すべての神話の元になり、現代の物語にも影響を与えた、最古の物語『ギルガメシュ叙事詩』

もしかしたら、あなたの中にも物語とぴったりとマッチするなにかが眠っているかもしれませんよ?
すべての神話の元になり、現代の物語にも影響を与えた、最古の物語『ギルガメシュ叙事詩』

【実在しながらも神格化された王】

ギルガメシュとは、「古代メソポタミアの王」であり、実在した人物だと考えられていますが、紀元前2600年という、遙か昔の王だったこともあり、実在の人物とは思えないほど、様々なエピソードが残されています。

そんなギルガメシュの逸話をまとめたものが、「ギルガメシュ叙事詩」。この叙事詩は「くさび形文字で粘土板」に刻まれており、まさに人類最古の物語にふさわしいものとなっています。

 

【あらゆる神話のルーツ】

この叙事詩の中で、ギルガメシュは様々な冒険を繰り広げますが、「最古の物語」だけあって、さまざまな「神話に影響を与えた」のではないかといわれています。たとえば、ギルガメシュは神と人間の間に産まれた存在であり、超越した力をもっていましたが、その力のあまり、誰もギルガメシュを抑えることが出来なかったために、暴君となってしまったのです。これは、日本を創り出した伊弉諾尊から生まれた「素戔嗚尊が、あまりの強い力で天界を荒らし回ったエピソード」を思い起こさせます。

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(画像/ウィキペディアより)

 

【最古の人造人間エンキドゥ】

日本神話と違うのは、ギルガメシュを抑えるために、神が「エンキドゥ」という人造人間を産み出したことです。粘土から産み出されたエンキドゥは、ユダヤ教の土から創り出される使役的存在である「ゴーレム」をイメージさせますが、その力はギルガメシュを上回るほどのものでした。しかしながら、ギルガメシュがエンキドゥに「神聖娼婦」を使わしたことで、彼女と交わり力が落ちてしまいます。

 

【まるで少年漫画のような展開】

力は落ちたものの、単なる神の兵器的存在だったエンキドゥが、智恵を得て人間と同じようになります。そうして、ギルガメシュと出会いお互いに力比べをはじめるのです。実力は伯仲し、長い間戦ったものの決着はつかず、最後には二人は抱き合って友情を育むことになりました。このあたりの展開は、神話というよりも「典型的な少年漫画のテンプレート」と言えるものであり、ギルガメシュ叙事詩のエピソードは、時代や民族を越えて「人間の集合的無意識に刻み込まれているもの」だと思わずにはいられません。

 

【世界一のベストセラー、旧約聖書も影響を受けていた】

親友となった二人は様々な冒険を繰り返します。その旅の中で、神からの守護を受けた動物や怪物を倒したことで、エンキドゥは「神からの呪いを受けて死亡」し、それによって死を実感したギルガメシュは、不老不死を求めて旅を続けます。そこで、神々が洪水を起こしたときに、家族と動物を乗船させて唯一生き残ったことで不老不死を得たウトナピシュテムに出会います。

このウトナピシュテムのエピソードは、『旧約聖書』に登場する「ノアの箱舟」のエピソードに酷似しており、この話を参考にしてノアの箱舟が生まれた可能性は高いとされています。他にも「不老不死の果実を蛇に取られる」という、「世界各地の神話で見ることのできるエピソード」があったり、死んだ「エンキドゥが冥界を旅する」というギリシャ神話や日本神話にある冥界観に共通したものもあります。

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(画像/ウィキペディアより)

 

【4000年以上にわたって影響を与え続ける物語】

神の力を得た英雄でありながら、ライバルと殴り合って親友になったり、死におびえたり、騙されたりと、どこか「親しみやすさを感じさせてくれる」ギルガメシュ。多くの神話に影響を与えた「ギルガメシュ叙事詩」は長い間失われていましたが、1872年に粘土板が発見されたことから、現代にいたるまで、様々な文学作品や、物語、ゲームなどにも影響を与え続けています。数千年という気の遠くなるほどの時代を経ながらも、これだけの魅力を放ち続けるギルガメシュは、まさに最古の英雄であり、「唯一無二の存在」なのかもしれません。

世界の神話や伝説に興味のある方は、是非一度ギルガメシュ叙事詩を読んでみてください。ネットで全文公開されているところもありますし、さほど長い内容ではないので、そんなに気合いを入れなくても読むことができるはずです。もしかしたら、あなたの中にも物語とぴったりとマッチするなにかが眠っているかもしれませんよ?

The oldest of the story.
Effects of Gilgamesh epic gave to the world.

 

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