夏だからこそ知っておきたい着物の知識と言い伝え

他の着物に関するスピリチュアルないいつたえを紹介する前に、間違って縁起の悪い着方をしないように、「簡単に着方をチェックできる方法」を紹介しましょう。

【夏は着物の季節】

今では、着物を着る人というのは、どんどんと減ってきており、「お祭りや花火大会などの浴衣が唯一の機会」という方も多いかも知れません。
夏はそんな着物を着ることの多い季節ですので、着物に関するスピリチュアルな話を紹介しましょう。

 

【左前の着物は縁起が悪い】

着物をあまり着ない人でも、聞いたことがあるであろう、もっともポピュラーな着物にまつわる言い伝えとしては「左前の着物は縁起が悪い」というものがあります。
こちらは、死者が着る「死に装束」は左前で着せることから、その着方をすると「早死」するなどといわれているのです。

これだけメジャーでありながら、なぜ左前が死者の着物となったのかということには意外と知られていません。
これは、今から「1300年近く前に作られた法律が根拠となっている」のです。西暦719年に「衣服令」という法律が発令されました。これによって、儀式の時に着る服や、仕事の時に着る服、普段着などについて、種類や着方などが細かく決められたのです。

その中に「右衽着装法」という法律があります。
これは、簡単にいってしまえば、着物を着るときは衿を「右前」にすること。
つまり、正式な着方が右であるので、死者の場合は、生前と逆にする、また現世と死者の世界は正反対という意味合いで、左前になっているわけです。

こうしたことから、左前が縁起が悪いというのは、ある意味では1000年以上続く非常に由緒ある言い伝えということができるでしょう。
しかしながら、今では着物を着る機会が少なくなったこともあり、左前で着物を着てしまう人も増えています。

 

【簡単にできる着物着方チェック】

他の着物に関するスピリチュアルないいつたえを紹介する前に、間違って縁起の悪い着方をしないように、「簡単に着方をチェックできる方法」を紹介しましょう。
それは、自分の姿を鏡に遷して、「衿が「」の形になっていたらOK」というもの。
迷ったら、スマホなどでyを入力して、鏡に映った自分の姿と比べてみてみてください。この形になっていなければ左前となります。

 

【死者と着物にまつわるあれこれ】

左前だけでなく、「死者が着る着物と同じ要素を持つ着物を着るのは縁起が悪い」といわれています。「しつけ糸を取っていない着物」は、死者のものと同じであるので着ると死ぬというものもありますし、着物を夜に干していると、そこに死者の魂が宿るために夜に干すことを戒めたりもしていました。
着物というのは、常に身につけているものですので、それだけに人の念などがこもりやすかったのかもしれません。

 

【着物が持つ魔除けの力】

念がこもりやすいものだからこそ、その対処としての霊的な防御も、着物には込められていました。それが「背縫い」と呼ばれる部分。

こちらは、着物の「背中部分にある縫い目」なのですが、もっとも負担がかかる部分ということもあり、しっかりと縫い込まれていました。
そのときのお針子による念がしっかりとこもっているということや、「縫い目のような模様が魔を退ける」という信仰があったこともあり、「無防備な背中を狙ってくるネガティブなものを退ける力」があるとされてきました。

ちなみに、子供の着物はサイズ的にこの背縫いが存在しないので、ネガティブなものに狙われないために「背守り」という、背中に糸でスピリチュアルな意匠を刺繍することで、魔除けにするという風習も存在していました。

夏はお祭りや花火など、浴衣を着る機会が多いというのは冒頭でも記した通りですが、お祭りや花火には、「鎮魂やお盆で戻ってきた霊などとふれあうというスピリチュアルな意味合いも含まれています」ので、そういった時にどこかからやってきたネガティブな霊などに目をつけられないためにも、浴衣はしっかりとした作法で着て、背縫いで身体を守って貰いましょう。

 

Etiquette and traditions of the kimono.
Kimono has the power of exorcism.

 

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