一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.128 「ひるなかの流星」

原作は人気少女漫画。 最近ほんと多いよね。 しかし、酷いのはとことん酷くて、秀作はとことん出来が好い。 玉石混淆状態。 本作はもちろん後者。

ピュアなヒロインの流す美しい涙
魂も喜ぶハラハラ三角関係恋物語!

最近日本の俳優が汚い泣き方をするようになった。

韓国映画の影響かしらんが、平気で鼻水を流れるままにしていて泣き叫んだりしている。
女優も鼻水垂れ流しである。

先日亡くなった鈴木清順監督が「女優は泣いたらダメなの。
顔が崩れて醜くなるからね」と言っていたのを思い出す。
ということは綺麗に泣けるってことは至難の業ってことだろう。

韓国映画の鼻水はいただけないが、韓国の俳優の流す涙ほど綺麗な涙は観たことが無かったことも事実だ。
しかし、本作を観ながら「久々に綺麗な涙を流す日本の女優発見‼︎」と嬉しくなってしまった。

主人公を演じる永野芽郁。彼女が大きな瞳からまっすぐしとどに涙を流す時、「ミラーニューロン効果」(泣いている人を見て自分が悲しく泣いていると脳が勘違いして泣いてしまう。もらい泣きもそうですね)で私もぼとぼと泣いてしまった。
何度もだ。

話は高校生の恋物語なのだが、こんな泣いてしまったのは、すべて彼女の涙のせいだと思う。
永野芽郁、そのうち朝ドラヒロインに選ばれること間違いない逸材である。
彼女の透明感溢れるピュアな魅力全開の青春映画だ。

 

女は本来尊敬できる男を選ぶはずなんだ
けど……サスペンスフルな選択!

原作は人気少女漫画。
最近ほんと多いよね。
しかし、酷いのはとことん酷くて、秀作はとことん出来が好い。
玉石混淆状態。
本作はもちろん後者。

なんてったって、ヒロインがど田舎出身というのが良い。
それが都会に出てきて初めての恋をしてどんどん綺麗になっていく。
シンデレラストーリー部分が入ってるのが好いのだ。

ヒロインの少女は田舎もんなので、大人で余裕の担任の先生に恋しちゃう。
で、先生もまんざらではなさそうで、簡単に両思いか?
と思っていたら同級生の男の子も彼女のことを好きになって……と三角関係に!
さてヒロインがどちらを選ぶか? なんだけど、この同級生の男子が、ものすごく善い子なのだ。

断られてもくじけずヒロインを見守り、常に彼女の背中を押す。
そして、ヒロインもちゃんと自分のことを好いてくれる男子に向き合う。
でも、心は先生にまだ囚われる、揺れる揺れる。

私は「あ~男子、かわいそうだなぁ~」とハラハラしながら、ふと夏目漱石の「三四郎」を思い出していた。
あれは、ヒロインの美禰子が、三四郎に惹かれながら結局年上の先生だったかな? と結婚する話だ。

これは、女というものは、結局気の合う友だちのような人より、尊敬できて自分を高めてくれる年上の指導者を選ぶものだ。
というテーマが込められているそうなのだが(と、高校生のとき習いました)、明治の話やからなあ?

本質的にはそうなのかもしらんが、現代のヒロインはどうすんのやろか?
最後までどちらを選ぶかなかなかサスペンスフル(笑)な展開でヤキモキ。
優れた恋愛映画はサスペンスでなくちゃね。

 

人間、いつまでも青臭いことは大切!
私たちの魂は本来青臭いのだから!

さて、高校を卒業して何十年もたってしまい、恋することからもすでにリタイア気味の日々だけど、こういう優れた青春映画はすぐに物語に入れてヒロインの気持ちになってしまう青臭いままの私です。

でも、「映画」って媒体自体が「青臭い」のだから仕方ない。
また、いつまでも魂は「青臭い」ままなのだしね。
こういうピュアな映画やヒロインを観ることで、私たちの魂はピュアなのだということを折に触れ思い出すことが大切なのだ。

水に浸った~っ、潤った~。
観終わってそんな気持ちにさせられた一作です。

 

監督 新城毅彦
原作 やまもり美香
脚本 安達奈緒子
出演 永野芽郁 三浦翔平 白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS from EXILE TRIBE) 山本舞香 小野寺晃良 室井響 小山
莉奈 西田尚美 佐藤隆太
119分

※2017年3月24日(金)全国公開
©2017 フジテレビジョン 東宝 集英社 ©やまもり三香/集英社

 

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