一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.109「栄光のランナー 1936ベルリン」

今現実に起こっていることと重なる部分が多い、タイムリーな作品である。それだけにとても意味のある映画だと思う。
一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.109「栄光のランナー 1936ベルリン」

ヒトラーの五輪で大活躍の黒人選手
今、タイムリーな必見感動佳作!!

最近世の中がとても不穏だ。
世界が一大変革へ向かって動き出していると感じる。

すでに頻繁なテロや悲劇的な事件が相次いで起こっている。EUからの英国の離脱や、「ポケモンGO」の広がりなど、裏に恐るべし陰謀が潜んでいて正直、日本は大丈夫か?! とものすごく心配だ。しかし、心配や不安は一番抱える感情としては良くないので、平静でいようと思うのだが、なかなか……という日々だ。

Tournage RACE

 

さて、そんな中ブラジルでのオリンピックが開幕する。楽しみだ。
で、本作は1936年のベルリンオリンピックで4つの金メダルを獲得したジェシー・オーエンスという黒人陸上選手の実話である。
1936年のオリンピックと言えばヒトラーのオリンピックである。レニ・リーフェンシュタールの撮った素晴らしい記録映画「民族の祭典」は傑作だったが、現地はけっこう荒れてたようだ。実際、私はジェシーのことはまったく知らず、よくこの時代に黒人で出場できたな~と興味深く見せてもらった。

ヒトラーはユダヤ人を差別、迫害したが、もちろん、黒人も認めていない。そんな大会でゲッペルス宣伝相の卑劣で意地の悪い言動。それをはねのけ映像を撮るレニ。金メダルを次々獲っていくジェシーや選手たち。映画はジェシーの葛藤と大会での活躍、そしてアメリカに帰国してからも黒人として差別される、という辛口の展開で静かに感動させてくれる佳作の出来だ。

Tournage RACE

 

ジェシーの走りに興奮!!
思わず拍手しそうになった爽快さ!

正直、オリンピック出場を一度断念するあたりは「煮えきらんな」とヤキモキしたが、大会での大活躍では、試写室にも関わらずゴールした時には思わず拍手しそうになったくらい興奮してしまった。それくらい、超人的に記録を出し続ける選手なんである。彼の走りは見ているだけで気持ちが清々した。しかし、それだけ興奮したのも、彼が逡巡を何度も繰り返したから、より一層心を動かされたのだと思う。とても人間的な部分を丁寧に描く演出に魅入ってしまった。

Tournage RACE

 

人は自らの人生を選んで生まれてくる
ジェシーの選択に霊格の高さを見る

この、ジェシーという男。多難な人生を自ら選んで生まれてきたのだな、と改めて思う。アメリカで続いて起こった黒人差別の酷い事件やデモの数々。人種差別は永遠に終わることがない。黒人というだけで、射殺されるアメリカという国。私も日本人というだけで、イギリスでは「ジャップ」と呼ばれ、フランスではカフェでオーダーを取ってもらえず、アメリカではスーパーのレジで買ってない商品の金額を打ち込まれ、香港では、レストランの列に私たちが並んでるのに店主は私たちを無視して白人を店に通した。でも、射殺は今のところされていない。しかし、差別は世界中であるのだ。私たち日本人も白人からしたら、劣る生き物なんだろう。人間と思われてないかもしれない。

Tournage RACE

 

だから、こういう映画を観ると本当に暗澹たる気持ちになりもし、元気ももらえる。本作のラストはキツイものではあるが、ちゃんと気分は上げてくれる。

人は自らの人種や国や性別、境遇、親、死に方などを自分で選んで生まれてきている。ジェシーもそうだ。
過酷な人生を選んで耐えられる霊格の高さを感じさせる。
しかし、霊格の高い魂はジェシーのような偉業をなしとげた人ばかりではないことも覚えておかなくてはならない。

今現実に起こっていることと重なる部分が多い、タイムリーな作品である。それだけにとても意味のある映画だと思う。

Tournage RACE

 

■監督 スティーヴン・ホプキンス
■脚本 ジョー・シュラップネル アナ・ウォーターハウス
■出演 ステファン・ジェイムス ジェイソン・サダイキス ジェレミー・アイアンズ ウィリアム・ハート カリス・ファン・ハウテン シャニース・バンタン
■134分

8月11日(木・祝)
大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ なんば

8月20日(土) シネ・リーブル神戸 にて公開
© 2016 Trinity Race GmbH / Jesse Race Productions Quebec Inc. All Rights Reserved.
【配給】 東北新社 Preseted by スターチャンネル公式

 

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