身近にありながらも、意外と知られていない数珠のパワー

数珠といえば、仏教で使われるものというイメージがありますが、その元型は仏教の開祖である「釈迦が産まれる前から存在していた」といわれています。

【数珠もっていますか?】

現在では、大人になったら「葬儀のために自分用の数珠を用意する」というような風習は減りつつありますが、それでも、ある程度の年齢ならば、一度は葬儀などで使ったことがあるであろう「数珠」。その姿形も、名称も日本人ならば誰もが知っているほど「メジャーで、身近なもの」ですが、正式な使い方やそこに秘められたパワーは意外と知られていません。

数珠といえば、仏教で使われるものというイメージがありますが、その元型は仏教の開祖である「釈迦が産まれる前から存在していた」といわれています。今から「3500年以上」前に書かれたバラモン教の経典に「連珠」という記述があり、それにヒントを得た釈迦が改良したものが数珠だとされています。

【数珠のポイントは「数」にあり】

名前に「数」という漢字が入っていることからもわかるように、「数珠を構成する玉の数は重要なポイント」となります。釈迦が改良したものは、「108個」の木の実を糸で繋いで作ったものであり、1回読経をするごとに、ひとつずつ木の実をカウントしていくことで、「108回読経をしたのがわかる」ように考えられています。

単に集中力を失わせずに手軽にカウントができる道具というだけでなく、この行為によって自然と心が静まり、108の煩悩が消えていくとされていました。ある伝説によると、インドのとある国が人心が荒廃し、疫病が流行して存亡の危機に陥った時に、国王が釈迦に国を救う方法を相談したところ、数珠を使って、心からみほとけの名前を唱えて、それが20万回になったならば心身の乱れはなくなり、心が安楽になる、さらに100万回越えると、すべての煩悩を断ちきることができる、とアドバイスされました。そこで、さっそく数珠をつくって国民に分け与えたところ、国はどんどんと幸福になったのだそうです。

【一般庶民には手が届かなかった数珠】

伝説とはいえ、「国を救ってしまった数珠」ですが、基本的には僧侶が使うものとされていました。日本には仏教伝来とほぼ同時に伝わったといわれていますが、この時点で材料が木の実ではなく、「金、銀、水晶、真珠といった高価な素材」を使っていたことから、一般庶民にはとても手が出せないものだったのです。

仏教が一般化されていくにつれ、安価な数珠もできあがり、僧侶だけでなく「一般人でも数珠を使う方法」が考え出されて、さらには、「宗派毎の独自の数珠やその使用法」も編み出されてきました。江戸時代には、一般的に数珠を売ることが許可され、現在まで続くお葬式の必需品としての役割を得たのです。

【数珠に秘められたパワー】

さて、「お葬式には数珠がつきもの」というイメージがありますが、僧侶でない参列者が読経の数を数える必要はないわけで、本来の用途からすると、なぜ数珠を持つ必要があるのあ、ちょっと不思議な気がしませんか? 実は「108の煩悩を象徴した数珠」には、それぞれの「煩悩を司る仏様が玉一つ一つに宿っており」、その力によって煩悩を引き受けてくれるという、「厄除けやお守り」という意味合いもあるのです。

こうしたことから、死にまつわるネガティブなエネルギーから身を守るという意味合いがあるわけですが、それだけでなく、「数珠の輪に手を通して合掌することで、仏様の世界と、現世をつなげる」という、別の世界にアクセスして、死者との最後のお別れをよりしっかりと済ませるという力もあるのです。

他にも、数珠は「身代わり」になってくれる、また、「法力や精神力を高めてくれる」という意味合いもあり、仏教に携わる人ならば、常に持ち歩いていることを推奨されるほど重要なアイテムだったわけです。

【パワーストーンブレスレットと数珠の違い】

すでにスピリチュアルアイテムというよりも、一般的なアイテムになっている「パワーストーンブレスレット」は、数珠が持つこういった力と、パワーストーンの力の双方が含まれているために人気になったのかもしれません。ただし、外見と機能が似ているからといって、一般的なパワーストーンブレスレットを数珠にかわりに使うことはできません。

前述したように、数珠の基本はあくまで「数」ですので、本式ならば「108個の玉が必要」となってきます。一般人向けには、「54個や27個」といった略式のものもありますが、煩悩の数である108個に関係がある必要があるわけです。ですので、パワーストーンブレスレットを数珠と同じように使いたいのでしたら、こうした「数に着目して作ってみる」といいかもしれません。

また、そもそもの数珠が高価な金属や、水晶や真珠、琥珀といったパワーストーンを使っていたということもあり、数珠にはさまざまな素材がすでに用意されていますので、よほど好きなパワーストーンがなければ、ブレスレットをつくるよりも、自分の好きな素材の数珠を持ち運んだ方が、より様々な面で御利益を受けられるかもしれませんよ。

Prayer beads of the secret in the “number”.
Origin and the power of prayer beads.