火九子の作成した契約書の文面の中でピリオドが一つ足りないという理由から取り合わないと言ってきたのだ。
上司も何度と交渉し、火九子も相当頑張って食い下がらなかったが、結局、こちら側の意見は通らず、アメニティグッズの代金は支払われないとういう理不尽な結果となってしまった。
嘘みたいな本当の話しだった。これにより会社は大変な損害を被ってしまい、そのことが原因となり、火九子は内勤事務へ移動命令が下された。
結局、今までの努力が全部水の泡となってしまったのだ。
火九子の行く内勤事務はおそらく郊外にあるシステム管理を一任するビルのコンピュータールームで、そこで一日中、入力作業に追われ、パソコンとにらめっこの日々が始まるのだ。いつも明るく太陽のように輝いていた火九子の瞳から涙がこぼれ落ちた。
これまでにこんなに悲しい火九子の顔を見たことがなかった。
火九子には10年来の交際をしている彼氏がいたが、2年前、仕事がのりにのっていた彼女のもとから彼は去って行った。
その後、彼は別の女性と結婚し、その時、初めて本当の終わりを感じた「私には仕事がある! なにがなんでもこの企画を成功させる!」と気持ちを切り替え、この2年間そのためだけに頑張ってきたのだ。
私 「もうこんな時間だわ。まだ少し眠れる。布団ひこうか。」
火九子 「ん~。」
夜通し話していた。あと数時間で朝がやってくる。
そして、またおきまりの通勤ラッシュだ。
火九子の顔は悲しみをおびたまま沈黙の時間が続いた。
火九子 「うわ~! きれい!!」
私 「本当だ!ベランダに出て見ようよ!」
太陽がキラキラと少しずつ顔を出していた。
私たちはしばらくベランダで黙ったまま朝日を見続けた。
火九子 「離火子、私、会社辞めるよ。今、決心できた。」
私 「うん。」
火九子の頬にはうっすらと涙が流れ、涙は太陽の光を浴び、キラキラと光っていた。
火九子 「決めた! 私アメリカの大学に留学する。アメリカンスピリッツを身につけるわ」
私 「うん。朝ごはん何がいい? 特製オムレツでも作るよ。」
私たちは微笑んだ。
火九子 「Don’t Back Down!(あきらめない)」
火九子、あなたは光輝く太陽の女神。あなたはこれまでも、そしてこれからも私の憧れ🌞
火の女神ブリジットが微笑んでいた。
~ Fin ~ フィクション☨