一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.124「素晴らしきかな、人生」

「愛」と「時間」と「死」を演じる3人は何者だったのか?

見えないものに見守られている
天からの愛を感じる壮大な感動作‼︎

天使は私たちの生活の中にごく自然にまぎれていて、それは普通の人間と変わらない。
たとえば、いつもニコニコしている近所のおじさんだったり、ホームレスの老人だったり、障害を持つ寝たきりの少女だったりする。

彼らは何をするわけでもないのだが、確実に私たちに気づきや愛を与えてくれている。
彼らの存在を感じることで、私たちは元気になったり、豊かな気持ちにさせられたり、なぐさめられたりする。

大手広告代理店の敏腕経営者の男は成功を収めて人生のピークを迎えていた。

しかし、3年後、彼は廃人のようになっていた。
最愛の6歳の娘を亡くし、仕事も家庭も自分自身も放り出してただ悲しみに沈む日々。

そんな彼を見かねた同僚で友人の3人は、彼が以前から口にしていた「愛、時間、死」という言葉を売れない舞台俳優3人に体現させて、彼を救おうとするのだが……。

 

ラストのサプライズにはただ涙涙……
巧みな脚本に浸る快感を味わえる

愛、時間、死というのは同僚3人の私生活の問題でもあり、映画は主人公の男の再生だけではなく3人の悩みも解決していく。
ここらあたりの展開は鮮やか! 脚本が腑に落ちる、スムーズに行ってほしいところに行ってくれるという快感を味わえる。

その同僚の問題をちゃんと主人公は知っていた、というところで思わず、涙。
同僚が何を言っても耳を貸さなかった彼だけにぐっときてしまった。

そして、ラスト……。
そうか、そういうことか……! と、私はただ滂沱の涙だった。

本作はとてもスピリチュアルな作品だ。
巧みな伏線を持つ脚本と、繊細なテーマはハリウッド映画には珍しい。
こういう作品が大手映画会社で作られるということ自体、地球が次元上昇しているな、扉が開いたな、と改めて感じる。

「愛」と「時間」と「死」を演じる3人は何者だったのか?

それは、映画を観たそれぞれが感じることだけど、壮大なラストだと私は思う。

 

不幸は幸せの前兆 だから大丈夫
安心して生きていきなさい

見えないものに私たちは見守られている。
いついかなる時も愛され見守られている。
そのことを教えてくれる素晴らしい作品だった。

悲しみに沈むウィル・スミス。
「幸せのちから」以来の沈んだ演技だが、暗い演技も上手なのだ。
繊細な心を感じた。
クリスマスシーズンのニューヨークの景色や風物も見もの。

あと、原題が「コラテラル・ビューティー」というのだが、意味が、不幸な出来事に付随して思いがけず生まれる素晴らしいこと、らしい。
劇中でその素晴らしいことを語るシーンがある。

不幸は幸せの前兆。
だから、大丈夫。
安心して生きていきなさい。
そう、背中を押された気がした。

 

監督 デヴィッド・フランケル
脚本 アラン・ローブ
出演 ウィル・スミス エドワード・ノートン ケイト・ウィンスレット
マイケル・ペーニャ ヘレン・ミレン ナオミ・ハリス キーラ・ナイトレイ
ジェイコブ・ラティモア
97分

※2月25日(土)より大阪ステーションシティシネマ他、全国ロードショー
©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,
VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC
配給:ワーナー・ブラザース映画

 

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