【目に見えない存在も標識は守る?】
私たちが日常生活を送っていると、さまざまな「標識」を目にすると思います。車を運転する人はもちろんですが、電車やバスの案内や立ち入り禁止、非常口といった看板は誰もが一度は見たことがあるでしょう。
こうした標識というのは、私たちが「安全で快適な生活を送るため」に使われていますが、「目に見えない存在にも通用する標識がある」というのをご存じでしょうか?
【魔を避ける石敢當】
つい先日、島根県で「石敢當(いしがんとう)」が出土したことがニュースとなりました。
こちらは、石碑に「石敢當」という文字が刻まれたものであり、沖縄県や九州南部では多く見られるものですが、それが、山陰地方まで伝来していたという事実がわかったために報道されることになりました。
石敢當は一見するとただの石碑ですが、「強い魔除けの力を持つ」とされています。沖縄では、現在でも1万以上の石敢當が存在しており、まさに標識のように街中のあちこちに立ち並んでいるのです。
目に見えない魔物や悪霊を防ぐために、なぜこうした標識が有効なのかというと、「魔物は直線を通ってやってくる」という、古来からの思想が根底にあります。
道というのは、村や町を繋ぐものであり、交易はもちろん、人や情報といったさまざまなものを手に入れるための重要なインフラです。しかし、そこから来るものは、すべてが良いものだとは限りません。悪いものも道を通ってやってきます。
【道切りって?】
そういった悪いものを避けるために、「道切り」という行事が行われていました。
これは、村と村の境にある道に「道祖神」を祀ったり、注連縄を張ったりすることで、そこでネガティブなものを食い止めるという風習です。つまり、石敢當も、道をやってきた悪いものを防ぐための道切りであり、「進入禁止」を意味しているわけです。
石敢當は、元々中国で行われていたものなのですが、その名前に魔除けの力が秘められている理由ははっきりとわかっていません。
伝説上の武将や力士の名前であるという説がありますが、現在では石敢當、そのものが魔除けの神としての性格をもっているようです。
【直線は善も悪も強力に流す】
スピリチュアルな視点から見ると、風水では「直線の道の突き当たりに家を建てるのはよくない」という思想があります。
「直線は強烈にエネルギーを流す」ために、良いものだけでなく、悪いものも早く強烈に運んできてしまうのです。
沖縄には風水の技術も多く伝わっていますので、魔除けとして、またエネルギーを改善する方法として、各所に石敢當が設置されているのです。
【あなたの家の近くの道は大丈夫ですか?】
こうしたスピリチュアルな文化が残っている沖縄などの地域はいいのですが、首都圏や、新興住宅地には、「道切りも石敢當も存在していません」。
人間が快適に過ごすための空間や標識は充実していても、目に見えない存在への配慮はあまりされていないのが現状といえるでしょう。
さすがに行政レベルで、風水的な技法を整えるというのは現在の日本では難しいと思います。
しかし、道切りや石敢當といったものを知っていることで、引っ越し先やマイホーム建築のときに、「直線を気をつけることが可能」となります。
「直線は悪いものも運んでくる」ということを覚えて、もし、そういった場所に住む場合は、石敢當は難しいにしても、鏡を置いたりするなど、霊的な立ち入り禁止の標識を置いておくことをオススメします。
Label to prevent evil spirits.
Straight road attract negative energy.
(画像出典:Wikipedia)
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