宇宙は実在しないという最新物理学はアーユルヴェーダに近づいたか

人間が認識して初めて現実が存在し始めるように、苦しいことや、悲しいことも、認識して初めて存在するのです。では、心の感情や認識はなぜ起きるのでしょうか?

こんにちは。アーユルヴェーダスクール ジヴァ・ジャパン代表でアーユルヴェディック・カウンセラーの文分千恵です。

今年5月、オーストラリアの物理学者グループが「人間が観測するまで自分も宇宙も実在しない」ことを証明した論文が科学雑誌『Nature』に掲載されました。

人類史上の常識がガラッと覆される理論だということで世界的に注目されました。

量子力学をまったく知らない私でも、人類の常識が覆されるだろうことは理解できます。私たちの思考や宇宙観は、宇宙や自分というものが実在するという考えが前提となっているからです。

この常識の否定は、ちゃぶ台をひっくり返したくらいのインパクトがあります。

 

宇宙は実在しないという宇宙観の衝撃

「現実は存在しない」という考え方は20世紀初頭から研究が進められてきました。

簡単に言うとこういうことです。人間が目で見るまで(見るといっても観測器を通してですが)、「在るもの」が波動なのか粒子なのか決まっていません。人間が観測した瞬間に波動性か粒子性かが決まるのです。

ということは、人間が認識するまで宇宙を含めた現実は存在しないのです。

人間が認識して初めて現実が決まるというのです。人間の体も物質でできているのですから例外ではありません。この宇宙観をオーストラリアの物理学者グループが証明したというわけです。

自分も宇宙も実在しないという最新の物理学は私に「マーヤー」を思い起こさせました。

インド哲学には「マーヤー」という考えがあります。宇宙の根源である「ブラフマン」だけが実在であり、私たちが現実だと思っているこの世はブラフマンの幻影にすぎないという考え方です。

Microscope

 

苦しみも悲しみも実在しない

最新の物理学もマーヤー思想も同じことを言っています。

自分も宇宙も実在しないのです。私もあなたも実在しないのです。私の苦しみもあなたの悲しみも実在しないのです。

人間が認識して初めて現実が存在し始めるように、私が苦しいと思っていることも、あなたが悲しいと思っていることも、認識して初めて存在するのです。

かつて印象に残る量子物理学の記事を読んだことがあります。

観察者が「この素粒子は右に動くかな」と推測すると実際に右に動き、「左に動くかもしれない」と憶測すると実際に左に動くというのです。

つまり、絶対的な真実はないと言います。心は目に見えなくても物質ですから、絶対的なものではなく、認識によって変化を続けるものです。

苦しみも悲しみも憎しみも嫉妬も絶対的なものではなく、心の認識によって起きるのです。

こうした心の感情や認識はなぜ起きるのでしょうか。

それは私とあなたは別々の存在だという考えから起きるとヴェーダ哲学は言います。私とあなたは別々の存在だと思うから、妬みや嫉妬や苦しみが起きるのです。

しかし、自分も宇宙も実在しないということになれば、私とあなたは別々の存在だという考えの前提が崩れることになります。

人と比較したり恨んだりすることが無意味になります。最新物理学を信じてもマーヤー思想を信じても結論は同じです。

 

私もあなたも同じエネルギー

私のアーユルヴェーダの先生であるドクター・パルタップ・チョハンは、わかりやすい喩えでこれを説明しています。

電気エネルギーは一つです。

扇風機に使われる電気エネルギーも、エアコンに使われる電気エネルギーも、電球に使われる電気エネルギーも同じです。扇風機やエアコンや電球は電気エネルギーを使う機器にすぎません。

こうした電気機器が、まるで自分が電気エネルギーそのものであるかのように、「電球より扇風機のほうがエライ」とか「扇風機よりエアコンのほうが立派」と言ってケンカするのは無意味です。

人間はそうした無意味な心の葛藤を抱いています。人間の本質は魂つまりエネルギーです。これを理解できれば、エネルギーは一つなのですから、私とあなたは別々の現実だという考えの呪縛から解き放たれるとドクター・パルタップは言います。

物理学の世界にも同じ考え方があります。「部分的な存在はない」という理論です。

この宇宙のすべては一つにつながっている。見た瞬間に量子の一部がワッと立ち上がってくるにすぎないというのです。見なければ宇宙のすべてが一つにつながったままなのです。物理学は段々アーユルヴェーダに近づいているようです。

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