日本で最もポピュラーな占い『おみくじ』~その起源を探る~

おみくじと聞いて、思い浮かぶのはお寺と神社、どちらでしょうか? 初詣などのイメージもあり、「神社のもの」というイメージがある方が多いかと思います。しかしながら、「その起源はお寺」にありました。

おみくじといえば、全国の神社仏閣で見かけることのできる、日本で「最もポピュラーな占い」といえます。
しかしながら、その起源というのは意外と知られていません。

おみくじの起源は平安時代のヒーロー

皆さんはおみくじと聞いて、思い浮かぶのはお寺と神社、どちらでしょうか?
初詣などのイメージもあり、「神社のもの」というイメージがある方が多いかと思います。
しかしながら、「その起源はお寺」にありました。

元三大師という、比叡山第十八代目座主をつとめた人物がいます。
僧名は「良源大僧正」なのですが元旦の3日に亡くなられたため、一般的には「元三大師」と呼ばれています。
彼には、不思議な逸話が多く存在しており、病魔を祓い、災厄から逃れることのできる「角大師」というお札のモチーフになっていたりもします。

「角大師」とは、インディアンジュエリーなどでモチーフにされる「ココペリ」にも似た不思議な姿をしているのですが、言い伝えによると元三大師が変化した姿だとされているのです。
ちなみに、他にも魔除けの「鬼大師」という姿にも変化したといわれており、陰陽師で有名な「安倍晴明」にも負けないぐらいの、平安時代のヒーロー的存在だったのです。

そんな元三大師が、江戸時代に「天海僧正」の夢枕に現れました。
天海といえば、徳川家に強い影響をもったといわれている僧侶なのですが、彼に対して「長野県戸隠に観音籤が 100枚ある。
これは人々の困難を救う為に観音菩薩からいただいたもので、これを使って吉凶を占えば、願いに応じた託宣を貰えるだろう」と託宣をしたのです。

昔のおみくじは凶が多い

この託宣の通りに戸隠を調べると、本当に100枚の観音籤が発見されたので、それを小さくまとめて、穴の空いた箱に入れたものが、おみくじの元型とされています。
これに、大吉や凶といったような意味づけがされていったことで、現在のようなものが完成したのですが、当初は凶の比率が多かったことでも知られています。

おみくじの元型を色濃く残すといわれている「元三大師神籤」は、100本中、大吉16本、吉35本、その他の吉19本、凶30本という割合がきまっています。
つまり、「3分の1が凶」ということになります。

内容も比較的厳しいことがかかれたものが多く、凶でなくても、厳しいメッセージが書いてあるために、現代では内容的に柔らかくしたり、凶の割合を変えたりしたものが多いようです。

しかし、なぜお寺発祥だったおみくじが神社でも多く販売されるようになったかというと、神仏習合という、【神も仏も同じである】という信仰が長く続いたために、その期間でおみくじの概念が共有されており、神仏分離以降もそれが継続されたというのが、可能性としては一番高いものとなっています。

全国のおみくじ生産量の7割を締める会社とは?

現在、おみくじの生産量の7割をしめている「女子道社」という会社があります。
忙しい時には1日数十万枚というおみくじが作られる場所なのですが、機械ではなく、全てが手作業で行われているのです。

なぜ、おみくじを作り始めたのかというのには、社名の通り女性が深く関係しています。
女子道社が作られたのは、明治時代なのですが、当時は「男尊女卑の思想」が強かった中で、神道には女性を穢れとみなす思想がなかったことから、創設者である二所山田神社の宮司さんが、女性解放運動を推進するための機関誌である『女子道』の費用を稼ぐために、「資金源」としておみくじが考えられました。

神社のおみくじには和歌が書かれているものが多いのですが、そのほとんどは、女子道社の創設者と、二代目が詠んだものなのです。
二人とも歌人であり、神職でもあったために、潔斎をしてから、「神前で啓示」をうけつつ書き上げたといわれています。

神社向けのおみくじは、特別に製作しているようですが一般向けの凶が入っていないおみくじも販売しているとのことですので、興味があるかたは「女子道社」に問い合わせてみるといいでしょう。

おみくじをひくときの作法

最後に、おみくじをひく心がけですが、基本的には「参拝後」に、自分が願ったことにたいしての、神様からの返答として受け取るのがいいとされています。
ただし、このような作法は神社やお寺によって違いがあり、確実な正当派というものはありません。

ですのであくまでも、一例となりますが、神託として受け取ったあとに、悪い内容であったら境内に結ぶことで、「神様と縁を結び」それが良いものになることを「祈願」し、良い内容であったら、常に持ち歩いて、その内容をもとに目標に向けて精進するというのがオススメです。

“omikuji” secret.
It introduces the origin and manners of “omikuji”.