海の河童〜妖怪の正体は何だったのか? 親の愛情と水難事故〜

河童に限らず、妖怪がいて人を引きずる……という言い伝えがある場所は、本当に妖怪がいるのかもしれませんが(ぉぃ)、そんな話に出てくる妖怪の多くは離岸流や雪崩や崖崩れが起こりやすい場所で、親の愛情が子どもの危険を回避するために作り出した産物かもしれません。

こんにちは、「よいぼしのなぎうた」のkinaです。
これから行楽シーズンに入りますが、行楽時の事故は実際に遭遇したことのある身としては本当にやめてほしいものです。
行楽シーズンを楽しむためにも、妖怪のお話をおひとつ。

 

<海に河童がいて人間を引きずり込む!? 非科学的な発言をする親の発言の真意>

kinaの母親(まま様)の実家(以下実家)は海に近いところで、小さい頃は夏はまま様の実家にご厄介になり、実家の稼業(お店)のお手伝いをしつつ海で泳ぎまくる毎日でしたσ(^_^;
kinaの実家から少し離れたところに広い砂浜がある場所があって、そこは水場とトイレもあり、キャンプ場としても使える場所で、実際に夏は色とりどりのテントを実家からも見ることができましたが、昔から水難事故が多く遊泳禁止の場所になっていました。

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当然そのことを知っているまま様はkinaと弟に毎年のように「あっちの海で泳いだら絶対にダメ。あそこには河童がいて、泳いでいる人の足を引っ張るから」とくどくど注意していて、それを聞くたびにあんまり妖怪を信じてないkinaは「まっさか〜。それに河童がいるのは川だし」と思っていましたが、やんちゃな弟もまま様のその注意だけは素直に従っていました。
非科学的な発言の本意は「子どもの安全を守りたい」というのはわかってましたし、「まま様に怒られる」よりも「すぐ近くで泳げる場所があるし、そこのキャンプ場までは遠い」という方が大きかったんですが。

小さい頃からまま様が口うるさく「あそこで泳ぐな」と言っていた理由は何度目かの夏ですぐにわかりました。
ある夏休みの終わり頃に、町が少し騒がしくなったかと思うとたくさんの車や船がキャンプ場の方に向かっていきました。中には警察の車や海上保安庁の船もありました。
水難事故があり、泳いでいたまだ若い方がお亡くなりになったんです。
その時はまま様はもちろん、まま様の姉も「あっちの方で泳いだらダメ」と注意し、kinaは本気でビビりました。
翌年は何事もなく夏は終わりましたが、翌々年も水難事故があり、その時には比較的浅い場所で子どもが亡くなっていたのが見つかり、やっぱりまま様が「河童にひきずりこまれるからあそこで泳ぐな」とくどくど注意をしていました。
その時にも「河童は海にはいない」と思ったのですが、「深い場所で溺れるのはわかるけど、浅い場所で亡くなるってどういうことなんだろう?」と子どもながらに思っていました。

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<河童はやっぱりいた? 意外な河童の正体と遊泳禁止の場所で泳ぐことはどういうことか>

さて、ある程度大きくなったkinaは「離岸流」という潮の流れの存在を知ります。
川が近くにある場所で起こりやすい現象で、海の一部に岸から沖への強い流れがあり、その流れに乗ってしまうと岸に戻ることが難しくなり、結果水難事故につながってしまう……というものでした。
また、川が近くにある海水浴場では、水の流れの関係で渦を巻くところがあり、その流れに入ってしまうと飲み込まれて、比較的浅い場所でも溺れることもあるそうです。

この話を聞いた時に、「あのキャンプ場にいた河童の正体はこれか!」と思いました。
そのキャンプ場には確かに川が流れていました。
まま様はあながちウソを言っていたわけでもなさそうです……形は世の中に言われている河童の形とはかなり違っていましたけど。

海水浴で死亡事故が起きるのは、「遊泳禁止の場所で泳いでいた」だったり「お酒を飲んだ後で泳いだ」という、本来禁止されている事項を破って泳いだ結果だった……ということがほとんどです。
遊泳禁止の場所は、救助だって二次災害が考えられる場所も多いです。だからこそ泳ぐことを禁止しているんです。
遊泳を禁止している場所で泳いではいけません。

河童に限らず、妖怪がいて人を引きずる……という言い伝えがある場所は、本当に妖怪がいるのかもしれませんが(ぉぃ)、そんな話に出てくる妖怪の多くは離岸流や雪崩や崖崩れが起こりやすい場所で、親の愛情が子どもの危険を回避するために作り出した産物かもしれません。
「化け物が出る言い伝えのある場所」には軽々しく足を踏み入れない方が身のためだと思いますよ。

 

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