一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.147「5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~」

「幸せになる道はない。道が幸せなのだ」 「近くに行くなら一人で。遠くに行くなら仲間と一緒がいい」

盲目を隠してホテルマンに!
仰天の実話を素敵なエンタメ作に昇華‼︎

信じられない映画だった。
5パーセントの視力しかない青年が、一流ホテルで勤めた。

15年間も‼︎ 見えないことを秘密にして! サリヤ・カハヴァッテというドイツ人の実話という。
そんなこと可能なのだ。
可能にしたのは彼の力だけじゃない。
周りの力や愛や助けがあってのことだ。

映画は素晴らしい出来で、見終わって皆幸せな表情で口々に感想を言い、笑顔で試写室を後にしていた。
私もそうだ。

感想を誰かに言いたい。
この気持ちを共有したい。
そんな衝動で感想を口にしていた。
力づけられ、勇気づけられた。

ドイツ人の母とスリランカ人の父を持つサリーは病気で視力を失いほぼ盲目に。
手術で残ったのはたった5パーセントの視力だけ。

そんなサリーには一流のホテルマンになるという夢があった。
しかし、どこのホテルも盲目では雇ってくれない。
サリーは盲目であることを隠して、ミュンヘンの一流ホテルの研修生として勤めるチャンスを得る。
しかし、障碍を隠して本採用試験にたどり着くまでサリーを数々の苦難が襲う!

 

サリーの奮闘にハラハラしっぱなし
課題ごとにヒヤヒヤ、クリアすると大拍手!

ドイツのホテルの研修が、ホテル業務の全てをさせられるのには驚いた。
ベッドメイキング、テーブルセッティング、バー業務、厨房、レストラン接客、フロント接客……この全てをサリーはほぼ盲目でこなしていくのだ‼︎
もちろん友人の協力やシェフの助けがあってのことだが、本人の強固な意志と努力は並大抵ではない。

厨房でハムをスライサーで切れと言われて、カッターの位置が分からず、自分の指を切って大出血してしまったり、カクテル作りの過程が難しすぎて何度も失敗したり、もう観ていてハラハラしっぱなし。
いつばれるか、どんな失敗をしてしまうか目が離せない。
しかしサリーは次々難関を突破していく。
その度にこちらは「おおーっ!」と心の中で大拍手!
でも、ついにサリーは窮地に立たされてしまう。

さらに驚いたのは、あれだけひどい失敗をしたサリーに支配人が採用試験を受けさせたことだ。
外国でいつも感心させられるのは、何か事件を起こした人でも、業績は業績で讃えること。
日本は、そうじゃないように思う。
一度失敗したら葬り去られる傾向が強いと思う。

 

差別や移民問題、携帯電話の影響
ドイツの社会状況もしっかり描きこむ

サリーはスリランカ人とのハーフなので、人種差別されたり、アフガニスタンからの移民の現状をさらりと盛り込んであったり、サリーが恋する女性がシングルマザーだったり、社会状況をしっかり描きこんでいる点も見応えがある。

また、子どもが多数遊ぶ公園でサリーが携帯電話を使っていると子どもの母親が「公園で携帯は禁止されている」と注意する点も注目だ。

ヨーロッパは携帯の規制が厳しい。
16歳以下は携帯禁止の国もいくつかある。

全然規制がなく、子どものみならず、赤ちゃんでも携帯に触らせている日本とは大違いだ。
電磁波の影響を皆、知らなさ過ぎる(隠されているということもあるが)。
こういう描写を映画でも観たのも初めてだった。

 

私たちは神の子なのだから不可能はない
奇跡は自分の中に眠っている‼︎

さて、私は観ながら何度も胸が熱くなった。
障碍者に教えられることは多い。
目が見えなくてもホテルマンになれるのだ‼︎
目が見えないことがホテルマンになるための障害にはならないのだ。
人間の未知の可能性に打ちのめされる。
私たちは「完璧」なのだ。

何も不可能なことはない。
だって私たちは「神の子」なのだから、と改めて思わされた。
サリーのがんばりに始終ウキウキワクワクさせられた。

現在サリヤは仏教徒として修行を積み、アーユルヴェーダ料理に情熱を注いでいるそうだ。

映画の冒頭とラストにブッダの言葉が引用されている。
「幸せになる道はない。道が幸せなのだ」
「近くに行くなら一人で。遠くに行くなら仲間と一緒がいい」

本作はこの言葉を映像化した作品と言っても過言ではない。

 

監督 マルク・ローテムント
脚本 オリヴァー・ツィーゲンバルク ルース・トーマ
原作 サリヤ・カハヴァッテ
出演 コスティア・ウルマン ヤコブ・マッチェンツ アンナ・マリア・ミューエ
ヨハン・フォン・ビューロー ニラム・ファルーク アレクサンダー・ヘルト

※111分
配給:キノフィルムズ
※2018年1月13日(土)、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマほか全国ロードショー
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