ネイティブアメリカンの世界とスピリチュアルなメディスンマンの存在

地球とつながる感覚や内面のバランスを崩している人にメディスンマンは取り戻す手助けを行っていた

全ての存在と繋がっている   この言葉はネイティブアメリカンの世界観を表すものです。ネイティブアメリカンのスピリチュアリティの原点であり生き方であります。ネイティブアメリカンには宗教というものは存在しません。

感謝とともに、創造物である人々、動物、鉱物、水や火、風、空、そして大地……。 私たちとともに存在する全てとつながりをもち、調和して生きること……。それが、彼らにとっての「道」であり、これを「グッド・レッド・ロード」と呼びます。

空は「父」、月は「祖母」、大地は「母」、四つ足の「人々」、そして木や植物は「ブラザー、シスター」と呼んでいました。彼らは「すべてのものにスピリットが宿っており、相互依存し、寄与し合って、ひとつの大きな輪の中で生かされている」と考え、この考え方は、彼らの「オファー」(捧げる)、「ギブアウェイ」(与え尽くす)の精神に結びついています。

ピクチャ 8MEDICINE MAN       
そんなネイティブアメリカンの文化として全世界に広めたのが「ハーブ」です。「ハーブ」の原点は実はネイティブアメリカンの「悟り」の儀式に隠されています。「悟り」の儀式では一人になることが多いのですが、時には同伴者が付き添うこともあり、それが 呪医「メディスンマン」と呼ばれる人たちでした。

メディスンマンは、薬草の効能、知識の世界に深く熟知し心得ていました。その種類と調合方法は秘密とされて、部族でも自分が認めた新しい世代の呪医にのみ密かに伝えていました。また知識を継承するために20〜30年の歳月をかけたのです。そのため、村の中では特別な力を持つものとして恐れられていたようです。何故ならばその薬草の知識は毒薬から病気治療まで幅広く用いられていたからです。

ピクチャ 12 しかしどうして彼らが薬草の知識をつけることができたのでしょうか?  それは動物から習ったと言われています。彼らが移住した際に動物がペヨーテを食べるのを見て、毒ではないと分かったと同時に、幻想をみやすくなることを知り、そこがメディスンマンの原点となりました。そういった幻覚剤は「悟り」の儀式の際に一人で何も食べる物がない場合、どういった動物が現れてほしいかイメージをして、現実世界につなげていたというお話も。知識を観察することによって得たのです。

メディスンマンは知識を継承するにも、極秘で行われていたため、現代の研究者が薬草の効果を知ることは出来ても、再現して科学的に分析することは極めて苦労しているようです。またメディスンマンは地球とのつながりの感覚や内面のバランスを崩している人に、そのつながりを取り戻すための手助け(ガイドや祈り)を行っていました

また自分たちを決して「メディスンマン」だとは名乗ることはなく、癒しを求める人たちに声をかけて呼び集めることもしません。メディスンマンというのは創造主(の意思)と調和してバランスをとって生きてみせることを天職とし、あるいは役割として一族の人たちの前で演じてみせるのでした。

そして謙虚であることが最も大事で、何に対しても打算的なところがなく、自分の好みを押し付けるようなこともせず、彼らは自分たちが生きていることがグレイトスピリットの意思を具現化するためであることをただ知っていたのです。

控えめに生きれば生きるほど、たくさんの人たちがどうにかして彼らのもとを訪れることになっていました。彼らの沈黙は、その持っている力を増すことになりました。それがネイティブアメリカン、メディスンマンの生き方なのです。