『養生アルカディア 凝りを巡る哲学的考察とセルフケア』vol.6

その色合いもまことに深緑で美しい温かい深蒸し茶をゆっくりと飲み干すとき、腸管内臓の上皮粘膜細胞と、免疫細胞の腹腔マクロファージからは、お茶のとろみのネバネバ多糖と、お茶のぬくもりの温熱ヒートショックのネバネバヒートな二大刺激により、DNAセントラルドグマが起動してヒートショックプロテインが産生されます
『養生アルカディア 凝りを巡る哲学的考察とセルフケア』vol.6

トリニティウェブ読者の皆様、秋も深まってまいりましたね!

前稿で紹介したネバネバヒートでマクロファージ活発の養生セルフケア・ライフをすでに実践していますか?

こちらハリィーが住む牧之原市の特産品である深蒸し茶のとろみも、実は茶葉の細胞壁を構成するネバネバ多糖です。

冒頭の写真はその深蒸し茶の茶葉を栽培する茶園をバックに、わたくしハリィーの相棒である経絡人形のツーボ君を撮影したものです。

本シリーズを始めるにあたり、なにか独自のアイコンをと思い、長年、治療院のデスク脇で連れ添ったツボ人形を養生アルカディアのゆるキャラ「ツーボ君」として抜擢しました。

陽の当たらないデスク脇から、太陽の燦々と降り注ぐ茶畑に出向き手を挙げるツーボ君。

今後も時々、顔を出しますので、ハリィーともどもヨロシクお願い申し上げます。

その色合いもまことに深緑で美しい温かい深蒸し茶をゆっくりと飲み干すとき、腸管内臓の上皮粘膜細胞と、免疫細胞の腹腔マクロファージからは、お茶のとろみのネバネバ多糖と、お茶のぬくもりの温熱ヒートショックのネバネバヒートな二大刺激により、DNAセントラルドグマが起動してヒートショックプロテインが産生されます。

そう、まさに一杯の深蒸し茶の飲用という習慣こそが、ネバネバヒートなコンプリート風邪対策マニュアルになるのです!

さあ、いよいよヒートショックプロテインの核心に迫ります。

 

『ヒトの身体はタンパク質でできている』

皆さんはタンパク質と聞いて、いったい何を思い浮かべるでしょうか?

この蛋白質という言葉が発明されたのは、なんと幕末の江戸後期にまだ遡ります。

この蛋白質の蛋という文字、実は鶏卵を意味します。

私たちが日々、ゆで卵や目玉焼きやスクランブルエッグや親子丼や茶碗蒸しにして、美味しく頂いているあの鶏卵、トリのタマゴの白身部分は水分を除くとそのほとんどが蛋白質です。

つまり蛋白とは卵白の異名であり、だから蛋白質は卵白質の別名です。

「蛋白質=タマゴ」とイメージしてもいいかもしれません。

この「タマゴはタンパク質」というキーワードは重要ですので、最後の章まで覚えていてください。

さて、この蛋白質という三大栄養素としてよく知られた必須栄養素はご存知の通り、英語名をプロテインと言います。

このプロテインという言葉の語源はギリシャ語のプロティオスに由来して、「第1の物質、もっとも大事なもの」の意味です。

人体を構成する化学成分は水分を除くと、残りの主要成分はタンパク質といっても過言ではありません。

特に体壁筋肉系を構成する人体組織の最大規模40%を構成する600の筋肉群はすべてタンパク質でできています。

またヒトの身体の屋台骨である骨の構成成分のうちの20%はタンパク質のコラーゲン繊維です。

こうした皮膚や筋肉や骨や血管壁や腸管内臓や髪の毛や爪などの身体を構成する構造タンパク質のみならず、ホルモンやサイトカインや神経伝達物質や酵素などの情報分子や触媒などの機能タンパク質もすべてタンパク質でできています。

そうつまり、私たちの身体はタンパク質でできているのです。

 

『DNAはタンパク質の設計図』

このようなヒトの身体の構造や機能を保持している「最も大事な物質」であるタンパク質は、いったいどこでどのようなメカニズムで作られているのか、皆さんご存知ですか?

