神も仏も鬼もすべてがまとまった日本独自の神

昔の人にとっては火の元を保存している竈というのは、家の中でもかなり「重要な場所であり、神聖な場所だった」ために、そこを守るための存在が求められていた時に、荒神の要素がぴったりだったために、台所の守護神として一般的に広まったのかもしれません。

【コンビニよりも神社仏閣のほうが多い】

日本には多くの仏や神といった存在が祀られています。「神社仏閣の総数はコンビニエンスストアを上回る」ほどであり、そこに祀られている存在も多種多様です。神道には「八百万の神」、すなわち数え切れないぐらいの神々が存在していますし、仏教はそこまではいかないものの、多くの仏が存在しています。これに加えて、民間信仰の神や、中国伝来の神々などもいます。そんな、日本の文化を象徴するかのように、「様々な神仏が集まったような存在」がいることをご存じでしょうか?

 

【家庭を守護する荒ぶる神】

その神様の名前は「荒神(こうじん)」。一般的には「竈の神様」であるとされ、かつてはどこの家庭でも竈の上に荒神が祀られていました。名前からもわかるように、荒神というのは、「荒々しい神」であり、一説によると「鬼」だともされています。それだけ激しい力を持つことから、「火の化身」とされ、当時の家庭では最も強力な火を司っていた「竈を守る存在」とされました。

 

【皇室と深い関わりがある、家庭だけでなく、国をも守る神】

仏教では「三宝荒神」と呼ばれます。こちらも基本的には竈を守護する存在ではありますが、家庭だけでなく、「国全体を守る」というスケールの大きな逸話が伝わっています。「光仁天皇」の息子の前に姿をあらわしたり、「聖武天皇」の夢や「白河法皇」の祈りに応えてでてきたり、「宇多天皇」がその効験を頼りにお寺を建立するなど、皇室と深い関わりがあるのです。

その姿は前述のように鬼神であることが多く、きちんと祀らないと反対に国中を荒らしたりもするのですが、祀ることで様々な御利益をもたらしてくれることから、守護神として三宝荒神を祀っているお寺では、「万能に近い御利益がある」としているところも多いのです。

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(画像提供・ウィキペディア)

 

【正体不明の荒神】

多くの御利益をもたらし、国家や家庭を守護してくれる荒神ですが、その「正体ははっきりとわかっていません」。仏教では「如来荒神・麁乱荒神・忿怒荒神」もしくは「貪欲神・障害神・飢渇神」があわさって三宝荒神になったとしています。これはどちらも通常は祀られていない存在であり、「民間信仰の神様が仏教に取り入れられた」という考え方もできます。神道では「奥津彦命(おきつひこのみこと)、奥津姫命(おきつひめのみこと)」が荒神とされることが多く、この場合は「火の神という性質が強い」ものです。

こうしたことから、現在のような多くの御利益をもたらす荒神というのは、神仏習合及び民間信仰や修験道など、さまざまな宗教の要素が集まって産み出された存在ではないかといわれています。名もない「鬼神や祟り神といった強力な存在に荒神という名前をつけて、各地で祀られていたもの」が、時代と共にひとつにまとまっていったわけです。そのために、荒神という荒ぶる名前をもちながら、多くの御利益をもたらす存在に変わったのでしょう。

また、昔の人にとっては火の元を保存している竈というのは、家の中でもかなり「重要な場所であり、神聖な場所だった」ために、そこを守るための存在が求められていた時に、荒神の要素がぴったりだったために、台所の守護神として一般的に広まったのかもしれません。

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【万能の神として続く荒神信仰】

現在では竈という存在自体がなくなり、料理のために火を使わないオール電化の家も増えてきていますので、「台所の守護神としての荒神が祀られる機会は少なく」なってきていますが、仏教の寺院などでは大切な存在として、現在でも深く信仰されています。恐ろしい力をもち、様々な宗教の要素が集まっただけに、御利益をもたらす力が強い荒神。興味を持たれた方は、全国にある三宝荒神を祀ったお寺を訪れてみることをオススメします。

 

Own God that many of God was fusion.
God to bring the divine favor of the universal.

 

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