あなたの感情は食べ物の味にコントロールされていないか?〜毎回の食事に六味を入れるということ

アーユルヴェーダでは味と感情は関係しているとされています。六味と感情の間にどんな関係があるのでしょうか。

■酸味

酸味の食べ物の代表格は酢、レモン、グレープフルーツ、ヨーグルトなどです。
クランベリーも酸っぱいです。
私は酸味が苦手です。

いま時のトマトはかなり糖度が高いですが、私にとってはかなり酸っぱい食べ物です。
積極的に食べるのはレモンだけです。

酸味の食べ過ぎは羨望、いらつき、悲観という感情を刺激します。
酸味の摂りすぎは肝臓にマイナスの影響を与えます。
肝臓はイライラや「どうぜダメ」という悲壮感に関係しています。

私は酸っぱい物をあまり食べないせいか、イライラはあまり感じないほうだと思います。
こうした感情はピッタの増悪と関係しています。

酸っぱい物を食べすぎると、ピッタが増悪します。
ピッタゾーンには肝臓があります。

ピッタが増悪して肝臓の機能が低下すると、全身の栄養状態が悪化し、脳への栄養供給が低下したり、毒素が蔓延します。
その結果、ストレス耐性が低下し、ちょっとしたことに対してイライラしやすくなります。
イライラしやすい人、なにごとにも悲観的になる人は酸味を摂りすぎていないか食事を見直してみるといいでしょう。

■塩味

塩味の摂りすぎは貪欲、自己憐憫、頑迷という感情に関係しています。
貪欲はヴェーダ哲学の「6つの敵」の一つですから取り除きたい感情です。

頑迷とは頑固で考え方が柔軟さを欠いていること。
自己憐憫とは「私ってなんて不幸な人だろう」とか「私ほど不幸な人はいない」と思う気持ちです。
自分を憐れむという感情ですね。

私がアーユルヴェディック・カウンセリングで面接した人のなかにもこういうクライアントがいました。
幼児期に親から暴力を受けたというトラウマから「私はなんて不幸なのだろう」という自己憐憫から抜けられず、いろいろな内臓不調を持っている人でした。
この人は「私は昔、親からいじめられて、とてもかわいそうなの。私を見て! 私のことだけを見て!」という感情を払拭できないのです。

塩味の摂りすぎがもたらす貪欲、自己憐憫、頑迷は、すべて行きつくところは執着です。
こういった感情を持っている人は塩を摂りすぎていないか見直すといいでしょう。
実際、この女性は高血圧とそれに伴う網膜剥離を抱えていました。

■辛味

辛味ほど得意不得意の個人差が大きい味はないように思います。
激辛でも平気な人もいれば、少し辛味があるだけで鼻の頭に汗をかく人もいます。

私はショウガの辛さは好きですが、トウガラシの辛さは苦手です。
料理にはトウガラシをまったく使いません。

以前、一緒にお蕎麦屋に行った会社の同僚が、お蕎麦のどんぶりの表面を一味唐辛子で真っ赤に埋め尽くしているのを見たときには目がテンになりました。
そのころ会社の仕事がきつく、この人は月100時間くらい時間外労働をしていたので、怒りが蓄積していたのかもしれません。

辛味は嫌悪、怒り、恨みといった感情と関係しています。
辛味は体のピッタを高め、心のラジャスを増やします。
嫌悪、怒り、恨みの感情はピッタとラジャスに関係しています。

夏のギラギラした太陽の下でタバスコ入りの食べ物を食べたら血が燃えたぎり、それまで抑えていた怒りが放出するのかもしれません。
アーユルヴェーダでは、憎悪や怒りは肺の中間部にダメージを与えると考えられています。

鬱屈した怒りをもっている人が咳をしているシーンをテレビドラマなどで見かけることがありますが、辛いものを食べて怒りを最大限に高めているのかもしれませんね。