一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.139「ドリーム」

女なんだから。おしゃれも必須です。

すべての女性必見! 黒人女性数学者の
知られざるサクセス・ストーリー

観終わって、こんなすごい女性たちがいたのか! と心底驚いた。

知らなかった! 知れて良かった! そしてものすごいガッツを頂きました!
ありがとう! の気持ちで一杯になった。
アメリカ初の有人宇宙飛行計画に貢献した黒人女性数学者たちの
知られざる偉業を描く本作。宇宙飛行に数学、必要なんですね(笑)。
と、改めて裏方の力と苦労を見せ付けられてもろもろ納得。
また、世の中、やっぱ勇気と根回しだよね! と再確認させられた。
女性は元気づけられること必至の快作である。

1961年のヴァージニア州ハンプトンNASAラングレー研究所。
飛び級して大学に進学するような、数学の天才という黒人女性三人は計算手として働いていた。
ドロシーは管理職を目指しているが、黒人ということでなれる希望は皆無。
メアリーはエンジニアを目指しているが、これも黒人ということで専門の学校に入学することもできない状態だ。
まだまだ人種差別が色濃く残る時代。
主人公のキャサリンは幼い頃から数学の天才少女と言われてきた。
その高い計算力から黒人女性として初めて宇宙特別研究本部に配属される。
しかし、そこは差別と偏見に満ちた男ばかりの職場だった……。

 

トイレに行くのに40分!
差別と偏見の中で奮闘するキャサリンの強さ

当時アメリカはソ連と宇宙開発競争を繰り広げていた時代で、1962年ついにジョン・グレンの有人飛行に成功する。
それはキャサリンの力なくしてはあり得なかったことなのだ。

男ばかりの職場でキャサリンがまず受ける受難はトイレだ。
彼女は800メートル先の有色人種専用トイレまで用を足しに行かなくてはならない。
そこのトイレしか使えないからだ。毎度40分かけて。
そして、コーヒーのポットも別にされる。

とにかくキャサリンの一挙手一投足を職場の男たちが侮蔑と好奇という冷たい目で追っているのだ。
怖ろしい職場だ。

しかも、計算の上司はいちいち意地悪でキャサリンをバカにしている。
しかし彼女はへこたれない。
黙々と計算をし、軌道を明らかにしていく。
トイレの一件では爆発して部長にどなったり(このシーンはスカッとします)するけど、キャサリンの数学の実力は部長以下皆が認めるところとなる。
ドロシーも、メアリーも、自分の夢のために着々と根回しと勉強をし、夢を叶えていく。

 

なにがあっても自分の仕事をする
彼女たちの姿勢は私たちのお手本!

強いなあ。感心するほど強い。女は強い。
まったくこのタフさは見習うべきものである。
何をされても失わない明るさも大事な点だ。
三人の行動力と賢さには胸のすく思いがした。
NASAの女性黒人数学者、そんなすごい女性たちがいたなんて……同じ女性としてすごく嬉しいことだ。
彼女たちが酷い目に遭って変えていってくれたもの。
それは今の私たちが歩いている道なのだ。
彼女たちが均してくれた道はまだデコボコしている。
それをまた、私たちが均していく、の繰り返しなのだ。
道はまだ遠い。
これからも永遠と続くのだ。

なにがあってもへこたれず前を向いて顔を上げて進んでいきたい。
いや、へこたれてくやし涙を流しながらも一センチずつでもいいから前に進めたらいい。
それで良しとしよう。
彼女たちのスマートさを思い出しながら進んでいこう。
そんな気持ちにさせられた。

 

おしゃれなクラシカル衣装も楽しい
女はどんな時も綺麗じゃなきゃね!

クライマックスのジョン・グレンの飛行シーンはドキドキハラハラ息を止めて見守っていた。
キャサリンやアメリカ国民同様に。

また、三人が着こなすクラシカルな衣装も特筆もの。
7センチはあるヒールにカラフルなワンピースやツーピース。
今よりずっとお洒落な服の数々に見とれた。
ガチガチの数学オタクじゃなくておしゃれな点も見習うべしである。
女なんだから。おしゃれも必須です。

すべての女性必見の作である。

 

監督・脚本 セオドア・メルフィ
脚本 アリソン・シュローダー
原作 マーゴット・リー・シェタリー
出演 タラジ・P・ヘンソン オクタヴィア・スペンサー ジャネール・モネイ
ケビン・コスナー キルスティン・ダンスト ジム・パーソンズ マハーシャラ・アリ

※127分
© 2016 Twentieth Century Fox Film Corporation

※9月29日(金) TOHOシネマズ梅田 他、全国ロードショー

 

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