ゲルマニウムって健康にいいの? その謎に迫る

スピリチュアルな世界と現代科学とは時として相容れないこともありますが、「科学を軽視してしまうと逆に健康被害を受けてしまったりもします」ので、科学的な知識を身につけた上で、スピリチュアルな世界に触れるということが大切になります。

【今なお利用されるゲルマニウム】

「ゲルマニウム」という元素をご存じでしょうか? こちらは「原子番号32番」を持った元素であり、今から130年ほど前にドイツで発見され、そのためにドイツの古名である「ゲルマニア」にちなんで「ゲルマニウム」という名前がつけられました。シリコンが登場する前は、トランジスタに使われていましたが、現在でもダイオードなどの「電子機器で活用」されています。

 

【公的機関が調査に乗り出したゲルマニウムの健康効果】

そんなゲルマニウムですが、「健康に良い働きを持つ」という話を聞いたことがないでしょうか? 10年以上前からゲルマニウムブレスレットや、ゲルマニウムが添加されたスポーツウェアなどが販売されています。しかしながら、2009年には「国民生活センター」が「ゲルマニウムブレスレットに健康への効果を期待すべきではない」という発表をだしています。こちらは、1万5000円未満のゲルマニウムブレスレット12種類を対象に調査した結果が元となっています。

この調査によると「ゲルマニウム含有量が微量しかなかったものが8種類」、「全く含まれていなかったものが1種類」ということで、「8割近くがゲルマニウムを喧伝しながらも、実情が伴っていない」ことが明らかになっています。また、科学的根拠についても、論文などが発見されないことから、気分的な問題以外で、これらのブレスレットが「健康を向上させる効果はない」という結論にいたりました。

 

【死者も出ているゲルマニウムによる健康被害】

こちらは、ある意味で毒にも薬にもならないレベルですが、逆に毒になったケースもあります。「国立健康・栄養研究所」がゲルマニウムの健康への関与について調査したところ、無機ゲルマニウムを摂取した人のうち、「19名に健康被害があり、そのうち3名が死亡」。有機ゲルマニウムの場合、「3名に健康被害があり、1名が死亡」。さらにゲルマニウム含有水を摂取した人に「健康被害が5名、そのうち2名が死亡」ということがわかっています。

このことからもわかるように、「無機ゲルマニウムは非常に危険性が高いもの」であり、特に「二酸化ゲルマニウム」を摂取すると、「不可逆的な腎臓障害を引き起こす」ケースがあります。一方、有機ゲルマニウムの場合でも、唯一医薬品として認められている「プロパゲルマニウム」にも副作用がありますし、毒性が見つかっているものも多数ありますので、有機ゲルマニウムだからといって、安易に摂取することは「安全ではない」と結論づけています。

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【ゲルマニウムに関する謎の理論】

このように、「経口摂取に関しては危険度が高い」とお墨付きを得てしまったゲルマニウムですが、ブレスレットなど鉱物を身につけるものに関しては、健康に関する効果がないとは言い切れないのも事実です。ただし、よくゲルマニウムの特性として喧伝されている「32℃以上の熱が加わることで、電子が放出され生体電流に影響を与える」というのは、このような事実が確認されたという「科学的な根拠がない」ために、あまり信頼性はありません。これは、元素番号が32番であることや、ゲルマニウムラジオが電池無しで動作することから、誰かが考え出した説という可能性が高いのです。ちなみにゲルマニウムラジオが動作するのは「電波から電流を取り出している」ので、別にゲルマニウムの電子放出云々とは関係ありません。