アロマコラージュ療法®による不登校支援〜受容的な雰囲気のなかで行われるシェアリングで気づきを深めていきます

不登校の小中学生は全国に12万人以上います。不登校と聞いていじめを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、いじめは不登校の要因の一部にすぎません。不登校の要因・背景は個別性がとても高いのです。

アロマコラージュ療法®による不登校支援

アロマコラージュ療法®は、アロマセラピー、心理療法、ボディワークを融合した香りのアートセラピーです。

呼吸法・瞑想のあと、直感と感覚のままに好きな精油を用いてフレグランスを作り、その香りをもとにコラージュを創作します。

作品完成後、アロマコラージュ療法®ならではの「作品と向き合うためのワーク」、受容的な雰囲気のなかで行われるシェアリングで気づきを深めていきます。

アロマコラージュ療法®は、2009年7月15日、宇都宮市の市民講座を担当した際、アロマセラピストでもある心理学者によって考案されました。

大学での研究、一般向けの講座と並んで力を入れてきたのがボランティア活動です。
2010年以降、不登校の子どもたちや障がい児、その保護者などへの支援活動を行っています。
東日本大震災(2011年)、関東豪雨(2015年)の際は、宮城県や福島県の応急仮設住宅、栃木県の避難所を訪問しました。

本記事ではアロマコラージュ療法®による不登校支援について紹介します。

 

不登校の小中学生は全国に12万人以上

不登校の小中学生は全国に12万人以上います。
不登校と聞いていじめを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、いじめは不登校の要因の一部にすぎません。
不登校の要因・背景は個別性がとても高いのです。

『平成27年版子ども・若者白書』によると、不登校のきっかけは、小学生では「不安など情緒的混乱」「無気力」「親子関係」が多く、「友人関係」「家庭の生活環境の急激な変化」などが続きます。中学生では「無気力」「不安など情緒的混乱」が多く、「友人関係」「あそび・非行」などが続きます。

 

不登校対策のために教育委員会が運営する適応指導教室

適応指導教室をご存じでしょうか。

適応指導教室(適応支援教室ともよばれます)は、不登校支援のために各市町村に設置されている教室です。
教育委員会が運営しており、ここに通級すれば出席扱いとなります。

平成26年度の調査によると、全国に1324の適応指導教室があります(平成28年『不登校児童生徒への支援に関する最終報告』不登校に関する調査研究協力者会議)。

全国共通のカリキュラムはなく、1日の過ごし方も、スタッフの構成も、スタッフと通級生の関係性も、各教室により異なります。
そもそもどんな場所に教室を設置するかも異なります。
各教育委員会、各適応指導教室が、それぞれの理念のもと、それぞれのやり方で不登校の子どもたちに居場所を提供し、子どもたちの支援を行っています。

 

大学生と一緒にアロマボランティア

筆者は、大学生と一緒に適応指導教室を訪問しアロマコラージュ療法®などのワークショップを行うアロマボランティアを行っています。

適応指導教室にはいろんな子どもたちが通級しています。
子どもたちの置かれた状況も、悩みも、その日の気分も異なります。
でもひとたび作業が始まり、教室にアロマの香りが漂うと、子どもたちの表情が緩み、「この香り好き」「これって何のにおいだっけ?」と、通級生、教室スタッフ、大学生でおしゃべりがはずみ、なごやかに作業が進みます。

経験を積むなかで、各適応指導教室、それぞれの子どもたちに合わせたワークショップを行えるようになりました。

不登校の子どもたちのためにこんな教室があることをTRINITYの読者の皆さまに知っていただけたら……。
こんな思いから、栃木県内にある、とても素敵な適応指導教室を2つご紹介します。

 

古民家を利用した適応指導教室 栃木県高根沢町「ひよこの家」

のどかな田園風景のなかに建つ農家。
生垣の門をくぐると、庭の向こうに母屋と納屋が並んでいます。
母屋の引き戸をガラガラ開けると土間。
晩秋には、玄関わきの薪ストーブに火が入ります。
上がり縁を上ると囲炉裏のある板の間。
隣には畳の部屋が並び、縁側をとおして庭が見渡せます。
昼前になるとトラックで給食が運ばれてきて、板張りの部屋に座布団を敷き、みんなで「食卓」を囲みます。

ここは栃木県塩谷郡高根沢町の「ひよこの家」。
全国でもめずらしく古民家を利用した適応指導教室です。
ひよこの家についてはぜひこちらをお読みいただけると幸いです。
高根沢町適応指導教室『ひよこの家』誕生物語

アロマコラージュ療法®による不登校支援は、2010年の春、ここから始まりました。

ひよこの家の子どもたちは元気いっぱい。
おしゃべりしたり、冗談を言ったり、笑い合ったり。
背中から飛びついてくる子どももいます。
こんな雰囲気のなかでワークショップを行うので、おしゃべりが忙しくて作品が完成しない子どももいます。
でもそれでもOKなのです。