忌み言葉  ~絶対に口にしてはいけない言葉とは~

古代において、言霊は「事魂」とも表記されていました。すなわち、「言葉が現実の物事にたいして影響を与えるのは当然」だと思っていたわけです。

【言霊を大切にする国】

スピリチュアルな世界では「言霊」という概念は、「比較的ポピュラーなもの」となってきています。そもそも、日本人は「言霊」を非常に大切にしている民族でした。

『万葉集』に掲載された「志貴島のやまとの国は言霊のさきはふ国ぞ福くありとぞ」という、柿本人麻呂による和歌は、そんな日本人の心を見事に表現しています。

 

【言葉が事実に変わる】

古代において、言霊は「事魂」とも表記されていました。

すなわち、「言葉が現実の物事にたいして影響を与えるのは当然」だと思っていたわけです。発した言葉がすなわち「事実」へと変わるということは、「呪術的な思考」といえるかもしれませんが、これらは現在までも残っている根強い信仰なのです。

 

【現代でも残っている言霊信仰】

現在まで残っている言霊信仰は「忌み言葉」といわれています。これは結婚式やお葬式、いわゆる「冠婚葬祭の場で使わないようにする言葉」、という意味合いで使われることが多いですが、本来は「口に出してはいけない言葉」でした。

つまり、「不吉な言葉を使ってしまうと、それが現実化してしまう」ので、そのような言葉を使わずに、どうしても使わなければいけない場合は、他の言葉で置き換えていたわけです。

たとえば、不幸が重なるといけないので「たびたび」「またまた」といった重ね言葉は使わないようにしますし、結婚式の場合は「帰る」「去る」といった言葉は、離婚を連想させてしまうということで、使わないようにするケースが多いわけです。

このあたりの言葉ついては、最近では忌み言葉などは迷信として気にしない人も増えてきていますが、昔はおめでたいことや、不吉なことなど、すべての場面において、言葉の使い方を気にしていたようです。

 

【穢れを遠ざけるために使われた言葉】

しかし、古い時代には、「日常的な言葉のすべてを穢れから遠ざけていた存在」もいました。伊勢の神宮で神に仕える巫女であった「斎宮」は、穢れた言葉や仏教に関する言葉をすべて言い換えていたのです。

たとえば、「死」は「なほる」、「血」は「あせ」、「仏」は「中子」、「僧侶」は「髪長」といった具合であり、日本語というよりも「斎宮言葉」というレベルの特殊なしゃべり方をしていたようです。

 

【言葉は人間に多くの影響を与える】

このように、日本人は、言霊を非常に大切にしてきたわけですが、実際に「否定的な言葉」はその人にとって、悪い影響を与えているという説もでてきています。

「日本大学医学部の教授」である「林成之医師」は、言葉の持つ力に着目し、スタッフにたいして否定的な言葉を使わないように指導した上で、具体的になにをするかを言葉に出すようにしたことで、さまざまな業績をあげています。

 

【言葉の持つ力を意識しよう】

言葉というのは、「人間が人間として成立する上で必要不可欠なもの」であり、これがあるからこそ、人間は文化を築けたといっても過言ではありません。そんな重要なものにも関わらず、昨今は「言葉の力というものが忘れられてきている」ように感じます。

言葉はそれだけで「人を殺すことさえできる強力なもの」であり、それはすなわち、「人を癒やし、救うことも可能になる」ことにほかなりません。

言霊の力というと、古くさく感じる人もいるかもしれませんが、私たちが発する言葉というのは、常に一定の力を持ちづけているものです。それを「マイナスな方向にいかすのか、プラスの方向にいかすのかは、貴方次第」なのです。

 

The words that should not be speak.
Japan is the country of “Kotodama”.