一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.93 「ILOVEスヌーピー THE PEANUTS MOVIE」

シュルツが描く普遍的なおとぎ話 誰もが大好き! チャーリーとスヌーピー

シュルツが描く普遍的なおとぎ話
誰もが大好き! チャーリーとスヌーピー

「ピーナッツ」と言えばライナスの毛布が浮かぶ。ずっと毛布を手放さない男の子。私の姪が19歳の今もボロボロになった毛布を手放さないでいる。

そういえば、少女の頃読んだ漫画にも毛布を手放さないキャラクターはよく出てきてたな。私はライナスの毛布からスヌーピーを知ったのだ。しかし、スヌーピーの漫画は読んだこともなく、ただスヌーピーのキャラが好きで、布のバックを高校の時持っていたのも、当時流行っていたからだ。
「ピーナッツ」の漫画を初めてちゃんと読んだのは10年ほど前だったか。谷川俊太郎さんが翻訳をしていることもその時知った。きっかけは、その漫画を貫く哲学を凄く褒めている記事を読んで興味を持ったのだ。一度ちゃんと読んでみようかと。

そして読んだ漫画は不思議なゆったりしたテンポで描かれ、普遍的なセリフがぽこっぽこっと呟かれていた。正直そんな面白くなかったが、これは人気があるのは分かると思った。だって、キャラが立ちまくってたし、古き良きアメリカのスピリットが漂っていたから。だから、きっと今回の映画も感動させてくれるだろうと、楽しみに観に行った。

軽量PEANUTS_サブ1

 

アクションあり、笑いあり、涙あり
極上のエンターテインメントの仕上がり!!

で、観て驚いた。ものすごいアクション巨編(!?) なのだ(笑)。

もちろん、アクションだけじゃなくて、感動も! ラストは思いがけず涙を溢れさせる展開で、ぶあっときて、ボロボロ泣いてしまった。

さてお話はお人よしで楽天家。ものすごい不器用な少年チャーリー・ブラウンと彼の飼い犬で親友のスヌーピーの冒険を描くというもの。
アクション部分は空想好きのスヌーピーが、パイロットになって空の旅に出かける。そこで宿敵レッド・バロンを倒すミッションを負いつつ、パリジェンヌのフィフィとの恋も燃え盛る。いやーっこの部分は宮崎駿の映画かと思うくらい空の激戦がド迫力で描かれててびっくり!!
そしてチャーリーは転校生の赤毛の女の子に一目ぼれ。彼女に声をかけようとするんだけど、どうしてもそれが出来ない。そんなチャーリーを見て、なんでも出来る犬、スヌーは大応援して背中を押しまくるのだが……。

これ観てて、あれっチャーリーとスヌーの関係って「ウォレスとグルミット」みたいだな、と思い当たった。まあ、「ウォレス~」の方が参考にしてるんだろうけど、なんかテイスト似てるんだよね。ぼーっとしてドジな主人と、賢くてなんでも出来る飼い犬って関係。ま、それは置いといて。

全編とにかくスピーディで展開速くて、3Dだし映像も綺麗で声優の子供たち(吹き替え版で鑑賞)の演技も素晴らしくて、ラストは泣けるし、ラストクレジットでかかる絢香の歌声も感動的に美しくて、もう絶品出色の仕上がりとなっている。

 

きっと君の頑張りは誰かが見てる
そう、神様は絶対見てくれているよ

ラストは、不器用ながらもものすごく自分なりに頑張っているチャーリーの姿を、ちゃんと赤毛の女の子が見てたってとこが泣けるのだ。たとえ誰も見てない、理解されない、と思っていても自分なりにこつこつ頑張れば、愚直に続けたらかならず誰かが見ててくれるんだ、って教えてくれる。
それはもしかしたら、本当に誰も見てくれてないかもしれない。だけど、絶対見てくれてる人がいる。
それは、神様だ。
神様はいつもその人の善行や悪行を見ている。そしてご褒美や導きを示してくれていると思う。それに気づくか気づかないか、だけだ。

PEANUTS_サブ2 (1)

12人の主要キャラが画面狭しと大活躍。声優は子供だけ。
愛すべきキャラのチャーリー・ブラウン。そして愛すべきその友人たち。なんて楽しい、なんて幸せ。なんて素敵な世界!
チャールズ・M・シュルツの描いた世界はたぶん、天国の様子だったのではないかしら?
そんなことを思わせる、素晴らしく心躍るアニメだった。

■監督 スティーブ・マーティノ
■原作 チャールズ・M・シュルツ
■脚本 クレイグ・シュルツ ブライアン・シュルツ コーネリアス・ウリアーノ
■声の出演 鈴木福 芦田愛菜 小林星蘭 谷花音

■12月4日(金)~全国ロードショー

 

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