作者はなんと童貞のお坊さん!?
インド発祥、愛の奥義『カーマ・スートラ』part.1

男性器の象徴 シヴァ神はインドのアイドル。インドの夫婦の必須アイテム『カーマ・スートラ』を我々日本人も勉強しましょう。
作者はなんと童貞のお坊さん!?<br>インド発祥、愛の奥義『カーマ・スートラ』part.1

3、4世紀頃「セックスは史上最強のコミュニケーションツール」と説いたインドの行者がいました。その教えが書かれた教典の名が『カーマ・スートラ』…… インド発祥の、この『カーマ・スートラ』は有名ですが、その割に教典を読んだという人は少ないはず。 カーマは性愛、スートラはテキストを意味します。一般的には性愛の体位集と思われ、日本でいう四十八手と勘違いされますが、この教典で論ずる部分は遥かに奥が深いんです。男女が出会い、どう言葉を交わし、異性を惹きつけ、いかに愛し合うかが書かれた世界最古の性愛テキスト。インドでは性知識に乏しい夫婦でも仲睦まじく性生活を送れるよう、虎の巻として新郎新婦へ『カーマ・スートラ』が贈られたみたいです。
さて、私たち日本人はどうでしょう? 先進国のなかで唯一エイズ発祥率が増加し、国内での感染者がいよいよ2万人を突破してしまったという現状。原因は「正しい性を学習しない」ことではないでしょうか。義務教育は受けたが、セックスについては学校でしっかり学べない……友人とのヒソヒソ話やインターネットで知り得た知識だけを頼りに、見よう見まねの行為と失敗の繰り返しから学ぶしかないのが現状です。何となくネガティブなイメージをもってしまうのが性愛ですが、ヨーガ発祥の地・インドではセックスはチャクラや悟りとも関係し、聖仙の方々が数多く教典を残しています。セックスは“魂のなかに生じうる最大の快楽と苦痛を同時に引き受けざるを得ない活動”と考えられ、それこそ人間にとって最も根源的な体験だとされていました。
スピリチュアルを学ぶ上で必ず忘れてはいけないのが、この大事なテーマ性愛(カーマ)ではないでしょうか?

まずはカーマスートラの成り立ちからご紹介し、今後は呼吸法とセックス、セックスヨーガなどを順にご紹介いたします!

 

〜神や仙人によって紡がれた古代インドの性愛論〜
カーマ・スートラの成り立ちとはPart.1
日本では卑弥呼が活躍していた時代に、不思議の国・インドでは性愛の教典が完成しました。しかも作者は世俗の快楽を放棄した禁欲の苦行者……なんと、偉大なる『カーマ・スートラ』の作者は童貞のお坊さん!? 数多の神話を集めたというテキスト編成の目的は一体なんだったのでしょうか。

 人生に必要な3つの目的を知る修行
カーマ・スートラが誕生したのは3、4世紀頃。行者マッラナーガ・ヴァーツヤーヤナが、賢仙によって口伝えだった伝承など10万を超えた数多の逸話を現在のようなかたちにまとめたといわれています。古代インドでは人生に3つの目的(トリヴァルガ)があるとされており、人間にとって最も必要なものは美徳(ダルマ)、富(アルタ)、性愛(カーマ)で、それらを総じてトリヴァルガと呼んでいました。少年時代にアルタを獲得するため勉学に励み、富への道を開き、青年時代にはカーマを追及し、豊かな愛と官能的素養を深めることに精進したとされています。また、老後にはダルマ、すなわち宗教的・道徳的な義務を追及すべきと語っています。

 男性器の象徴 シヴァ神はインドのアイドル
カーマ・スートラは、シヴァ神が自らの分身である女性と交接し発見した快楽の詳細を記録したのが始まりと言われています。シヴァは破壊と再生の神で、自由奔放な生き方がインドで大人気。インドのいたるところに彼を表すリンガが花で飾られています。リンガは象徴的につくられた男性器のことで、シヴァとして崇拝されヨーニと呼ばれる女性器の抽象化した台座とセットで表されます。
なかにはこんな逸話が……
世界がまだ混沌としていた頃、ブラフマー神がヴィシュヌ神を見つけ、自分より前に存在している者がいることを驚いた……世界の創造者であることを自認する二人の神が口論していると光り輝く巨大なリンガが出現した……二人の神は驚き、その正体を見届けようとしたが、リンガの端を見極めることができませんでした。それほどシヴァの存在は偉大だったのです。インドでは多くの夫婦がリンガ信仰をしています。

スクリーンショット 2015-02-06 11.13.46イケメン神様シヴァ武勇伝は数知れず
シヴァは人々を保護する一方、恐ろしい神でもありました。シヴァが敵対する宗派に自分を信仰するように言うと、聖仙らは怒って虎と蛇をしむけ襲わせました。しかし、シヴァは爪で虎の皮をはいでショールにし、なんと蛇を首飾りにしてしまったのです。シヴァは今でも強い男性性のシンボルとして多くのファンを持っています。

 

Part2へ続く

Special thanks:伊藤 武
在野のインド研究家として、周辺地域の歴史や文化に造詣が深い。2年にわたりインド全土、ネパール、スリランカ、タイを放浪。遺跡調査、神話、伝説、風習、武術、ヨーガなどの収集に努め、サンスクリット語の研究に取り組んでいる。
伊藤武先生のヨーガ教室:YAJ ~Yogini Association Japan~