2016年の福男が決定! 「300年以上」続き、なお人気を高めています。なぜ、福を得るために人々は走るのか?

超高倍率の狭き門。10倍以上の倍率を突破しなければ参加することすら出来ないと言う「福男選び」が最近熾烈さを増しているようです。 福を得るためとはいえ、なぜそこまでして人々は走るのでしょう?

 

【2016年の福男が誕生】

先日、関西で年明けに行われる一大イベントとなっている「十日戎」について紹介しましたが、1月10日の「本戎」に、全国的に注目を集めている兵庫県の西宮神社で行われている「開門神事」、いわゆる「福男選び」が行われ、今年の福男が誕生しました。

今年の福男は、兵庫県明石市の神戸大付属中等教育学校4年、ちょっと変わった表記ですが、一般の学校でいうと高校1年生の「水田道成」さんに決まりました。「16歳にして、3回目の挑戦」という水田さんは、学校では「陸上部で400メートルを専門にしている」ということで、「学校に福を持ち帰り、部員やお世話になった人に福を分けたい」とコメントしたということです。

 

【熾烈さを増す福男選び】

昨年の福男は、大学生で同じく陸上部だったということもあり、最近では一種の「陸上競技の様相を呈してきている開門神事」ですが、年々テレビの報道などで有名になっていることもあり、最近では怪我などの危険を理解した上で、本気の人しか参加しないようにして欲しいと神社側は考えているようです。いったい、どれほど熾烈なものなのか? まずは動画をご覧になってみてください。

 

こちらは今年行われたものですが、文字通り門が開くと同時にものすごいスピードで参加者が飛び出して行っています。また、それについて行けなかったり、体勢を崩している人がいることもわかると思います。今年の参加者は「238名」。そのうち、開始直後に門に進入できるのは「108名」ですので、仮に転んでしまった場合は、あとから走ってくる人たちにものすごいスピードで踏まれる危険性があります。当然場合によっては、大けがをする」ことになりますので、前述のような神社からの要請も当然と言えます。

 

【超高倍率の狭き門】

全国的に知名度が高い割に、238名と参加者が少ないと感じられるかもしれませんが、238人というのは抽選で選ばれた人数であり、まず抽選の受付が先着順で「1500名限定」で行われ、そこから238名が選ばれます。

倍率でいうと「約5.8倍」とかなり高いものであり、さらに実質的に福男を狙うことが可能なのは、前列の108人だけとなりますので福男になるためには、「10倍以上の倍率」を突破した上で、230メートルを走り抜けなければなりません。

また、昨年今年と陸上部員が福男になっていることからもわかるように、「100メートルを11秒台で走る」ことの出来るレベルが多く参加していますので、例え運良く10倍という狭い関門を突破して108人に入ったとしても、元々のポテンシャルが高くなければ福男になることは到底叶わないわけです。

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【昔の人は自宅から走っていた】

西宮神社の「開門神事」は江戸時代頃から続くものですが、そもそも「神事ではありませんでした」。江戸時代以前には、十日戎前日、すなわち「宵戎」の夜には「居籠もり」という風習が存在していました。これは、本戎を祝う前に、家に閉じこもって物忌みをして、「自らを清浄なものにする」という意味があります。

このとき、神社では深夜4時から神事が行われており、2時間にわたった神事が終わってから門が開かれることになります。前日に家でおとなしくしていた反動か、門があく時間を見計らって、西宮神社に一番乗りしようと「家から人々が駆けてきた」のが、そもそもの由来なのだそうです。

当初は家から走ってくるということもあり、秩序だったものではなかったのですが、それがいつしか体系化されて、「開門神事」という形でまとまったのが江戸時代ということになります。そういった意味では、「福を貰う」ということ自体が、後付けではあるのですが、イベント好きな関西の人々の気性に合い、また、勝負事としても面白いものだったために、現在のように大人気となったわけです。「300年以上」続き、なお人気を高めているということを考えると、私たち人間の根本というのは、なかなか変わらないのかもしれません。

 

【多くの熱気とエネルギーが渦巻く神事】

福男になるためには、前述したように、多くの難関が存在していますが、後発組に入ることは運は必要なものの、ある程度の体力があれば可能です。福男選びは、陸上競技ではなく、あくまでも「開門神事」ですので、「参加することにも意義はあります」。参加者は御神酒などもいただけますし、多くのエネルギーが渦巻く神事に参加するだけでも、スピリチュアルな観点からすると、「充分なパワーを得ることが出来ます」ので、興味のある方は来年は是非参加にチャレンジしてみてください。参加できるだけでも、その年にはなにかいいことがあることでしょう。

 

And I ran to get the good fortune to.
2016 Fukuotoko decision.

 

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