一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.90 「白い沈黙」

本作も人間の邪悪な欲望の形や、両親の処世の仕方、娘の諦め、刑事の私的な過去など、描かれ方によって、監督の霊性が分かるようである。 そういう映画の楽しみ方を、トリニティWEBの読者は是非して欲しい。 作品によって、自らの霊性を確認、磨くことが大事だ。

誘拐された娘を8年間探す父親
歪んだ社会問題を突く秀作サスペンス!!

面白い。と思うと同時に人間の快楽について考えてしまった。
人の悲しむ姿を見て喜ぶ快感……。それを商売にする人間がいる。
おぞましいことだと思う。
最近「日月神示」についての中矢伸一さんの本を読んでいると、幽界(地獄界)の現象が現世に及ぼす影響が最近酷いので、神様が幽界の淘汰を始めている、とあった。そうなのか。この映画で描かれることも監督は取材を重ねているとのことなので、前述した快楽の追求もあることなのだ。たぶん、世の中にはもっとおぞましいことがあるのだろうけど、本作を観て正直驚いてしまった。
こういう世界があるんだ、と。本作はそれを巧妙に映像化して、サスペンス・ミステリーとして夢中にさせる。
観終わって一抹の強い不安が残るが、それはやがて霧散する。残るのは凍てついた雪景色の美しさと満足感だ。
久々に歯ごたえのあるサスペンスを観たという。
白い沈黙_サブ1

バラバラにされた時間軸で進む話
知的な快感を感じる展開にハマる

まず、最初から話がさっぱり見えない。時間軸をバッラバラにしているので、誰が誰でどうなっているのか?? とこちらは眼と頭全開で食い入るように観てしまう。次第にある慎ましくも幸せな家族の9歳の一人娘が誘拐され、その後の8年間を描いていることが解りだす。現在、過去と両親やその誘拐された娘がどのように生きてきたか、また事件を追う刑事たちの事情、そして誘拐犯の正体などが断片で描かれる。それが最後にパズルのピースが全て嵌るように全体像が完成されるのだが、「おおっ」である。すごい頭の体操。こういう知的な快感は大歓迎である。

さて、この誘拐事件。裏には児童ポルノ組織が絡んでいる。また、それは大企業が裏でやっているとなっていて、驚愕。しかも、その組織の会員向けメニューに、「娘の失踪で悲しむ母親の姿」という監視映像のコンテンツがあるというのには絶句。現在世の中は監視社会になっているが、監視映像をこんなことに使うなんて!! 世の中の悪事も来るとこまで来てるな、と暗澹。地獄界の影響怖るべしである。
驚きの連続だが、こういうことを知ることも大切なのだろう。

白い沈黙_サブ2

映画を観て自らの霊性を磨く

スピリチュアルな映画の楽しみ方をしよう!
映画は現代社会の暗い部分の問題を容赦なく取り上げているが、ラストには救いがある。娘を失った両親の心痛の8年間がこの家族にどう作用するのか?
それはすべて成長であって欲しいと思う。
何があっても、すべては良い方へ向かっているらしい。そのことを信じることができたら人生は何があっても大丈夫だと思う。
映画は様々な人々の人生を描いているが、悲劇がほとんどだ。
その悲劇もスピリチュアルなことを勉強することでいろんな角度から観ることが出来るようになった。
本作も人間の邪悪な欲望の形や、両親の処世の仕方、娘の諦め、刑事の私的な過去など、描かれ方によって、監督の霊性が分かるようである。
そういう映画の楽しみ方を、トリニティWEBの読者は是非して欲しい。
作品によって、自らの霊性を確認、磨くことが大事だ。

本作は優れたオリジナル脚本で、見事に現代社会を切り取った秀作サスペンスである。同時に世の中の歪みを提示している点が特筆だ。

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■監督・脚本・製作 アトム・エゴヤン
■脚本 デヴィッド・フレイザー
■出演 ライアン・レイノルズ スコット・スピードマン ロザリオ・ドーソン
ミレイユ・イーノス ケヴィン・デュランド アレクシス・ファスト
■112分

『白い沈黙』
10月16日(金)より、
大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OSほかにて全国ロードショー!
(c)Queen of the Night Films Inc.

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