このタンパク質を生み出す設計図は実はヒトの60兆個の細胞に備わった細胞核DNAに書かれています。

この細胞核DNAに書かれたタンパク質の設計図のエクソンと呼ばれる1.5%の遺伝子をもとに、細胞内の小胞体とリボソームとゴルジ体とミトコンドリアなどを介してタンパク質は合成されます。

このDNAのタンパク質を合成する遺伝情報をもとに、メッセンジャーRNAにタンパク質合成の情報がコピーされて、一連のタンパク質合成ラインが起動してタンパク質が作られるメカニズムを生命の中心原理「セントラルドグマ」と呼びます。

ヒトの身体を構成するタンパク質はセントラルドグマで生み出されます。

 

『タンパク質はゆらぎ構造』

ヒトの1個の細胞内では毎秒数万個のタンパク質がセントラルドグマで作られて、同じ量のタンパク質が分解されています。

つまりヒトの全細胞では、なんと毎秒、100京個! ものタンパク質が合成されて、分解されている計算です。

ヒトの1個の細胞内には、概算で80億個のタンパク分子が、タンパク質でできた細胞骨格にくっつくようにひしめきあっており、それゆえに細胞内はまるで肉汁のスープのようにドロドロとした状態です。

ご存知のように機能タンパク質のひとつである消化酵素などの酵素という触媒分子もタンパク質でできています。

この酵素タンパク質の構造は、わかりやすく言えば、「結んで開いて」の構造で、基質と呼ばれる分子を挟み込んで、基質分子を細かくする作業をしております。

この酵素の構造をみてもおわかりのように、タンパク質は分子間に隙間の余白がある、非常にアソビが多い、ゆるやかで柔軟な構造をしています。

タンパク質はこの「ゆらぎ構造」ゆえに、様々な触媒として機能できるのです。

しかし、この優秀なゆらぎナノマシンであるタンパク質はゆらぎ構造ゆえに、様々な環境変化のストレスで、構造が歪んだり、いびつになることを避けられません。

このような形が正常でなく異常になったタンパク質を変性タンパク質と呼びます。

 

『タンパク質を守るヒーロー蛋白質』

地球に生きるヒトという生き物は、太陽光線の紫外線をはじめ、宇宙から降り注ぐ放射線、寒暖の温度差、低酸素、高圧、低圧、重金属、化学物質、薬物、活性酸素、病原菌、病原ウイルスなど様々な物理的、化学的なストレス要因に日常的に曝されます。

この様々なストレス要因によって、形が正常でなく異常になってしまったタンパク質を変性タンパク質と言います。

もしも、ヒトの身体を構成しているタンパク質の多くが細胞内外で変性タンパク質になってしまったら、ヒトはその身体の構造や機能を維持できません。

それゆえに、ヒトの身体には、このような変性タンパク質をあらかじめ修正し保護し、場合によっては分解し再生する仕組みがちゃんと備わっているのです。

このヒトのタンパク質を正常な形に維持するタンパク質は、特に熱ストレス刺激で分泌量が増すことから熱ショック蛋白質と命名されました。

この熱ショック蛋白質が、本記事最大のキモとなるヒートショックプロテイン、略してHSPです!

このヒートショックプロテインという内なるヒーローがいるからこそ、ヒトは様々な環境ストレスに応答して生きることができるのです。

ヒトは、セントラルドグマによる生み出される実に100種類を越えるヒーロー蛋白質のヒートショックプロテインに守られた存在です。

 

『HSPは魔法の分子か?』

試験管に入れた卵白を70℃で10分間加熱すると、この卵白のタンパク質は変性して、白濁します。

対照的に、ヒートショックプロテインを入れた試験管の卵白は、同じ条件で70℃で10分間加熱しても、なんと、白濁しません!!!

えっ、まさかぁ~、ビックリ仰天!

つまりヒートショックプロテインはゆで卵になるはずのタマゴの白身を、生卵の状態に維持できるのです!

蛋白質の語源の卵白質、そのタマゴタンパク質を熱変性から守ったヒートショックプロテイン。

まるで、魔法のような作業を平気でこなすミクロのナノマシンこそが、ヒーロー蛋白質のヒートショックプロテイン(HSP)です。

 

『凝りとは変性タンパク質である』

長年、東洋医学の臨床現場において、わたくしハリィーは凝りと対峙してきました。

この凝りには、二大分類として「活きた凝り」と「死んだ凝り」があることは、すでに本シリーズの第一回目の記事のキモとして触れています。

凝りとはひとことで言えば、様々な環境ストレスによって細胞内でひしめきあっている80億個のタンパク分子がギドギド、コリコリに変性した結果です。

つまり凝りとは変性タンパク質です。

 

『凝りを活かすネバネバヒートな生き方』

最後に結論を申します。

「活きた凝り」はギドギド寸止めの半熟タマゴ!

「死んだ凝り」はコリコリマックスのゆでタマゴ!

半熟タマゴの「活きた凝り」を、生タマゴでトロトロの凝り無しボディに変換する医療が、ヒートショックプロテインを旺盛に分泌する鍼灸指圧術。

ネバネバヒートなライフスタイルは「死んだ凝り」を発生させないための、「活きた凝り」を活かす生タマゴな究極のトロトロ・セルフケア。

以上、一杯の深蒸し茶から始まるタンパク質の妙なるストーリー、いかがだったでしょうか?

 

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