ホラー映画『リング』でもお馴染み、霊の声が聞こえる”あの世とこの世を繋ぐ”通路『井戸』

京都の東山に「六道珍皇寺」というお寺があり、ここの井戸を通ると地獄にいくことができたのだそうです。ちなみに、井戸は「一方通行」であり、行きは六道珍皇寺の井戸を使い、帰りは嵯峨野にある福生寺という、今は無くなってしまったお寺の井戸を使っていたそうです。
ホラー映画『リング』でもお馴染み、霊の声が聞こえる”あの世とこの世を繋ぐ”通路『井戸』

 

【生者が地獄へと赴く】

皆さん、お盆休みはいかがお過ごしだったでしょうか? 帰省してお墓参りにいったり、のんびりと過ごしたという方も多いかも知れません。お盆は、「この世とあの世の境界が曖昧になり、ご先祖様が現世に戻ってくる時期」だといわれていますが、反対に「生者があの世へと行くことができた」という話をご存じでしょうか?

「寿命が来れば誰でもあの世へいけるだろう」と思うかもしれませんが、そうではなく、「肉体をもったままで、自由にあの世にいけたという伝説を持つ人がいる」のです。彼の名前は「小野篁」。百人一首にもその名を残す歌人でありながら、「参議」と呼ばれる非常に高い位まで登り詰めたエリート中のエリートでした。

 

【エリートに隠されたもうひとつの顔】

そんなエリートである小野篁には、「隠されたもうひとつの顔」がありました。それが、「地獄の役人」。

昼は宮廷で働き、夜になると地獄へと向かって、「閻魔大王の補佐としてその裁判を手伝っていた」というのです。まるで、漫画かドラマのような話ですが、平安時代にはすでにこの話は有名であり、地獄に行った男が地獄で篁にあい無事に現世に戻ったという話や、臨死体験をしたときに、閻魔大王の隣に篁が座っていたのを目撃したという話など、さまざまなエピソードが残っています。

 

【地獄に落ちた紫式部】

こういったエピソードが篁の死後まで語りつがれた結果、死後に「紫式部」を助けたという伝説まで生まれました。小野篁と紫式部は両方有名な人物ですが、生きていた時代には隔たりがあり、「紫式部が産まれる前に篁はなくなっていました」。

紫式部は死後、地獄に落ちたといわれています。

その罪状というのが『源氏物語』という色恋の絵空事をかき、多くの人々の心を惑わせたからというものであり、これで地獄に落とされるならば、「現代の小説家や漫画家はすべて地獄行き」になってしまうような言いがかりに等しいものですが、当時は仏教の「妄語戒」にひっかかったので、地獄行きとされたようです。

そんな紫式部をあられに思った、彼女のファンがなにをしたかというと、小野篁の墓を暴いて、その墓を「紫式部の墓の隣に移動させてしまった」のです。

かなり強引な手段ですが、こうすることによって、篁によって地獄に落ちた紫式部を助けて貰おうとしたようです。墓を勝手に移動されたら、逆に怒りそうなものですが、一応、紫式部は篁によって地獄から救い出されたとされています。このパワフルな逸話は決して、伝説だけのものではなく、現在も京都に二人のお墓が並んで建っていますので、興味のある方は訪れてみてください。

 

【あの世とこの世を繋ぐ井戸】

京都といえば、小野篁が地獄にいくために使っていた「交通手段」も残っています。

あの世とこの世を繋いでいたのは「井戸」でした。

京都の東山に「六道珍皇寺」というお寺があり、ここの井戸を通ると地獄にいくことができたのだそうです。ちなみに、井戸は「一方通行」であり、行きは六道珍皇寺の井戸を使い、帰りは嵯峨野にある福生寺という、今は無くなってしまったお寺の井戸を使っていたそうです。

六道珍皇寺では、2012年に帰りの井戸が見つかったとして世間にPRしていましたが、同じお寺の中に行きと帰り双方の井戸があるというのは、ちょっとできすぎているような感じもありますので、本当に帰りの井戸かどうかは、不明といえるかもしれません。

基本的に井戸は公開されておらず、遠くから眺めることがしかできないのですが、たまに公開されて近くまでいくことも可能になるので興味のある人は訪れてみてください。

 

【霊の声を聞くためには井戸にいけ】

今では、井戸はあまり使われなくなりましたが、人間が生きていくために欠かせない要素である「水」を供給してくれるものとして、かつては「神聖なもの」であると考えられていました。そのために、井戸を適当に埋めると祟りがおきるとされたり、井戸の周りで悪事をするとそれが祟りを生むというような思想が広まっていたのです。

有名なホラー映画であり、日本だけでなく、アメリカや韓国でもリメイクされた『リング』では、井戸から霊が這い出てくるシーンがありますが、こういった霊との関わりも古くからイメージされていたようです。江戸時代に創られた「番町皿屋敷」という怪談では、殺された女性が無念をもって、井戸から出てきてお皿を数えるというシーンがあります。

このようなことから考えると、井戸というのは、まさに「あの世とこの世を繋ぐ通路」だったのかもしれません。

小野篁のような特別な人でなくとも、なにかあの世と交信したいときは、「井戸を使えばよりエネルギーが繋がりやすくなる」かもしれません。

ただし、そういった目的で井戸を使う場合は、くれぐれも「放置されたような井戸」でしないように気をつけてくださいね。「ふさがれた井戸や放置された井戸にはネガティブなエネルギーが溜まりやすい」とされていますので、なにか悪い物からのメッセージを受け取ることになるかもしれません。