一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.155 「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

人気スケート選手の転落人生を
衝撃的に深遠に描く秀作実話!

見終わって、つくづく日ごろの行いは大切だなと感じた。
自分がしたことや、出した波動は全て自分に返ってくるのだ。

同じ頃、浅見帆帆子さんの「あなたは絶対! 運がいい」を読んでいた。
「日ごろから元気で機嫌よく明るく楽しくテンション高く過ごしていると全てが面白いように上手くいく」という教えは腑に落ちて、自身の日ごろの態度を改めてみた(最近、ちょっと嫌な女になっていたもので……)。
すると、イライラすることもなく、快適な日々が訪れたのだ。
なんだ、そういうことか。
と、宇宙のしくみが分かった気がした。

今まで山ほどのスピリチュアル本や自己啓発本を読んできたのに、やっと、ここに来て分かったという。

情けない……? いや、同じようなことはどの本にも書いていたし、私も実践はしていたのだが。
いや、一部しか実践してなかったと思う。
また、忘れていたと思う。
そんな時に観た本作。
トーニャ自身は犯罪には直接関わってないのだが、回りの人間の勝手な行動で犯人にされ、逮捕。
転落人生を歩むことになる。
唖然、なのだけど、これ全てトーニャ自身に問題があったのだと思い当たった。

 

見ごたえのある悲劇のてんこ盛り
悪い方へと転がっていく醍醐味

1994年にアイス・スケート界で起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」は私もうっすらと記憶がある。
ナンシーのライバルであるトーニャ・ハーディングの元夫が起こした事件だったが、トーニャも関与を疑われリレハンメルオリンピックへの出場権を剥奪されそうになる。
しかし、出場し結果は8位と振るわずその後裁判で二度とスケートができないという判決が下される。

本作は、関係者へのインタビューを元に事件の真相を明らかにしているのだが、そういうことなの! と驚きの展開なのだ。
この事件の実行犯に関しては、頭おかしいのか?? という勘違い言動で、トーニャが哀れになる。
まさに悲劇のヒロインだ。
また、トーニャの半生も凄まじいもので、貧困からの脱出のために暴力と支配でスケート人生を送らせた母親。
若くして結婚した夫も彼女に暴力を振るい続け、彼女はいつも愛に飢えていた。
そんな中でもアメリカ選手初のトリプルアクセルを成功させるトーニャ。
上手く行きそうになると問題が起きて、成功への階段を上りきることができない波乱の人生はヤキモキさせられるが、見ごたえがある。

 

彼女の人生は彼女の行いや思いが作った
出したものは自分に返ってくる真理

結局、鬼母も、暴力夫や、そのアホな友だちも、すべてはトーニャに引き寄せられたわけで、彼女自身の行いや思いなんかがその人生を形作ったわけである。
彼女はいつも不満と不安と嫉妬と寂しさでいっぱいだった。
そういう視点で見れば、トーニャの人生もこうなるしかなかったかも? と思われる。
でも、こんな波乱の人生も、それはそれで楽しいものではないのか?
終わって見ればそう思うのではないだろうか?
現に、現在のトーニャは三番目の夫との間にできた長男への母親業に忙しく、幸せそうである。

結論として、全ては自分次第。
トーニャの上手くいかなかった半生は全て彼女のせいなのだ。
また、彼女が望んだものなのだ。
私は本作で、自分の人生は全て自分でチョイスして作っていくものだ。
と分かりきったことを、忘れるな! と怒鳴られたような気がした。

深遠な真理を、衝撃的な内容と展開で魅せきった秀作。
しかし、真理に気づくのは、求める人のみだろう。

監督 クレイグ・ギレスピー
脚本 スティーヴン・ロジャース
出演 マーゴット・ロビー セバスチャン・スタン アリソン・ジャネイ ジュリアンヌ・ニコルソン
ポール・ウォルター・ハウザー マッケナ・グレイス ボビー・カナヴェイル

配給:ショウゲート
※120分

※5月4日(金・祝)TOHO シネマズ 梅田他 全国ロードショー
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