平安時代から存在していた上流階級の料理湯漬け

平安時代以前から存在していたセレブ料理って、皆さん何を想像しますか?おそらく、「懐石料理や精進料理などが思い浮かぶ」のではないかと思いますが、実はとってもシンプルなものだったのです。

【平安時代のセレブ食とは?】

今では、あまり見かけられなくなりましたが、「平安時代以前から存在」しており、特に「上流階級の間で食べられていた料理」があります。

ちなみに、この食べ物には「食べ方の作法」すら存在しており、「変な食べ方をしたために人間性を疑われた」という人物のエピソードも存在しているのです。

このように説明されると、皆さんはどんなものを想像するでしょうか?

おそらく、「懐石料理や精進料理などが思い浮かぶ」のではないかと思いますが、実はとってもシンプルなものでした。

 

【織田信長の好物でもあった湯漬け】

その料理とは「湯漬け」。織田信長に関するエピソードに登場するために、時代劇が好きな人や、織田信長に興味をもっている人ならば名前を聞いたことがあるかもしれません。信長は湯漬けを好んでおり、「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり」という、お馴染みの舞のあとにも、湯漬けを食べたといわれているのです。

「戦国の英雄とも言える信長が食べていた」ことからも、この料理が平安時代から上流階級で食べられていたことがわかりますが、その姿は簡単に言ってしまえば「ご飯にお湯をかけたもの」となります。現在でいうところの、お茶漬けのお茶をお湯にしたものといえばわかりやすいでしょう。

前述したように、平安時代頃に湯漬けがあったのは、現代でも残っている『源氏物語』や『今昔物語』といった文学作品の中に登場することからも明らかですが、一説によると最も古いものは『日本書紀』に登場する「蘇我入鹿暗殺前に、水をかけた飯を食べた」という記述だともいわれています。

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【手軽に食べられてエネルギーになる】

現代のように、電子レンジもなく、炊飯器に保温機能もない時代、「冷えてしまったお米を美味しく食べるもっとも簡単な方法」が湯漬けだったわけです。

信長は合理的な人物だったと伝えられていますので、戦の前など、時間の無いときに「手軽に食べられて、エネルギーも得られる湯漬け」を好んでいたのかもしれません。

ちなみに、現代のような「お茶漬けが登場したのは、江戸時代頃」だといわれています。それまでは、お茶は高級品であり、手軽に利用することが出来なかったために、お湯をかけて食べるのが一般的であり、江戸時代頃には上流階級ではなく庶民のものとして湯漬けは楽しまれていたようです。

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【湯漬けの作法とは?】

一般庶民のものになることで、現代でいうところの「ファストフード的なイメージが強くなった湯漬け」ですが、前述したように貴族や戦国大名などは、湯漬けを「公式な場面で食べていた」とされています。

つまり、「重要な案件を決める会議や、戦の前など」です。そんなときに食べるわけですから、作法があり「お湯の量や、ご飯を崩すタイミング、具を食べる順番から、お湯を飲むタイミング」まで決まっていたのです。

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【日本人にとって特別だった白米】

現代風に考えると、湯漬けにはあまり栄養があるとは思えませんが、「白米は長らく日本人にとって特別なもの」として扱われてきました。