなやかな身体も運動神経も、そして自由気ままな性格も。
あとはコアラかパンダかな。
食ってるか寝てるかだけで一生が終わる(笑)。
一番嫌なのは人間だ。
人間に生まれ変わるのって、絶対に「罰」だと思うわ。

 

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