モノを浄めて食材にする神聖な儀式庖丁式とは?

現在の神社ではお供えをしているわけですが、かつて、日本には「神様とされていた人物が存在していました」。それは「天皇」。現在では日本の象徴的な存在とされていますが、それまでは天皇は神と同等の存在、すなわち「現人神(あらひとがみ)」であったのです。

平安時代頃に誕生した庖丁式は、約800年後の西暦1600年代に全盛期を迎え、多くの流派が誕生し、さまざまな技法が成立していますが、そこを最盛期として、どんどんと衰退の一途をたどります。

明治時代にはほとんどの流派が失われてしまったものの、「四條流」などの一部の流派は、現在まで存在しており、今でも神社での奉納儀式として庖丁式が伝えられています。

 

【今でも見ることのできる庖丁式】

庖丁式の創始者ともいわれている「磐鹿六雁命」は、千葉県南房総市にある「高家神社(たかべじんじゃ)」で、現在は「料理の神様」として祀られています。

庖丁式と縁が深いこと、また料理の神様であることもあり、10月17日に行われる「秋の例大祭」と、11月23日に行われる「新穀感謝祭」では、庖丁式が奉納されます。烏帽子と直垂という平安時代の装束に身を包んだ庖丁人によって行われるこの儀式は、「古来からの作法を現在までに伝えた非常に貴重なもの」ですので、興味がある方は高家神社を訪れてみることをオススメします。

食文化が多様化し、様々な食材がある現代日本では、庖丁式のような作法をすべての人が行うということはさすがに難しいものがありますが、日本古来の文化であり、世界でも珍しいぐらい、食を神聖なものとして扱っている庖丁式。今後ともしっかりと守り継がれていって欲しいものです。

包丁

 

Sacred ritual cooking.
Traditional Japanese cuisine ritual “houtyoushiki”.