ミトコンドリアを正しく理解してミトコンドリア数を増やそう~ 『サルでもわかるハリィー先生とトリ子さんのアヴァンギャルドな東洋医学講座』 第12話~

キモはとにかくミトコンドリアを増やそう。そのためには一酸化窒素やグレリンの分泌を高めよう。

「ガン細胞内のミトコンドリアはカタチがいびつに変形して、機能が失調している場合がある。すべてのガン細胞で認められる現象ではないけど、このようなミトコンドリアが失調したガン細胞では解糖系というATP産生機構が異常に亢進していることがわかっている。これを発見者の名をとってワールブルグ効果と呼ぶんだけど、このへんが癌ミトコンドリア原因説の発端らしい。それでこのワールブルグ効果を発現しているガン細胞内のミトコンドリアは、温熱などによりヒートショックプロテインの発動でその機能を回復して、機能を回復したガン細胞内のミトコンドリアは速やかにアポトーシス誘導することでガン細胞が消滅することも知られている」

「温熱療法がなぜガンに有効な場合があるか、の理由がそのヒートショックプロテインによるミトコンドリアの修復にあったのね。だとすると温熱療法のような事をしていれば、ミトコンドリアは常に元気でガンの予防にもなるのかしら?」

「我が鍼灸業界で知らぬ者はいないお灸博士の医師、故・原志免太郎博士は40代から毎日、自分の身体にお灸を据え続けて、なんと108歳と五ヶ月の健康長寿を達成したことで有名だよ。むかしの日本はお灸をするのは普通だったけど、そんな習慣がきっとガンを予防していたんだろうね」

「わたしたちは近代化というイリュージョンによって、何か大切なものを見失ってしまったみたいね」

「本当に大切なもの、宝のような技能が失われていったのが近代化だった気がするね。日本の東洋医学もそんななかで、少しづつ信用を失っていった。でも、まだまだこれから挽回できるって」

「そうね、マッサージをするだけで筋細胞中のミトコンドリアが増える確かな証拠も発見されたし! とにかくミトコンドリアを元気に増やすことだけを実践していれば間違いなさそうね」

「そういうことだね。ミトコンドリアは胃から分泌されるグレリンというホルモンや、皮膚と血管壁で合成される一酸化窒素という分子ガス・ホルモンで分裂が促されてミトコンドリアの数が増えることがわかっている。グレリンも一酸化窒素も鍼灸指圧で分泌を高めることができるホルモンなんだ」

「ワ~ォ、まさに鍼灸指圧で元気100倍、ミトコ~ンマ~ンね。ちょっと、今回の話を整理すると、キモはとにかくミトコンドリアを増やそう。そのためには一酸化窒素やグレリンの分泌を高めよう。これでいいのかしら?」

「その通り。だから、そのトリ子さんが今、はまっている……」

「あっ、『青竹踏み』! そうかっ、ゾーンセラピーで、全身へと血流をうながす。その分子レベルでは一酸化窒素が大活躍して、ミトコンドリアも元気100倍ってわけね。やったぁー、いち、にっ、いち、にっ、もうガンガン踏んじゃうわよ」

「いや、べつにガンガン踏まなくてもいいって(笑)普通に気持ちよく踏んでいればそれが一番いいんだよ」

「あっ、そう、あ~、気持ちいい。次回も濃密なミトコンドリア論をハリィー先生、頼んまっせー!」

「オッケー、まかしときー!」

 

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