カオスからコスモスを引き出す実践的養生法論~その十・生命は混沌の中の秩序~後編

生命の本源は何なのか? 意識とは何なのか?

「生命の開花」

今から7億年前頃にようやく多細胞生物が地球に

姿を見せたようだ。

そしてそれからほどなくして5億4100万年前に、

地球生命界のビッグバン、カンブリア爆発が起こる。

今の地球に生きるすべての動物の祖先が、

この時に一斉に開花する。

最初の生命が地球に誕生して約30億年後に

起こった大きな奇跡だ。

やがて脊椎動物の祖先となる体長3センチほどの魚類が

生まれ、シーラカンスを経て、ついに両生類が陸上へと

進出する。陸上へと進出した両生類から爬虫類が派生し、

恐竜から鳥類が進化し、ネズミのような哺乳類から

ついにヒトの祖先のサルが誕生する。

現生チンパンジーと現生人類の共通祖先が

枝分かれをしたのが今から約630万年前。

そうして樹上から地上へと降りてアファール猿人が

二足歩行を始めたのが今から約360万年前。

不器用な足取りで二足歩行を始めた猿人が、

やがて道具を持ち、動物の肉を食べ出すと、

大脳が飛躍的に発達し、完全に知性でサルを

凌駕し、ついに地球生命界の頂点に到達し、

ホモサピエンスは今から1万5000年前に

文明を興し、ついに現代の科学技術に裏付けられた

近代文明の精華を築き上げた。

 

「生命の必然」

わたしたちの60兆個の細胞の中には、

それぞれ2メートルの長さをもつDNAが備わる。

その2メートルのうちの1.5%の遺伝子が

働くことでヒトに必須のタンパク質が生み出されている。

だが、2メートルのうちの1.5%をのぞいた残りの

98.5%の部分は、いまだにどんな働きがあるのか

未解明のままだ。

科学が発達し今や遺伝子を書き換えて初期化し、

どんな細胞も生み出せる医療技術まですでに

人間は手に入れた。

だが、わかっている遺伝子はまだわずかに1.5%だけ。

細胞分裂の回数切符のテロメアを巻き戻して、

不老長寿、不死の仙境に到達することは、

まだとうてい不可能だ。

科学の進歩は医療技術を発達させて、

抗生剤やワクチンにより多くの命を救った。

だが健康な人間をずっと健康に維持する医学、

言わば健康学はまだまったく完成していない。

ヒトの命に関して医学でわかったことは、

昔に比べればはるかに多く、

それらは極めて有効だ。

しかしそれと同時に、

生命の本源は何なのか?

意識とは何なのか?

霊魂は本当に存在するのか?

気とは何なのか?

DNAのわかっていない部分は何をしているのか?

白髪や抜け毛を治すにはどうしたらいいのか?

老化を克服するにはどうしたらいいのか?

このようにまだわかっていないことはあまりに多い。

生命に関してわかったこと、そして

わかっていないこと。

この2つをあわせもつことが生命の必然と

言えるかもしれない。

 

「生命は混沌の中の秩序」

生命に関してわかったことをつなぎあわせ、

わからないことを尊重すると、

わたしなりの生命観が芽生えてくる。

わたしの命は38億年前に授かり、

偶然と奇跡の混沌に育まれ、

地球環境の激変を生き抜いたDNAの記憶を通して、

命の恒常性、ひとつの秩序を生み出した。

すなわち、生命は混沌の中の秩序だ。

 

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