一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.137「ダンケルク」

ダンケルクから救出されて、さて、私は……?

リアルな戦場のリアルな人間たちを活写
これが戦場だ! 怖ろしい傑作!

1940年5月。

イギリス海外派遣軍は、フランス、ベルギー、カナダの部隊とともにフランス北端ダンケルクの海岸にドイツ軍によって追い詰められる。
故郷までわずか42キロメートルなのに、遠浅のため救出の大型船は海岸に近づけず、またドイツ軍の襲撃によってやっとのことで乗船しても何度も撃沈させられるという状態。
海岸に取り残された40万人もの兵士を助けようと、民間の小型船がイギリスを出て救出へと向かう。
英空軍も迎撃のために出撃するが……。

これは実話だそう。
この逃げ場なしの状況から脱出しようとする若い兵士たち、出撃するパイロット、兵士たちを助けようとする民間船の船長。
映画は陸、海、空という三つの視点から描かれる。

 

私はダンケルクの海岸に居た!
兵士たち同様逃げ、生きようとした!

本作は、大阪エキスポシティのIMAX次世代レーザー完備の劇場で観た。
高さ18メートル、幅26メートルという巨大スクリーン、4Kツインレーザープロジェクター、12ch次世代サウンドシステムという素晴らしい環境だ。
そこで繰り広げられる戦場……。
音が凄い……。

目の前どころか、私はダンケルクの海岸に居た。
一緒になって死に物狂いの脱出を兵士たちとともに体感した。

私はそこに、いた! と思えるほどの臨場感、緊迫感、悲壮、歓喜に満ちた映像体験だった。
もう途中で「やめてぇー‼︎」と耳を押さえてうずくまりそうになった。
実際は足をバタバタさせるだけだったけど。

 

愚かしい戦争を体感したら
聖なる、内なる声に目覚めよ!

怖ろしい映画である。
CGは使ってないと言う。
なのに、この超リアリズム。
観たものは全員ダンケルクに招集される。
そしてこの生き地獄を味わわされるのだ。
私は息も絶え絶えに観ながら、一つのことをずっと考えていた。
「なんて戦争は愚かしいのか」。
愚かしいことを人間は繰り返してきた。
そして人が大勢死んできた。
人間は学ばない。
まだ学ばないのだ。
争いを起こさせようとする強大な邪悪な力がある。
それを最近になってやっと収めようとする聖なる力がある。
今、その二つの力のせめぎ合いの時代に入っているという。

本作を観て、戦争の愚かしさを体感して内なる声に目覚める人々が少なくないことを祈る。

 

一般市民も闘っているのだ
彼らの差し伸べる手に涙腺決壊‼︎

犬死にしていく若き兵士たち。
彼らは「絶対に生き抜いて故郷に帰る」という想いだけ。
そしてそんな彼らを助けにくる英国の民間船の人々。
戦場のリアルさにすでに泣きそうになっているところに、一般市民の救助の手は涙腺決壊! 泣くしかなかった。

ぐったりとして劇場を後に、いや、ダンケルクの海岸から私は救出された。
これは、映画だけど、実際の戦場はもっと人間くさいものだと思う。

ダンケルクから救出されて、さて、私は……?
少しでも、発信していきたいと思う。

「戦争の愚かしさ」を。

できたらIMAXでの鑑賞をお薦めします。

 

監督・脚本 クリストファー・ノーラン
出演 フィオン・ホワイトヘッド トム・グリン=カーニー ジャック・ロウデン
ハリー・スタイルズ アナイリン・バーナード ジェイムズ・ダーシー ケネス・ブラナー
マーク・ライランス トム・ハーディー キリアン・マーフィー

※106分

※9月9日(土)大阪ステーションシティシネマ他 全国ロードショー
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