「美しく効用が多いからこそ、不吉とされてしまった悲しいけれども芯の強い花」

日本では悪いイメージが強い彼岸花ですが、その力は「非常に実用的で強力なもの」であり、天界からの兆しを伝えてくれる「スピリチュアルで芯の強い女神の花」なのです。

【多くの異名を持つ美しい花】

今まさに、その美しい花を咲かせ始めた彼岸花」。
お彼岸の頃に咲くことから、このような名前がつけられていますが、目にも鮮やかな真っ赤な花を咲かせるこの植物は、無数の別名をもっていることでも知られています。

「死人花」「幽霊花」「地獄花」「剃刀花」「捨子花」などなど、どれもが「不吉」な名称になっていることからも、美しくも縁起の悪い花である」というイメージが強いことがわかります。
なぜ、このような不気味な名前ばかりつけられるのかというと、いくつか理由がありますが、もっとも根本的なものとしては、をもっているという点があげられます。

 

【その全身には毒がある】

彼岸花の球根には「リコリン」という有毒成分が含まれています。
この成分は球根を中心として、茎や花にまで分布しているために、全体が毒に覆われていることになります。このことから、彼岸花をつむと「手があれる、病気になる、気持ち悪くなる、悪いことが起こる」といった言い伝えが生まれました。
実際には、茎や花を触ったぐらいでは、それだけ過激な症状が起こることはほとんどないのですが、子供が触れたりなめたりしないように、どんどんと怖い言い伝えが増えていったようです。

 

【農作物を守る美しい花】

そんな有毒植物であるにもかかわらず、この季節になると彼岸花をあちこちで見ることができるのは、人間がその力を活用していたからなのです。
もともと、彼岸花が持つ毒は「虫や動物から球根を守るために産み出されたもの」なので、それを利用してネズミやモグラといった「害獣が農作物に近寄らないようにする」、いわば「防波堤の役割」として植えられていたのです。

この害獣避けが、彼岸花の不吉な名称にも関わってきます。
墓場に生えることが多いことから、死人花や幽霊花などと呼ばれ、その赤は人の血を吸っているなどといわれるのですが、実際には土葬が行われていた時代に、死体がモグラなどに食い荒らされるのを防ぐために、墓場に植えられたものがいつしか増えていき、不吉なイメージだけが残ってしまったわけです。

 

【毒は多くの人を救う薬にもなる】

そんな彼岸花の毒は適切に処理することで薬にも変わります。
彼岸花に含まれている「ガランタミン」という成分は、「鎮痛作用を持つ」ことで知られていましたが、その後、研究が進むことで「神経痛や、筋無力症、ポリオの治療薬として効果がある」ことがわかってきました。
また、近年ではアルツハイマー病の治療薬としても認められているのです。

 

【聖母であり死の象徴でもある】

ちなみに、彼岸花そのものではないのですが、ヒガンバナ科に含まれている「待雪草」にも、ガランタミンは多く含まれており、古代ギリシャでは「記憶力を高めるために、待雪草を摂取するという方法があった」のだそうです。
そういったこともあり、待雪草は「聖母の花」とされる一方で、縁起の悪い死に装束の色をあらわす「死の象徴」ともされていたということで、ヒガンバナ科の植物はみな、その強い力のために、良いイメージよりも悪いイメージの方が強く残ってしまうのかもしれません。

 

【その真の姿は天界から吉兆をもたらす花】

日本では悪いイメージが強い彼岸花ですが、その力は非常に実用的で強力なものであり、そのことを表したかのような名前も存在しています。
それが「曼珠沙華というもの。
こちらは、サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味であり、おめでたいことの前兆として「天から降ってくる赤い花」から来ています。

不吉なイメージがありながらも、美しく自らを飾り、そして「情熱」「独立」「再会」といった力強い花言葉を持つ、彼岸花。
海外ではギリシャ神話にでてくる、海の女神にちなんでリコリス・ラディアータと呼ばれていたりもしますので、今まで不吉なイメージでみて来た方は、本来はとてもパワフルで、私たち人間にとって有益であり、なおかつ天界からの兆しを伝えてくれる「スピリチュアルで芯の強い女神の花であることを、念頭に置いたうえで、これからますます美しく咲き誇る彼岸花を見てみて下さい。

きっと、今年は、いつもとは違った印象を受けるはずです。

 

Ominous name flower with the real power
Beautiful flower goddess of the spiritual power.