それって善意なの?『助言おばさん』とは!〜応援してあげたい相手には、そっと寄り添ってあげて〜

『助言おばさん』も、本当は良い人なのかもしれません。 もしかしたら誰かを操ってやろうとか、誰かの優位に立ちたいとか、そういう裏がある人ばかりでは無いのかもしれません。 心の底から相手を心配して、相手の役に立ちたいと願っているのかもしれません。

たとえば、恋愛のことで悩んでいる人がいたとします。
相談した覚えもないのに「別れた方が良いよ!」とか「それ、あなたに問題があるんじゃないかなぁ?」とか「もうちょっと女らしくしてみたら?」なんて言われたらどうでしょうか。

相手は善意でも、こちらとしては「なんで、あなたにそんなことを言われなくちゃならないんだろう……」と余計に凹んでしまいますよね。
そんなに簡単に解決できるなら、そもそも頭を抱え込んで悩んだりしません。

ムリにメンターとかスーパーバイザーみたいなことをしてくれなくても良いのです。
それなら、変に助言等せず「一緒に食事でもしない? たまにはご馳走するわよ」と言って相手の好きそうな料理のお店に連れて行ってあげるとかの方が純粋に喜ばれると思います。
空腹も満たされますし、黙って寄り添って貰った方が嬉しいですから。

では何故、せっかくの助言が逆効果になってしまうのか説明します。
重要なことを先に言います。
助言とは相手を否定することでもあるのです。
助けたい気持ちがあるかどうかは関係ありません。

どういうことでしょうか。
たとえば恋愛で悩んでいる人に対して意見を求められたわけでもないし、助言が欲しいと言われたわけでもないのに突然、助言をされたらどういう気持ちになるでしょうか。
「なんか、私が間違っているみたいな前提で話を勝手に進められている気がする……」と思いませんか。

その通りなのです。
つまり助言がダメだしになっているのです。

これは言うまでもありませんが、ダメだしは教育的によくありませんよね。
理由は同じで他者否定だから。

「だから、あなたはダメなのよ」というニュアンスで解釈されてしまうと、言われた側は自己否定につながって行きます。

「○○さんは、私のことを思って厳しく言ってくれているのね! これも愛なのね!」とスポ根みたいな展開になるとは限らないのです。
人は自分の人格を否定されたと解釈すると、ものすごく傷つくのです。

カウンセリングに限らず、まずは相手の状況や気持ちを受け止めてあげること、つまり傾聴が大事なのです。
傾聴を最初から飛ばして、相手の気持ちに寄り添うことなく話を一方的に進めようとしたら信頼関係は作れないのです。

悲しいことに、最近はカウンセラーやセラピストが、傾聴せずに、それこそ自分の勝手な解釈で一方的に助言をして来て傷ついたという声も耳にすることが増えて来たように感じます。

人はどうしても無意識に自分が優位に立ちたいという心理が少なからずあるものです。
だから、その気持ちが表に出てしまうのでしょうか。
難しいものですね。

カウンセラーやセラピストは、クライエントさんの気持ちに寄り添って、そっとサポートすることが仕事です。
クライエントさんの秘めた力を信じてあげることが仕事なのです。

とにかく『助言おばさん』は結果的に相手をコントロールしようとしているのと同じなのです。

その意見に従わないと「どうして私の助言を聞かないの?」とか「じゃあ、あなたどうする気なの? そのままで良いの?」と機嫌が悪くなったり、「私の助言を受け入れないのね、残念だわ……」という感じで勝手にガッカリされたりして、「やはり自分が悪いのか……」という方向になってしまう場合もありますよね。

本来の問題ではなく、目の前の助言者に対してどう扱うかったら良いのかという新たなる問題が発生してしまうなんて、本当に迷惑な話です。

よくスーパーの掲示板に貼ってある『お客様ご意見カード』に書かれているクレーマーとまったく同じですよね。
あれも、助言しているっぽく書いていますが、結論としては自分の意見を押し付けているだけという内容も多いですよね。

仮に「私の頭では決断できないから、意見を聞かせてくれない?」とか「他人のせいにする気は無いけど、自分の意見がまとまらないからあなたの意見に従うわ!」と言われたら助言してあげれば良いと思います。
「話を聞いて!」と「意見を聞かせて!」はまったく意味合いが違うのです。

助言が必ずしも悪いというわけでは無くて、助言する際は相手を傷つけないように配慮する事が大切なのです。
一刻を争う危機的状況でもない限り「私の話を聞きなさい!」的な圧力をかけるのではなく、空気のようにそっと寄り添い、必要に応じて相手の意見を尊重しながら提案をしてあげれば良いのです。

 

相手を思い遣るには……

『助言おばさん』も、本当は良い人なのかもしれません。
もしかしたら誰かを操ってやろうとか、誰かの優位に立ちたいとか、そういう裏がある人ばかりでは無いのかもしれません。
心の底から相手を心配して、相手の役に立ちたいと願っているのかもしれません。

だとしたら、ムリに助言しなくて良いので相手が喜ぶことをしてあげて下さい。
一瞬で事態を解決できなくても焦らないでください。
憐みの表情で相手見るのではなく、そっと寄り添ってあげてください。
必要時応じて、自分に出来る範囲で力を貸してあげて下さい。

助言する側も、焦らなくて良いのです。
せっかくの善意、無駄にしないで下さいね。

 

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