本気な菌活シリーズ4〜プロバイオティクスとプレバイオティクス

菌というのは何も勝手に増えるものではありません。エサと環境が無ければ増えません。

◎プロバイオティクスとプレバイオティクス

昨今盛んにテレビやメディアのCM等で耳にされる「プロバイオティクス」。
これは人体に有用な「菌」を摂取しよう、というものです。

そこに、実はもう一つ重要な要素があります。
「プレバイオティクス」というものがあります。
こちらは余り世間では馴染みがないかと思われます。
プレバイオティクスとは、簡単に言うと、人体にとって有用な働きをする、菌のエサとなる「食品」という事です。
本気な菌活は、この両方をしっかりと理解する事が非常に重要です。

 

◎プロバイオティクスだけでは到底足りない

菌というのは何も勝手に増えるものではありません。エサと環境が無ければ増えません。
ですから、プロバイオティクス食品だと言って特定の菌ばかり食べたとしても、胃酸で大抵の菌は死にますし、それが腸内細菌のエサになる事もありますが、腸内で増殖しなければ多くは腸内を素通りして最終的に便となります。

テレビのCM等に踊らされて、この菌を摂取すればお通じが良くなる、という戦略にハマってしまいがちですが、プロバイオティクス食品は「日常では」オプション程度であって(もちろん両方大事ですが)、日々の食事では確実にプロバイオティクスより、プレバイオティクスを重点的に考えメニューを作るべきです。

何故なら人は菌を無理に食べなくても生きられますが、食材を食べなければ生きていけません。
ですから、菌活というのは菌を摂取する前に、「日々の、毎食の食材」なのです。
プレバイオティクスをどれだけ日々効率的に摂取できるか、というのが菌活の一歩といっても過言ではありません。
「菌活」を考えた時に、毎日食べる食材が腸内細菌にとって有用か無用か、というのをしっかりと把握する必要があります。

 

◎人にも菌にも必要な糖

糖というと、余った分は脂肪になる、という意味で昨今では徹底的に嫌われ者になっておりますが。
糖は太古からエネルギーとして、微生物を含め多くの生物は利用してきました。
人は言うまでもなく、腸内細菌も当然それを利用しています。

糖というのは食材の中ではおおざっぱに別けると、単糖類多糖類に別けられます。
単糖類はそれ以上分解されない分子が一つ。多糖類は単糖分子が一つ以上が繋がったものを言います。
ちょっと化学的な話になってきますが、デンプンというのは炭水化物で多糖類です。
デンプンは食べたらそのままデンプンが体に吸収されるわけでなく、人体の消化酵素によって単糖類に分解されて、そこで初めて糖として吸収されます。

吸収率で言えば、基本的に単糖類→多糖類の順番であって、これは血糖値とも関係してきます。
ご存知の方もおられるかもしれませんが、炭水化物は食物繊維も含まれます。

となると、野菜も食べたら脂肪になって太るじゃないか、となりますが、ここが面白いところです。
それはもちろん、食物繊維は人体に吸収されないからですが。
その理由としては、食物繊維は吸収できる形にまで、人体は分解する酵素を持っていないからです。
となると、食物繊維はエネルギーとして人体は使えないとなります。

ですから、野菜は人体では糖として摂取出来ないのでヘルシーとなり、ひと昔前までは人体にはほぼ役に立たない物質とまで言われていました。
しかし実はこの人体が分解出来ないモノを、菌が分解、利用していたのです。

次回はこの食物繊維と腸内細菌の関係を掘り下げて書かせて頂きます。

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