「生命の開花」
今から7億年前頃にようやく多細胞生物が地球に
姿を見せたようだ。
そしてそれからほどなくして5億4100万年前に、
地球生命界のビッグバン、カンブリア爆発が起こる。
今の地球に生きるすべての動物の祖先が、
この時に一斉に開花する。
最初の生命が地球に誕生して約30億年後に
起こった大きな奇跡だ。
やがて脊椎動物の祖先となる体長3センチほどの魚類が
生まれ、シーラカンスを経て、ついに両生類が陸上へと
進出する。陸上へと進出した両生類から爬虫類が派生し、
恐竜から鳥類が進化し、ネズミのような哺乳類から
ついにヒトの祖先のサルが誕生する。
現生チンパンジーと現生人類の共通祖先が
枝分かれをしたのが今から約630万年前。
そうして樹上から地上へと降りてアファール猿人が
二足歩行を始めたのが今から約360万年前。
不器用な足取りで二足歩行を始めた猿人が、
やがて道具を持ち、動物の肉を食べ出すと、
大脳が飛躍的に発達し、完全に知性でサルを
凌駕し、ついに地球生命界の頂点に到達し、
ホモサピエンスは今から1万5000年前に
文明を興し、ついに現代の科学技術に裏付けられた
近代文明の精華を築き上げた。
「生命の必然」
わたしたちの60兆個の細胞の中には、
それぞれ2メートルの長さをもつDNAが備わる。
その2メートルのうちの1.5%の遺伝子が
働くことでヒトに必須のタンパク質が生み出されている。
だが、2メートルのうちの1.5%をのぞいた残りの
98.5%の部分は、いまだにどんな働きがあるのか
未解明のままだ。
科学が発達し今や遺伝子を書き換えて初期化し、
どんな細胞も生み出せる医療技術まですでに
人間は手に入れた。
だが、わかっている遺伝子はまだわずかに1.5%だけ。
細胞分裂の回数切符のテロメアを巻き戻して、
不老長寿、不死の仙境に到達することは、
まだとうてい不可能だ。
科学の進歩は医療技術を発達させて、
抗生剤やワクチンにより多くの命を救った。
だが健康な人間をずっと健康に維持する医学、
言わば健康学はまだまったく完成していない。
ヒトの命に関して医学でわかったことは、
昔に比べればはるかに多く、
それらは極めて有効だ。
しかしそれと同時に、
生命の本源は何なのか?
意識とは何なのか?
霊魂は本当に存在するのか?
気とは何なのか?
DNAのわかっていない部分は何をしているのか?
白髪や抜け毛を治すにはどうしたらいいのか?
老化を克服するにはどうしたらいいのか?
このようにまだわかっていないことはあまりに多い。
生命に関してわかったこと、そして
わかっていないこと。
この2つをあわせもつことが生命の必然と
言えるかもしれない。
「生命は混沌の中の秩序」
生命に関してわかったことをつなぎあわせ、
わからないことを尊重すると、
わたしなりの生命観が芽生えてくる。
わたしの命は38億年前に授かり、
偶然と奇跡の混沌に育まれ、
地球環境の激変を生き抜いたDNAの記憶を通して、
命の恒常性、ひとつの秩序を生み出した。
すなわち、生命は混沌の中の秩序だ。
《今村 光臣 さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/imamuramitsuomi/?c=88528